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2007年01月12日(金)
「同窓生5人だけの非公開BBS」への憧れ

「週刊アスキー・2007.1/9・16合併号」(アスキー)の「今週のデジゴト」(山崎浩一著)より。

(「mixi疲れ」「ブログ疲れ」についての話を受けて)

【最近、幼なじみの友人が自前のサーバーを使って運営している非公開BBSに誘われた。インディーズ系SNS……というより、ようするに昔懐かしいパソ通フォーラムみたいなものである。メンバーは小学校〜高校を通じて仲の良かった、しかし最近疎遠の同窓生5人のみ。
 話題はもっぱら「今だから話せる修学旅行のあの事件の真相」だの「女子更衣室で見た×子の××」だの「30年後のこの人はだれでしょう?」だの「実は俺、卒業してから△子と付き合ってた。ほれ画像」だの、実に他愛もないガキ時代の記憶のディテール検証ばっかし。『20世紀少年』の世界だ。
 でも、これが楽しいのである。原っぱの秘密基地で密談してるみたいで。気兼ねも気後れも気疲れも不要だ。互いにプライバシーをあまり積極的に晒しはしないが、訊かれれば隠しもしない。
 パソ通時代と違い高速大容量なので、画像や動画も貼り放題。秘密クラブの秘密映像鑑賞会の趣もある。しかも全員きわめてマイペースなので「遅レスごめん。出張行ってた」、「すまん。年末進行だった」と忘れた頃に返事が来る。だからなかなか飽きないし疲れない。
 なんというか、すべてがそこそこでほどほどという実に絶妙な距離感で、コミュニケーションとテクノロジーが保たれている。
「なんだ。その程度のことは既存のSNSだってできるし、現に俺はとっくの昔からやってるぞ」と言われそうだが、それならよいのである。大切なのは、どのシステムを選ぶかではなく、だれとどう関わるか、なのだから。】

〜〜〜〜〜〜〜

 僕はこの「同窓生5人による非公開BBS」を、こういうのだったら楽しそうだなあ、と思いながら読みました。昔の知り合いと話をしていて面白いのは、やっぱりこういう「今だから話せる真相」ですしね。まあ、ときには「憧れてたA子とBが付き合ってたなんて……」と、20年くらい前の自分に戻って落ち込んでしまったりもするのですけど。
 僕はパソコン通信の経験はありませんが、昔よりはるかに簡便・高機能なはずの「みんなが入っているmixi」とか、「どこから叩かれるかわからないブログ」に対して疲れてきている面があるのは事実です。仲間内だけでささやかに盛り上がろうと思ってはじめたはずの「mixi」にも、読んでいる人の顔がある程度見えるから安心できる部分と、「こんなことを書いたら、あの人は不快に思うかもしれないな……」と書くことをセーブしてしまう部分の両方があるんですよね。何百人もの「マイミク」を抱える人なんて、結局のところ、読んでいる人それぞれの顔を思い浮かべてしまったら何も書けないだろうから、「限定公開のブログ」みたいなものでしょう。もちろん、それが「悪い」ということではないのですが、ブログから逃げ出してきたにもかかわらず、mixiのなかでも「読んでいる人が少ないだけのブログ」を作ってしまうのです。
 ただ、実際にやっていると「マイミクが少ない自分」に耐えるのはなかなか難しく、とにかく友達を増やしてしまいたくもなるのです。考えてみたら、「友達の人数が常に表示されているプロフィール」って、すごいですよね。もし現実世界で自分の顔に「友達の数」が表示されてたら、恥ずかしくて外に出られないかもしれません。それで、ついついいろんな人を「仲間」にしてしまったために、mixiのなかでも八方美人的にならざるをえなくなる人も、けっこう多いみたいです。「マイミク内マイミク機能」が実装される日も遠くないのかも。

 しかしながら、「昔はよかった」と溜息をつきながら読んでいた僕は、最後に山崎さんが書かれていたことを読んで、なんだか悲しくなってしまいました。
 そうなんですよね、「同窓生5人だけの非公開BBS」というのは、今のシステムがあれば(あるいは、mixiのシステムを利用しても)、簡単に実現可能なことなのです。問題なのは、ネットの世界の常識が変わってしまったことよりも、僕にそういう友達がいないということ、そして、そういう緩やかなコミュニケーションに、あまり価値を見出せなくなってしまったことなのですよね。

 悪いのは、mixiじゃなくて、僕の過剰な自意識と人間関係の希薄さなのか……