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2006年10月29日(日)
その場しのぎの「代行サービス」

「週刊SPA!2006.10/31号」(扶桑社)の特集記事「最新代行サービス(得)便利帳」より。

(特集記事のなかの「鼎談〜冠婚葬祭出席から気まずい電話まで『便利屋が代行した(珍)実例集』」の一部です。参加している「便利屋」の方々は、大池孝さん(東京便利代行サービス)、松浦孝信さん(NANBERI)川端昴さん(便利屋・新世界)の3氏が「トンデモな依頼の実態」を語られています)

【大池孝:多いのは、気まずい電話の代行ですよね。ほとんどは、会社をズル休みしたいけど自分では言えないから、親のフリして電話してくれというケース。中には入院先のナースのフリでお願いしますっていうのもありました。実際はピンピンしているんだけどね。

松浦孝信:便利屋にお金を払ってまで会社を休んで何をしているかというと、単に彼女と温泉旅行したいだけみたいな。

川端昴:某スポーツクラブの社長なんだけど、不倫相手の女性を若い男に寝取られた腹いせに、その2人の関係を会社にリークしてほしいってのがありましたね。

大池:恋愛絡みは××のフリして△△に会ってほしいという”なりすまし代行”も多い。一番印象的だったのは、ある女性からの依頼で、彼に上司との不倫がバレそうになったので、その上司に扮して彼に会って、疑惑を晴らしてほしいと。そのときは、土下座して謝ったうえに、念書まで書かされて大変でしたよ(笑)。

松浦:僕は、中国人女性とのできちゃった結婚を彼女の両親に認めさせてほしいから、自分の父親のフリをして中国での結婚式に出席してほしいというのがありましたよ。無事に許してもらえたのはよかったんだけど、親族一同の記念写真に一緒に写るハメになって困りましたよ。

川端:彼を自分の親に紹介したいんだけど、本当の彼は茶髪で遊び人風のプーだから、まじめな会社員風の彼を装って挨拶に行ってほしいというのもありましたね。

大池:どちらの場合も、絶対に近い将来バレますよね。

川端:少し冷静に考えればそうなんだけど、当人は切羽詰まってるから、その場さえ凌げれば、後はどうでもいいみたいな感じなんだよね。

大池:冠婚葬祭の代理出席の依頼も、頻繁にありますよね。新郎側と新婦側の出席者の人数合わせのケースが一番多いんですけど、便利屋に頼んでることを実は新郎側は知らないなんている訳ありパターンも少なくない。

松浦:元風俗嬢の新婦からの依頼で、普通のOLだと信じ込ませるために、会社の上司役のフリしてスピーチしたこともありますよ。】

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 世の中には、いろんなことの「代行」を頼む人がいるものだなあ、と半ばあきれ返ってしまうような話の数々。まあ、「会社のズル休み」なんて自分自身ではやりにくいし、いい大人としては親にも頼みにくい。かえって「赤の他人」にお金で依頼したほうが後腐れがないというのも事実ではありそうです。それにしても「入院先のナースのフリで」って、会社の人がお見舞いに来たらどうするつもりなのでしょうか。

 しかし、こうしてみると、けっこう大事そうなことも「便利屋」に頼んでしまう人というのも少なくないようです。「中国人女性とのできちゃった結婚での父親の代理」とか「遊び人風の彼の代理」なんて、この文章にも書かれているように「そんなのすぐにバレるに決まっている」し、「今後のことを考えたら、そんな場当たり的な嘘は、将来的にはかえってマイナスにしかならない」としか思えません。それでも人間っていうのは、「とりあえず今のこのピンチをなんとか乗り越えられればいい!」と考えてしまうものみたいです。実際は、こんなふうに「バカだなあ」って書いている僕だって、本当に自分が切羽詰ってしまえば、同じようなことをやらないとは限らないんですけどね。いや、ズル休みの電話とか、誰か代わりにかけてくれないかと思うもの。
 「そのくらいのことも自分でできないのか!」とあきれてしまう一方で、「会社を休んで彼女と温泉に行くくらいのことでも、そこまでやらないといけないのか」と、少しせつなくもあるのです。