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2007年01月09日(火)
ゲーム業界における『●ィズニー病』の蔓延

『CONTINUE Vol.31』(太田出版)の連載コラム『がぷ式』(がっぷ獅子丸著)より。

【そういやゲーム業界には、毎年誰かが感染する『●ィズニー病』というモノがありますな。浦安のアレについては、それこそいいオネーさんなどの熱心なマニアが沢山おりますけれども、こと日本のゲームに関してはいや〜正直アカンすね。この辺のメイン対象は就学前のお子チャマで、この頃の子供はそもそも商品購入の決定権がないので、親が買い与えたいモノという意向が強く売り上げに反映されコンテンツに毒がないから親は安心してなんとなく●ィズニーという雰囲気を醸しますが、物心ついた瞬間チビッコの興味は戦隊モノとプリキュアが現実なので、商品としてのシズル感がないコンテンツは反応が極めて薄い。私なりの計算によると、●ィズニー物の成功率はというと軽く1割を切り、パチンコだったら店ごと燃やすほど。
 普通の感覚ならこんなバクチには手を出さないモンですが、なぜか毎年どこかのゲーム会社が版権を取得してリリースし、いい確率で玉砕します。過去の販売本数を調べれば、あまり手を出したくなるようまタイトルでもないンですが、この辺の傾向について身近を調べていくと、●ィズニー版権を買ったメーカーは、その時期に社長、もしくは幹部に小さい子がいるケースが非常に多いンですね。子供がそのくらいの歳だと、親が●ィズニーに注目し目の前に沢山のグッズが溢れ自然と洗脳されてゆくンでしょうね。
 その昔、在籍していた会社で社長様の子供がそのくらいのときで、いきなり●ィズニー映画の版権を持ちかけてきましたっけ。マ全力で阻止しましたが。この症状は一過性なので子供が大きくなると我に返るようです。】

〜〜〜〜〜〜〜

 最初に、ここで使われている「シズル感」という言葉について説明しておきます(僕も今調べました)。『ほぼ日刊イトイ新聞』の「オトナ語の謎。」には、
【これまた学生諸君には説明しづらい言葉である。
 ようするにアレだ、ステーキを思い浮かべてみたまえ。
 焼きたてのステーキを思い浮かべてみたまえ。
 それは、ジュージューしているだろう?
 その「ジュージュー」がシズルだ!!
 その「ジュージューしてる感じ」がシズル感だ!!
 つまり、訴求すべき対象者に、
 そのものの持つ「ジュージューしてる感じ」を伝えて、
 お客さんを「そそらせる」ことが、
 「シズル感を出す」ということなのである。】
という記述があり、要するに「実物がそこにあるような感じ、臨場感」とか「リアリティ」のようなもののようです。確かに、僕が物心ついたときくらいの記憶をよみがえらせてみても、ミッキーマウスよりも「戦隊モノ」のほうに「臨場感」を感じていたのです。だって、「ミッキーマウスごっこ」なんて、しようと思ったことはないものなあ。じゃあ、「プリキュア」と「●ッキーマウス」のどちらに「シズル感」が?と問われると、今の僕には、どっちもあんまり変わらないような気もするのですけど。
 物心ついたくらいの子供にとっては、「キャラクターとしての●ッキーマウスの魅力」というのは、ちょっと伝わりにくいのではないかと思われます。実際に目の前で動いている特撮やアニメのキャラクターと比べると、ちょっと抽象的・記号的な感じだし、物心がついたばかりのくらいの子供にとっては、優等生すぎて、あまり魅力的なキャラクターでもないんですよね。
 その一方で、「記号的」だからこそ「かわいいものの象徴」として、大人たちには愛されているのですけど。
 この文章では、『●ィズニー病』によって毎年つくられる『●ィズニー関連ゲーム』について書かれているのですが、少なくとも日本市場においては、●ィズニーのキャラクターたちの知名度や版権使用料を考えれば、「成功した」と言えるようなゲームは、『キングダム・ハーツ』シリーズという大ヒット作を除けば、セガのメガドライブ時代に何本かあったくらいです。その他は、軒並み「枕を並べて討ち死に」という状態。にもかかわらず、●ィズニーのゲームは毎年リリースされ続けているんですよね。
 どんなに「ゲーム会社の偉い人が、自分の子供に遊ばせたい」と思って「良心的な子供向けゲーム」をつくっても、子供たちにとっては、まさに「子供騙し」にしか思えなかったりするのでしょう。
 親が「子供に遊ばせたい」と思うようなゲームは、子供たちにとっては、あまり魅力的なものではないことのほうが多いのです。とはいえ、この『●ィズニー病』は、これからもそう簡単には根絶されそうもないですね。