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2008年01月10日(木)
「パイロットの操縦免許」と「車の運転免許」の違い

『航空雑学図鑑〜乗って驚く!!空のギモン98』(日本航空「Agora」編集部=編・講談社+α文庫)より。

(「パイロットの操縦免許は車とどう違うのか?」という項から)

【多くの人が持っている車の免許の場合、基本的にどのメーカーの車でも、特殊な車両でなければどの車種でも、運転することができる。メーターなどの形状やスイッチの位置は関係なく、自分の好きな車に乗れるし、友人の車を借りて運転することも、全く初めての車で公道を走行することも可能だ。旅客機も同じなのだろうか?
 パイロットが持っているライセンスの場合、実はそうはいかない。乗客を乗せて操縦できるのは、1人1機種に限られているのだ。例えば、定期運用操縦士と呼ばれる機長資格をボーイング777で取得すると、その他の機種を操縦することはできない。
 その理由としては、常に確実・正確な操作を求められることが挙げられる。
 旅客機を飛ばす基本的な操縦方法は、どの機種でもほとんど同じだが、操縦桿を握るたびに計器の形やスイッチの位置が違っていては、旅客機を安全に運行できなくなる。何よりも、緊急時の操作に支障をきたしてしまう。1機種のみに専念し、操縦技術を磨いて経験を積むことにより、安全な運行ができるというわけだ。
 また、車の免許との違いで他にも気になるのが、国際線にはまた別の免許が必要なのか? 国内線と国際線のどちらを飛ぶか、自分で選べるのだろうか? ということである。パイロットのライセンスには、なんと国内線か国際線かという区別はない。しかし、ボーイング777の操縦資格があっても、運行に際しては、空港があるエリアや空港ごとに定められた離着陸するための資格も必要となる。だから、自由に路線を選べるわけではないのである。
 大勢の人を預かる資格だけあって、制限も厳しいようだ。】

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 「パイロットの操縦免許」というのは、「乗客を乗せて操縦できるのは、1人1機種に限られている」らしいです。この場合、車の「普通免許」と比較するのではなく、バスやタクシーなど、お客を乗せて運転するために必要な「第二種運転免許」と比較するのが妥当だとは思うのですが、それにしても、「1人1機種だけ」というのは、正直意外でした。「パイロットになりさえすれば、いろんな飛行機を自由自在に操って大空を飛べる」というわけではないんですね。
 確かにそのほうが、自分の「愛機」を確実に操作できるのは間違いないし、安全性を高める効果はありそうなのですが、パイロットたちは、「この飛行機ばっかりで飽きたなあ……」とか、「たまにはジャンボジェットを運転したいんだけど……」なんていう欲求不満は生じてこないものなのでしょうか?
 同じ機種しかずっと操縦できないのならなおさら、人気機種とそうでない機種を操縦するパイロットには、モチベーションの差が出てきそうな気もします。

 飛行機のパイロットというのは、多くの人、とくに男子にとっては「憧れの職業」なのですが、実際にその仕事に就いてみると、毎回同じ機種を操縦して、同じ空港を行き来しているだけのルーチンワークが大部分を占めていて結構退屈、なのかもしれません。人の命を預かる、責任重大なカッコいい職業であることは事実だとしても、普段の仕事そのものは、そんなに面白いものじゃなさそうですよね。
 そりゃあ、何年か前のキムタクのドラマみたいに、フライトのたびにトラブルに巻き込まれるようでは、やってられないでしょうが……