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2007年11月30日(金)
「日本人は1年間に缶コーヒーを何本飲んでいるの?」

『TVBros。 2007年24号』(東京ニュース通信社)の特集記事「冠婚葬祭缶珈琲!〜190gの幸せ〜」より。

(「教えてハカセ! 缶コーヒーQ&A」という記事の一部です)

【Q1:世界初の缶コーヒーってどこの国が作ったの?

A1:日本、なのだそうじゃ。串間努・久須美雅士著『ザ・飲みモノ大百科』によると、1958年に外山食品という会社が作った「ダイヤモンド缶入りコーヒー」がその始まりなのだそうだが、本格的に缶コーヒーを世に広めたキッカケとなったのは、1969年に神戸のUCCが開発した「UCCコーヒー、ミルク入り」じゃ。それまでは瓶入りのコーヒー飲料が一般的だったんじゃが、いちいち瓶を売店に返さなくてはならない。そこで缶入りにしたというわけじゃ。翌年の大阪万博の会場で大いに売れ、国民に広く知られるようになったんじゃ。まさに高度経済成長の申し子なんじゃよ。


Q2:ふうん。

A2:ふうんとはなんじゃ! 缶コーヒーは高速道路の出現とも深く関係しておるのじゃぞ! 日本で初めて開通した高速道路は、名古屋と神戸を結ぶ名神高速なんじゃが、そこで問題になったのがドライバーたちの眠気。それをコーヒーで吹き飛ばそうにも、サービスエリアのコーヒー売り場は長蛇の列。そこで名古屋の会社・ポッカは、缶コーヒーを自動販売機で売ることを考えついたんじゃ。そして1972年に「ポッカコーヒー」を発売。翌年には、ホットにもコールドにも切り替え可能な自動販売機を開発し、缶コーヒーを年中売れる商品にしたんじゃ。今では190g缶が缶コーヒーのサイズとして最も一般的じゃが、その始まりも「ポッカコーヒー」からなんじゃよ。


Q3:なんで缶コーヒーは190gばかりなの?

A3:ポッカによれば、「ポッカコーヒー」が開発された当時の喫茶店では120gが最も一般的なので、それよりも多いほうがよかろうということで、その1.5倍の190gにしたということだそうじゃが、これには諸説あってのう…。ほら、コーヒーってガブガブ飲むもんじゃないじゃろう? だから日本人にとって飲みきるのにちょうど良いサイズとして定着していったとも、1合(約180g)からきているとも言われておる。


Q4:そういえば、夏に自動販売機からホットがなくなるのはなぜ?

A4:売れるかどうかという問題もあるんじゃが、ホットは一定期間以上置くことができないんじゃよ。コールドなら冷蔵庫と同じだが、ホットは熱でコーヒーが変質してしまうんじゃ。冬ならまだしも、暑い夏場にホットでずっと保存しておくなんてできないんじゃ。夏にホットで飲みたいときは、コンビニか自分で淹れるんじゃな。
 蛇足じゃが、冬場のスキー場の自動販売機では、コールドにするためにホットにしているところもあるんじゃよ。コールドにしたらコチンコチンになってしまうでの。


Q5:ねえハカセ、缶コーヒーって、年間いくらくらい売れてるの?

A5:7000〜8000億円と言われておる、その実に7割が自動販売機で売れてるんじゃ。種類別では、レギュラーがダントツで全体の約60%、ブラックと微糖がそれぞれ15%、そしてカフェオレが10%と続くんじゃ。


Q6:レギュラーってどういう意味?

A6:う〜ん、鋭い質問じゃな。実は特にこれといって意味はないんじゃ。強いて言うなら、通常のコーヒーに砂糖とミルクが入った「スタンダード」くらいの意味じゃろう。


Q7:缶コーヒーって何種類くらいあるの?

A7:「分からないくらい」じゃ。とにかくめちゃくちゃあり過ぎて、誰も分からないんじゃ。ただ、リニューアルも含めて、最低年間100種類以上は出ているそうじゃ。


Q8:日本人は1年間に缶コーヒーを何本飲んでいるの?

A8:約100本じゃ。昨年は280万キロリットルも容器につめられたコーヒー飲料が消費されておる(日本コーヒー飲料協会調べ)。190g缶に換算したら、全世界の人に、1人2本あげられることになる。これだけ飲む国民はほかにはおらん。日本独自の現象じゃ! というのも、缶コーヒーは日本以外は中国やアジアの一部とアメリカのちょろっとぐらいで、日本発祥の独自カルチャーだからなんじゃ! 最近はコーヒー豆の値段も上がってメーカーは苦労しておるそうじゃ。だから飲むんじゃ! 日本人なら缶コーヒーをたくさん飲むべきなんじゃ!】

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 まさに、「缶コーヒー大国、ニッポン!」という感じです。缶コーヒーがあまりに日本では一般的であるために、「日本発祥の独自カルチャー」だと言われても、ちょっと信じられないくらいですが。
 そう言われてみれば、アメリカ、カナダの僕が行った地域にも缶コーヒーは無く、スターバックスの瓶入りアイスコーヒーが2種類売られていただけだったんですけどね。
 それにしても、缶コーヒーの「進化」のきっかけが大阪万博だったり、名神高速道路の開通だったりというのには、缶コーヒーという飲み物と日本という国の発展との結びつきの強さを感じてしまいます。リアルタイムでその時代を生きてきた人たちは、缶コーヒーを飲むと、万博を思い出したりするのでしょうか。

 このQ&Aには、今までなんとなく疑問に感じていた「缶コーヒーの謎」がたくさん紹介されています。とくに、缶コーヒーの缶が他のジュースの缶に比べて少し小さい(190g)理由については、僕も昔から疑問で、「コーラとかより材料費が高いから」という話を聞いたこともあったのですが、実際は「喫茶店のコーヒーより多くした」ということのようです。同じ自動販売機で売られている他の清涼飲料水と比べてしまう「自動販売機世代」の僕たちとは違って、缶コーヒーが世に出た時代の人たちは、「喫茶店で飲むコーヒーの量」と比較していたわけです。しかし、この190gの缶に慣れてしまうと、250gの「ロング缶」に入っている缶コーヒーは、量が多いだけでなんだか安っぽい味がするような気もしますよね。

 それにしても、「日本人は1人あたり1年間に100本も缶コーヒーを飲んでいる」という話には、正直驚きました。缶コーヒーだけで、「7000〜8000億円産業」っていうのも凄い。
 僕も「缶コーヒー党」なので、この平均値を引き上げるのにかなり貢献していると思うのですが、缶コーヒーって、けっこう「いつも飲む人」と「全然飲まない人」が極端に分かれますよね。缶コーヒーが苦手な人や缶コーヒーをほとんど飲まないであろう小さな子どものことなどを考えると、「缶コーヒー好きな人」が毎日かなりたくさん飲んでいなければ、こんな数字は出ないはずです。確かに、缶コーヒーって、喫茶店で飲む「本格的なコーヒー」とはちょっと違う、ある種の「中毒性」があるような気もします。

 缶コーヒーに含まれるかなり多めの糖分などを考えると、【だから飲むんじゃ! 日本人なら缶コーヒーをたくさん飲むべきなんじゃ!】と、安易に薦めていいのか?と、かなり疑問ではあるんですよね。「体に良い飲み物」とは言いがたいところではありますし。
 でも、栄養ドリンクと同じで、なんとなく「元気が出る」「ストレス解消に役立つ」飲み物のようなイメージがあるんですよね、缶コーヒーって……