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2007年01月18日(木)
『女教師ツーウェイ』って、どんな雑誌?

『ダ・ヴィンチ』2007年2月号(メディアファクトリー)「北尾トロの人力検索エンジンBookgle」の「専門誌のおもしろ連載記事を探せ」(取材・文:北尾トロ)より。

【入手が難しそうなものは直販で、書店で買えそうなものはMも同行して、こんな雑誌があったのか、どういう人が読者なんだろう、そんな素朴な思いがこみあげるような雑誌を中心に集めてみた。『ラジオライフ』のような有名どころから、ミニコミ風の『月刊けしいん』までズラリ。入手した数十冊をテーブルに並べただけで、なかなかのインパクトである。
 専門誌には、市販され、部数もかなりある雑誌、市販されるが非常に狭い層に向けられた雑誌、研究色の強い学術系の雑誌という具合にいくつかの流れがある。今回は入手しやすい雑誌を中心にしたが、学術系雑誌にはテーマによってとんでもなくおもしろいものも。私は『神語り研究』っていうのを読んでいて、特集されていた”花祭り”というお祭りに、つい出かけてしまった。
「ボクは……誘われなかった」
「え、いや、気がついたら花祭りの現場にいたんだな。あとは踊りに夢中で……」
 それはともかく、見よこの豪華さを。洞窟専門誌の『ケイビングジャーナル』だろ、地すべりだけを追究する『日本地すべり学会誌』だろ、『月刊セキュリティ研究』に『エレベータ界』もある。そこまで絞り込んで大丈夫なのか。どんな企画が目白押しなんだろう。さらに『月刊食品工場長』も味わい深いぞ。食品工場じゃなくて工場長。人に光を当てたところがポイントだ。『セメント・コンクリート』『月刊むし』『きのこ』、ダンスレッスン誌『クロワゼ』もある。これらは一般の認知度こそ低いかもしれないが、目立たないところでがっちりと、業界関係者や趣味人といった固定読者をつかんでいるのだ。そのためタイトルも女性誌のようなイメージ先行のものは皆無。
「ボクはこの『現代農業』が気になりますね。文芸誌並みの分厚さで読み応えがありそうだ」
「私は『警察公論』を推したい。現職警察官や志願者が読むのか専門に特化した編集ぶりが潔いんだ。<職務質問の要領と着眼点>なんて記事、他ではまず読めない。付録も豪華だよ」
「お、『女教師ツーウェイ』って何ですか。明治図書出版だから教育誌でしょうけど、生徒ではなく先生が読む雑誌。表紙のイラストが個性的ですよね」
 ウルサい私とMを尻目に『きのこ』愛読者にして『月刊むし』にも愛着を持つ日高画伯は目尻を下げっぱなし。
「一般読者など眼中にない姿勢がたまりませんね」
 と『ケイビングジャーナル』を読み始めている。カメラの原田氏は迷うことなく『プチナース』から手に取った。】

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 『女教師ツーウェイ』なんてタイトルを聞くと、ちょっとアダルト系の妄想に浸ってしまいそうなのですが、実際は「授業で使えそうな学習ゲーム」が紹介されていたり、「女教師授業修業への道」なんて記事もあったりで、基本的には真面目な女性教師向けの雑誌みたいですちなみに『女教師ツーウェイ』はこんな本。まあ、中には「女教師は見た」なんていう、暴露系か?と思われるようなタイトルの連載もあるのですけど。

 『現代農業』は、病院で患者さんが読まれているのを見たことがあります。内容までは見ていないのですが、「農業」を題材にここまで分厚い雑誌があるのか……と、ものすごく驚きました。そういえば、僕が二十数年前に『マイコン雑誌』を始めて読み始めたころは、まだ一般的にはコンピューター誌は極めてマイナーな存在で、僕が立ち読みしていた『I/O』(アイ・オー)という雑誌を中年くらいのオジサンが手に取り、「なんだこの分厚い雑誌は……、イチ/ゼロ……?」と呟いていたのをよく覚えています。

 すごくマイナーな雑誌ではなくても、僕にとってはファッション誌とかティーン誌、ヤンキー系の雑誌などは、全くもって理解不能の世界ですし、結局のところは個人個人の趣味の問題で、「読んでいる本人にとってはメジャーな内容」なのですよね。
 そういえば、医学雑誌というのも本当に多種多様なものがあって、限られた臓器の珍しい疾患だけに特化した学術雑誌もたくさんあるのです。そんなの誰が読んでるんだ?と思うけれど、まあ、そういうのはもともと学会費を納めている会員向けのものなので、それでもなんとかやってはいけるみたいです。

 大きな書店に行って、日頃行かないコーナーを覗いてみると、本当にさまざまな「専門誌」があることに驚かされます。学校の先生とか農業従事者のような母集団が多そうな職種相手の専門誌ならそれなりにやっていけそうなのですが、『月刊食品工場長』なんて、あまりに読者層が限定されすぎていて、全国の工場長の8割くらいが読んでいないと廃刊になってしまいそう。

 まあ、読んでいる本人は意外とその「ものめずらしさ」に気づいていないのが「専門誌」ってやつなのかもしれません。客観的にみれば『癌の臨床』とか『プチナース』なんていうのも、いろいろと想像力をかき立てられそうなタイトルではありますし。