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2009年08月31日(月)
「ゆとり教育世代」への質問、「あなたは30年後、どういう夢を抱いてますか?」

『新・資本論』(堀江貴文著・宝島新書)より。

【堀江貴文:僕、最近、もうひとつ大きな視点で見ていて、ゆとり教育っていうものの弊害が本当に出始めてるっていうのがあるんです。知り合いの新卒を採用してる会社では結構な問題になっているんですけど、今年から大学の新卒はゆとり教育世代が10年間続く、と。
 で、実際に採用活動をやってみると、一人も採れてない。なんで採れないかって質問したんですよ。そうしたら、最終面接みたいなところで、「あなたは30年後、どういう夢を抱いてますか?」みたいなことを訊ねると、「笑顔」って答えてくるらしいんですよ。

インタビュアー:本気で笑顔って言ってるんですかね? 答えに窮してとかじゃなくて?

堀江:だから、「笑顔って何?」って聞くと、「いや、なんか、家族とか周りの人たちがみんな笑顔でいられるようになりたい」って言う。

インタビュアー:ああ、本気なんですね。ただ、まあ、いま風ではありますよね。気持ちはわかる、っていうか。

堀江:いや、でも、それをこの間、別の人たちに話したら、ちょうど橋本龍太郎さんが首相のころで、みんなが笑顔になれる社会をつくりたいとか何とかって、ゆとり教育をやったってのがあったらしくて、やっぱり笑顔っていうのがキーワードらしいんですよね。笑顔、助け合い、みたいなのが。

インタビュアー:崩壊した共同体の再生、みたいな感じなんですかね。

堀江:わかんないですけど、だから、もう競争を否定みたいな。駆けっこでも一着、二着とかない。
 で、とにかく、ゆとり教育になっていて、これから10年間ゆとり教育世代が続くっていうのは、すごく企業にとっては大変なことなんですよ。
 しかも、人口はどんどん減ってますから、簡単に入れるようになるし、大卒だといっても高卒と変わらないんじゃないかみたいな、そういう時代になっちゃってる。

インタビュアー:そもそも競争率が下がってるところへ、さらに競争そのものをしなくて済む、と。

堀江:実は、もう既に四年前にそれが高卒の世界で起きていて、その人たちが派遣に回ってるらしい。だから派遣切りで現状のこんな感じになっている、という人もいます。つまり、ちゃんと就職をしないでフリーターとか派遣でやっていて、その人たちが大量に切られてるっていうのが現状だというわけです。】

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 僕自身の周囲の人たちをみている限りでは、「ゆとり教育世代」っていうのが、そんなに今までとは違うとも思えないのですが……

 それでも、こういう「30年後の夢は『笑顔』」という人が増えてきているような気はします。そして、彼らの多くは、ただ「笑顔」というイメージを持っているだけで、「そのためには、具体的に何をすればいいのか」ということに悩むことはなさそうなんですよね。
 実際の生活においては、やっぱり、お金がなかったり、仕事にうまく適応していけなかったりすると、ずっと「笑顔」でいることはとても難しい。
 「やる気はないけど、とりあえず笑顔でいる」っていうのも、いちいち過剰に落ち込んだりされるよりはマシではありますが、「真面目にやれよ!」と言いたくなるときもありますし。

 僕は「ゆとり世代」ではありませんが、基本的に「笑顔」とか「助け合い」という気持ちは素晴らしいものだと考えています。1970年代はじめの生まれで、「競争社会」を意識させられてきただけに、「競争ばかりしても、頂点が目指せるのごく一握りだけで、打ちのめされることばかり」だと実感してきました。
 堀江さんのような「使う立場」からすれば、「ゆとり世代は競争心がなくて使えない」という話になるのかもしれませんが、その人自身の人生にとっては、どちらが幸せなのかは難しいのではないかなあ。

 最近の世相をみていると、「ゆとり世代」って、ある意味、「30年後の未来に、自分が『笑顔』でいることくらいの夢しか持てない、絶望の世代」なのかな、という気もするんですよ、悲しいことなのですが。