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2007年02月19日(月)
「ティッシュペーパーを歩いてると貰える国」の不思議

『むかつく二人』(三谷幸喜、清水ミチコ著・幻冬舎)より。

(三谷さんと清水さんのラジオ番組『DoCoMo MAKING SENSE(J-WAVE)』の2005年4月〜11月放送分を書籍化したものの一部です)

【清水ミチコ:じゃ、あれは? 街角でティッシュを配ってますが、一切貰わない人?

三谷幸喜:僕は自信持って言えるんですけど、くれないんですよ。昔からそうだったんですけども。ティッシュを貰えないタイプなんですよ。

清水:ああいうのは貰ってもいいんだ。

三谷:アレルギー体質だし、ハナも出るので欲しいですね。だけども、僕の前の人には渡すけども僕は素通りして後ろの人に渡したりするんですよね。なんでなんだろう。

清水:なんでだろう。

三谷:だから、くれるまで何度も何度もその前を通ったことありますよ。学生の頃。タイミングだと思うんですよね。ちょうど前の人に渡して、で、次のティッシュを手に取ろうとした矢先に僕が通り過ぎるんで。あと自分に欲しい光線が出てるから、ちょっと意地悪心が出るんじゃないですか? あの人たち。

清水:ピーンとくんのかなあ。あ、こいつ欲しがってる。でも、あのバイトした友達知ってるんですけど。意外と貰わないのにも腹立ってくるって言ってましたね。ティッシュなんだから貰えよと思うんだって、配るほうとしては。私それを聞いたらもう、すっごい貰うようになったもん。

三谷:早く配り終えたいと思ってる人からも貰えないっていうのは、悔しいですけどね。

清水:昔ね、海外の人に言われたんですけど。日本というのは、ティッシュペーパーを歩いてると貰える国っていうのは本当なのかって。しかもティッシュペーパーをいらないっていう人もいるってのは本当か? って聞かれたことあったの。

三谷:ティッシュは買うものなのにと?

清水:それを無料で貰えるというのにまず驚いて、しかも断る人がすごくたくさんいるというのにまたびっくりしたんだって。

三谷:言われてみればそうですね。】

〜〜〜〜〜〜〜

 ちなみに、この項の「ついでの話」として、三谷さんはこんなエピソードを紹介されています。
【ポケットティッシュを開発したのは日本人。明星産商の森宏社長が、昭和48年に広告宣伝用のマッチ箱から広告宣伝用の携帯用ティッシュを考案し、銀行などで「粗品」として採用されたのがきっかけで全国に広まった。いかにティッシュを折りたたんでいくかが開発の一番大きな課題だったという。】
 
 僕もティッシュを目の前に差し出されると「受け取ったら負けだ」と無視して通り過ぎようと努力することが多いのですが、考えてみれば、別にティッシュくらい受け取ってもどうってことないというか、頑なに拒否するほど嫌なことをされているわけでもないんですよね。全く何も持たずに歩いているような状況でなければ「邪魔だ!」っていうほどかさばるようなものでもないし、「ティッシュが欲しいなあ……」という緊急事態ってたまにありますしね。そして、ティッシュやチラシを配っている人の近くを通るときって、かなり緊張して「僕の目の前に差し出すなよ……」と拒絶のオーラを全身にみなぎらせているのにもかかわらず、前後の人の前にだけ差し出されて自分がスルーされたりするのもちょっと寂しいものなんですよね。それがファッション系の宣伝だったりしたら「僕はきっとオシャレに興味がないオタクだと思われているんだろうな……」とか落ち込んでしまったり。

 それにしても、ああいうチラシ配りのバイトというのもけっこう大変ですよね。彼らだって自分が通行者だったら受け取らないかもしれないけれど、通行人にひたすら拒否されながらもノルマをこなすためにチラシやティッシュを差し出し続けなければならないのだから。それも、ティッシュでもついていれば「貰えよ!」という気分になれるかもしれませんが、普通のチラシだったらさぞかし辛いだろうなあ。僕は小さなことでも他人に拒絶されるのが怖いので、あのバイトをやったら、「ううっ、僕がジャニーズ系の美男子だったら、みんな貰ってくれるのに……」とか考えてしまいそうです。
 そんなに効果がありそうにも思えないのですが、ああいう宣伝方式がみんなに拒否されまくりながら無くならないのは、結局のところ、それなりに対費用効果があるということなのでしょうね。
 
 言われてみれば確かに「歩いているとタダでティッシュが貰える国」の存在を信じられない外国の人はけっこう多そうです。しかも、通行人はそれを拒否したり、場合によっては配っている人を睨みつけたりするわけだから。日本というのは、そういう意味では、まだまだ、多くの日本人が考えているよりも、ずっと「豊かな国」かのかもしれません。