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2008年04月08日(火)
『ヘキサゴン2』を裏で支える「伝説のクイズ王」

『GetNavi(ゲットナビ)』2008年5月号(学習研究社)のコラム「クイズ王・道蔦岳史の大人のための明日使える『クイズ』講座」より。

(TVのクイズ番組優勝14回の「クイズ王」であり、現在はクイズ作家としても活躍されている道蔦さんのコラムの一部です)

【今年の番組改編は、かつてないほどクイズ番組が花盛りである。連日連夜のクイズ番組は切り口は様々であっても、問題や出演者の重複は避けようもない。これだけあるなら、私も出してくれ……と思うこともあるのだが(笑)、実は私も、裏方としての出番は長く続いている。それはクイズの
”正誤判定”なのだ。
「東京フレンドパーク2」や「ヘキサゴン2」など、昔ながらのピンポン・ブーの作業を必要とする番組で、私も出演者の気持ちで本番に臨んでいる。俗にビープロと呼ばれるこの作業は番組進行に大きく関わるので、十分な準備と集中力の維持が大切。「フレンドパーク」のクイズは、15秒間で4つお答え下さい、という一問多答式なので、瞬時の判定は実に大変で、出番は短くても私にとって最も緊張する収録となっている。一方「ヘキサゴン2」は一問一答形式なのだが、想定していた答え以外にも、それは不正解にできないな……という回答が出ることもあり、これを瞬時に判定するのも重要な仕事なのだ。
 ほかにも、厳しい判定が求められる場面、甘めに救うべきなのかという状況判断も重要。バラエティである以上、厳正な判定ばかりが求められているのではなく、いわゆるスタジオの”空気を読む”必要があるのだ。ちなみにヘキサゴンの常連である上地雄輔、木下優樹菜、小島よしおのイニシャルが全員KYなのは、微笑ましい事実である。】

〜〜〜〜〜〜〜

 「クイズ王」道蔦さん、今はこんなお仕事をされていたんですね。
 道蔦さんは現在46歳、クイズ作家としてのキャリアも20年になるそうです。
 僕が道蔦さんの名前を聞いて最初に思い出したのは、『アメリカ横断ウルトラクイズ』で後楽園球場での予選を勝ち抜き、「クイズ王」「優勝候補」とさんざん福留アナウンサーに持ち上げられておきながら、最初のほうのステージであっさり脱落してしまったときのことなんですよね。
 御本人にとっては非常に不本意だと思うのですが、「負けたときのほうが記憶に残る」というのは、ある意味すごいことなのかもしれません。

 それにしても、道蔦さんにとって、現在の「クイズ番組ブーム」というのは、はたしてどのように見えているのでしょうか?
 「勉強してクイズ番組で優勝すること」を追求してきた「クイズ王」にとって、現在の「おバカ回答者全盛」のクイズ番組というのは、あまり心地良いものではなさそうですよね。「仕事が増えてありがたい」という現実的な「ありがたさ」はあったとしても。

 僕はこれを読むまで、クイズの「正誤判定」に専門のスタッフがいるというのを知りませんでした。答えを書いた紙をADが持っていて、当たっていれば正解の音を鳴らすようにしているのだと思っていたのですが、実際は、番組を円滑にすすめていくためには、この「正誤判定」というのは、すごく大事な役割のようです。
 クイズ番組では、ときどき、回答のあとに微妙な間が空いたり、司会者がスタッフに「どうでしょう?」と確認したりする場面が放送されますが、逆に、そういう場面を除いては、(編集されているシーンはあるとしても)即座に正誤判定がなされている、ということなんですよね。

 「一問多答形式」の場合、例えば「”さ”ではじまるタレントの場合を挙げよ」なんていう問題が出た場合、「さとうこういち」「さとうたまお」「さのしろう」と出てくれば、躊躇なく”ピンポン”なのでしょう。
 でも、困った回答者が、苦し紛れに「さとうひろし」というような、「あんまり有名じゃないけど、そういう名前の『タレント』が絶対にいないと言い切るのもちょっと難しい」という答えを口にした場合、すごく辛いのではないかと思うんですよね。そういう事態を避けるために「日本タレント名鑑に載っている」なんていう条件をつけている場合も多いのですが、実際のところ、収録中にタレント名鑑をいちいちめくっていては、編集でごまかそうとしても緊張感が欠けた放送になってしまうのは確実でしょう。
 「『○肉○食』の四字熟語」で、「焼肉定食」を正解にするかどうか?そういうのも「判定」しなければならないとしたら、本当に大変ですよね。まさに「番組の雰囲気しだい」だものなあ。

 あの「おバカ回答」で人気の「ヘキサゴン2」を裏で支えているのは、伝説の「クイズ王」。
 「クイズ番組」好きの僕としては、そろそろ、「本気のクイズ」が懐かしくなってきたんですけどねえ……