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2006年10月23日(月)
5億円使っても満たされない「渇き」

日刊スポーツの記事より。

【宇多田ヒカル(23)の母で歌手の藤圭子(55)が今年3月、所持していた現金約42万ドル(約4900万円)をニューヨークのケネディ国際空港で差し押さえられていた件で、22日放送のフジテレビ系情報番組「スタメン」の取材に応じた。多額の現金はカジノで使うためだったと説明し、「カジノの利用者が大金を持つのは当たり前。(麻薬探知犬が現金に反応して)悪人みたいに思われたけど、麻薬なんて全く関係ない」と主張した。

 また、ここ5年は欧州各国やオーストラリア、米国内を航空機のファーストクラスで移動して、渡航先では高級ホテルに数カ月連続で滞在する生活の一端を明かし、「5年で5億円は(銀行口座から)現金を下ろした」と説明。生活レベルから、多額の現金を持っていても不自然ではないとした。藤は宇多田の所属事務所役員を務める。同事務所代表で夫の宇多田照実氏は米検察当局に対し、差し押さえられた現金の返還を求める民事訴訟を起こすという。】

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 5年で5億円……
 藤圭子さんは大スターですからお金持ちではあるんでしょうけど、さすがにこの大金には、娘の宇多田ヒカルさんの稼ぎの一部も含まれているのだろうと思われます。しかし、「ここ5年は欧州各国やオーストラリア、米国内を航空機のファーストクラスで移動して、渡航先では高級ホテルに数カ月連続で滞在する生活」というのは、一般人の感覚で言えば、やっぱり「まともじゃない」ですよね。
 ワイドショーなどでは、この藤圭子さんの「ご乱行」を嘲笑するようなコメントが多発しているようなのですが、僕はこの記事を読んで、なんだかとてもいたたまれない気持ちになってしまったのです。僕もギャンブル好きだし、この週末もパチンコや競馬で惨敗してしまったばかりだったので。
 いや、「いつか3億円が中るかもしれないと思って毎年10枚ずつ宝くじを買い続ける人」というのは、全然病んではいないと思うのですよ。そのレベルで「消化」できているのなら、十分許容範囲内だと思うから。

 「人はなぜギャンブルにハマってしまうのか?」と考えることがあるのですが、僕自身に関して言えば、「お金が欲しい」というよりは、「気分転換」、もっと切実な言葉にすれば「現実逃避」だったりするわけです。長年競馬やパチンコをやっていて、ある程度の学習能力がある人間であれば、「こういうギャンブルというのは、なんらかの『ウラワザ』を持っていないかぎり、やればやるほど負けていくばかり」ということに気づかないはずがないのです。現実に、競馬のインターネット投票をするための銀行の口座からはどんどんお金が減っていき、入金することはあっても出金した試しはなく、勝つ頻度、勝つ金額に比べれば、負けたときのダメージはあまりに甚大なことばかり。でも、止められない。
 藤さんの場合は、少なくとも数億円くらいは損をしていると思うのですが、いくらなんでもそれだけ負ければ「学ぶ」のではないかと考えますよね普通は。
 でも、実際は、それだけ負けても藤さんは同じ生活を続けているのですから、これはもう「勝ちたいとか、取り返せるとか信じているのではなくて、ただただ麻薬に溺れてしまっているように、ひたすらお金を遣い続けている」ようにしか思えません。そして、彼女のような大スターにも(大スターだから、なのか?)、何億円ものお金を投げ捨てても埋められない、でも、それ以外に埋める方法が思いつかないような心の闇がある、というのは、なんだかとても怖い話なのです。僕などは、1回、100万くらい一度に負けたら、目が覚めるんじゃないか?と夢想することがあるのですが、たぶん、金額の大きさで解決できる問題ではないのでしょう。じゃあ、今度は200万円!とエスカレートしていくだけで。
 負けることは頭ではわかっているはずなのに、生活に困って一か八かの勝負をしなければならないわけでもないのに(むしろ、経済的には大きなマイナスにしかならないのに)、それでもギャンブルは止められない。
 「人生の何がそんなに面白くないんだ?」と問われても、僕自身にもよくわからないんだけどさ。
 どんなにお金をばらまいても満たされないとき、人は、いったいどうすれば救われるのだろうか?

参考リンク:「借金は身を滅ぼす」