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2009年05月28日(木)
千原ジュニアの「面白いヤツの3大要素」

『BRUTUS (ブルータス)』2009年6/1号(マガジンハウス)の特集記事「オトナになっても、マンガ好き。」より。

(マンガ家・森田まさのりさん(代表作『ろくでなしBLUES』『ROOKIES』)と千原ジュニアとの対談の一部です。森田さんは現在「芸人」をモチーフにしたマンガ『べしゃり暮らし』を『週刊ヤングジャンプ』(講談社)で連載中)

【森田まさのり:最後にお会いしたのは10年以上前ですね。当時、お笑いのマンガを描くことについてどう思われるか伺った記憶があります。

千原ジュニア:先生のマンガはその前からずっと読んでますよ。『べしゃり暮らし』が始まった時は「あ、これや!」って感じでしたね。

森田:当時は芸人さんって怖いっていうイメージもありました……。

千原:素の芸人って怖いですよ。優秀なら優秀なほど怖いんじゃないですか? これは僕の自論ですけど、「部屋キレイ」「絵うまい」「顔怖い」っていうお笑いの3大要素があるんです。部屋汚いけど面白いっていう人はいないですね。だから面白いヤツの部屋はキレイに描いたらええですよ。

森田:ホントに!?

千原:松本(人志)さんとか今田(耕司)さんとかも部屋メッチャ、キレイですもんね。部屋がキレイ=頭の中が整理されてるんです。

森田:天然ボケの方っていうのは、整理されていない感じですかね?

千原:そうですね。兄のせいじなんてメッチャ汚かったですもん。絵がうまいのは、想像したことを形にできる才能があるんじゃないですかね。あとやっぱ、顔怖い。さんまさんとか黙ってたら、ただのインテリヤクザですから(笑)。

森田:近寄りがたい感じはありますねぇ(笑)。僕はもともとお笑いが好きなのもあったんですけど、お笑いマンガってほかにあまりないから挑戦してみようと思ったんです。最初は単純にお笑いを描きたいだけでしたが、あとで相方同士の関係を描こうと思い始めて。】

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 「部屋キレイ」「絵うまい」「顔怖い」かあ……
 「顔怖い」に関してはちょっと微妙な気もしますが、たくさんの芸人たちを見て、一緒に仕事をしてきた千原ジュニアのこの「お笑いの3大要素」には、かなり「実体験に基づく裏付け」がありそうです。
 これを読んで、「部屋キタナイ」「絵へた」「顔は怖くも面白くもない」僕としては、自分がお笑いに向いていないことをあらためて再認識させられました。
 「クリエイターに、部屋のキレイさなんて関係あるのか?」と感じる人も少なくないと思うのですが、お笑いの世界に限らず、「デキル人」っていうのは、たしかに「身の回りが整理整頓されている」ことが多いんですよね。
 「部屋がキレイ=頭の中が整理されている」というのは、たしかにそうかもしれないな、と思います。
 部屋が散らかりまくっている人でも、「一瞬の閃き」で凄い仕事をする場合はあるのだけれど、コンスタントにいい仕事を続けるのは、なかなか難しいのかもしれません。
 「部屋がキレイであること」は、「作業効率を良くすること」につながります。でも、それだけではなくて、「ちゃんと身の回りのことを整理しないと気が済まないような性分」というのは、「物事を妥協せずに突き詰める姿勢」にもつながっているように思われますし。

 「絵のうまさ」についても同様で、たとえば優秀なゲームクリエイターというのは、総じて絵がうまい(あるいは、絵で必要な情報を伝達するのがうまい)印象があります。映画監督とかもそう。
 「言葉だけでは伝わらないニュアンス」も、絵が描ければ、ものすごく周囲の人たちにイメージが伝わりやすくなるんですよね。
 たしかに、「絵のうまさ」というのは、「お笑い」にも役立つはず。お笑のネタというのも、ひとつの「舞台演劇」ですから、「お客さんにどう見えるか、どう見せるか?」を客席からの絵として考えるというのは、大事なことではないかと。

 まあ、こうして「自分の才能のなさ」を思い知らされるのも、ちょっと寂しい気もするのですが、お笑いというのは、「アートの世界」なのかもしれません。
 
 でもさあ、松本人志さんや今田耕司さんは、誰かほかの人が片付けてくれるんじゃない?というようなことも、つい考えてしまうんですけどね。