日経(H22.4.7)社会面で、名張毒ぶどう酒事件の第7次再審請求に対し、最高裁は名古屋高裁への差し戻しを決定したと報じていた。
この事件では、事件後の鑑定では、被告人がぶどう酒の中に入れたとされる農薬(ニッカリンT)の特定成分が検出されていない。
ところが、弁護側の再現鑑定ではその特定成分が検出されたことから、入れられた農薬がニッカリンTでなかった可能性がある。
とすると、ニッカリンTを入れたと供述した被告人の自白の信用性が問題になってくる。
再審開始を取り消した名古屋高裁は「鑑定方法によっては、検出できなかったと考えることも十分に可能」とした。
これに対し、最高裁は、「科学的な知見に基づく検討をしたとはいえず、事実は解明されていない」として差し戻したのである。
「科学的な知見に基づく検討をしていない」名古屋高裁も問題であるが、評価されるべきは、ニッカリンTを入手し様々な分析の実験を行うなど、数十年に渡り粘り強い調査をした弁護団であろう。 (但し、すべては鑑定に委ねられており、再審が開始されるかどうかはまだ分からない)
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