| 2010年07月09日(金) |
裁判員裁判で、放火について無罪 |
日経(H22.7.9)社会面で、あき巣に入った部屋に放火したなどとして、現住建造物等放火などの罪に問われた事件の裁判員裁判で、東京地裁は、放火罪を無罪とし、住居侵入と窃盗罪だけを認定したと報じていた。
東京地裁本庁での裁判員裁判で初の(一部)無罪判決である。
この事件は私が担当したので、少し詳しく書くと、被告人には放火の前科があった。
しかし、放火前科の事実を、今回の放火の証拠とすることは原則として禁止されている。
「以前やったから、今回もやったのだろう」ということは許されないということである。
ところが、情状立証(刑の重さを決めるための証拠)としては、放火の前科を証拠とすることができる。
そうすると、裁判員は、放火の前科を今回の放火の証拠とすることはできないが、放火の前科があることは知ることになる。
アメリカのように、陪審員は有罪か無罪かだけを決め、刑の重さは職業裁判官が決めるのであれば、そのようなことはないが、日本では刑の重さも裁判員も参加して決めるので、結局、放火前科があることは裁判員に分かるのである。
その場合に、罪体立証(放火の罪の立証)と情状立証とをうまく区別できるのだろうかという不安があった。
つまり、裁判員が「以前やったから、今回もやったのだろう」という考えを持ってしまい、被告人に不利益に働かないのだろうかという危惧があった。
しかし、判決では、その区別がきちんとなされていた。
難しい法律問題を頭の中で整理し、適切な判断をした裁判員の方々を大いに評価したいと思う。
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