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2007年12月04日(火)
『ポケットモンスター』を所持していると逮捕される国

『世界のとんでも法律集』(盛田則夫著・中公新書ラクレ)より。

【ポケットモンスターのカードを国内に持ち込むことは違法である。

                  [サウジアラビア・2001年宗教令]


 冗談のような宗教令に見えますが、そのままの言葉で効力を持つ、立派な法です。
 2001年3月27日。サウジアラビアのイスラム法最高権威者アブデルアジズ師が日本発のアニメ「ポケットモンスター」のすべてを禁止しました。国民がカードを持つこともビデオを見ることも、ぬいぐるみを持つことも禁止です。理由は、

(1)イスラムで禁止されている偶像崇拝にあたる。
(2)カード自体にギャンブル性があり、子どもたちに賭博行為を教えるものである。
(3)キャラクターが進化していくという設定は、進化論を否定するイスラムの立場からは受け入れられない間違った思想である。
(4)対立する宿敵であるユダヤ教のダビデの星そっくりのシンボルマークが登場する。

の4点。もし所持していることが判明した場合、当局によって拘束されます。
 イスラム諸国においては、「偶像崇拝」「賭博」「進化論」「ユダヤ教」じは悪魔の所業。ちょっとした軽犯罪ではすまず、非常に重い罰が下される可能性が高い行為なのです。】

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 子ども向けの玩具である『ポケモン』に、ここまで神経質にならなくても……と『ポケモン』の母国である日本で生まれ育った僕は思いますし、ここに書かれている「理由」も、かなり強引な解釈のように感じるのですけど、それはあくまでも「こちら側の考え方」でしかないんですよね。

 そういえば、イスラム圏では、映画『ロード・オブ・ザ・リング』も、「キリスト教的な世界観の作品」「冥王サウロンとその手下はイスラム世界の象徴であり、『アメリカの正義』をアピールしようとしている映画だ」ということで規制されたそうです。ペルシア軍を魑魅魍魎のように描いている『300(スリーハンドレッド)』などは、さすがにクレームがついてもしょうがないかな、とは思うのですが……

 この「イスラム世界からの見かた」というのは、日本人である僕からすれば違和感がものすごくあるのですけど、【(2)カード自体にギャンブル性があり、子どもたちに賭博行為を教えるものである】というような項目に関しては、けっして「間違い」ではないですよね。ああいうカードを持っているかいないかというのは、子どもたちにとっては「格差」というものを認識するきっかけにもなるでしょうし。
 逆に、日本やアメリカというのは、そういう「格差」に対して寛容な社会である、とも言えそうです。

 この法では、日本からサウジアラビアにやってきた子どもが、友達に『ポケモン』のカードをプレゼントするだけで、「当局に拘束」されることになるわけです。実際にそこまで厳格に運用されているのかはわかりませんが、『ポケモン』で遊ぶことすら許されないサウジアラビアの子どもたちは、どうやって遊んでいるのだろう?と、考え込んでしまう話ではありますね。
 向こう側からすれば、「こんな不謹慎なもので日本人の子どもは遊んでいるのか?」という感じなのかもしれませんが。