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2006年07月23日(日)
「道で死んでいる動物収集マニア」の主張

「NAMABON」2006年8月号(アクセス・パブリッシング)のなべやかんさんの連載エッセイ「下北沢のやかん」より。

【世の中には、色んな人がいる。人それぞれ、考え方、趣味、嗜好が違う。人と仲良くなるには、どれだけ相手のことを理解し、わかってあげられるかだろう。
 つい最近、某ラジオ局の人達と食事をした。最初は、ラジオの話をしていたのだが、徐々に話題は女性スタッフの恋愛話へと移行していった。Mさんは、長年付き合った彼氏と別れたばなりだった。初めは「なぜ別れたのか?」という話題だったのだが、次第に性癖へと向かう。
「Hビデオ撮影ってみんなするでしょ?」とMさんは、さも当たり前のように言った。一同、驚きだったのだが、ここで「そんなこと全員が全員しないよ」と言ってしまうとバリヤーを張って死んだ蛤のように口を閉ざしてしまうので、「そうだね。たまに撮るよね」と相手に乗ることにした。「ビデオは思い出に撮っとくんだ」そう話すMさんには、まだまだ隠していることが多そうだ。「他に思い出にはないの?」「彼の思い出は、いっぱいダンボールに詰めてるよ」また新しいアイテムが登場してきた。さっきは思い出は映像として残してあるものだったが、今度はもっと物質としての思い出だ。ダンボールには、一体何が入ってるのか?

(中略。ダンボールの中身として、「カサブタ」とか「綿棒」が挙げられます)

「まだあるよね?」「え!他に? う〜ん、彼が飼ってた犬の尻尾かな?」これには、さすがのオイラも驚きで、開いた口どころか開いた肛門まで開きっぱなしになってしまった。「犬の尻尾って、抜け毛?」「違うわよ。ちゃんとした尻尾よ」「えええ〜、なんでそんなもんが欲しいの?」そう聞いた時、Mさんのことをよく知っている男性スタッフが助け舟を出した。「違うんですよ、Mさんは動物の死骸があると欲しくなっちゃうだけなんですよ」何が違うんですよだ!!それが違うだろ!
 あまりにも違いが生じたので、詳しく聞くしかない。「死体って、何?」「家の方は茶畑が多いから、しょちゅう動物が車にはねられたりして死んでるの。見つけると、欲しくなっちゃうのよね」「だから、何で欲しくなるの?」「今まで、かわいい顔して人に媚売ってたのが、死んで動かなくなるしょ? それを見ると、私だけのものだって思っちゃうのよね。だから、持って帰るの」「持って帰ってどうするの?」「家で2〜3時間眺めてから、山に埋めるのよ」埋葬してあげる優しい気持ちまではわかるが、それまでの過程が理解不能だ。

(中略)

 Mさんは話し終えた後、こんなことを言った。「本当はあまり話したくなかったの。だって、取られちゃうと嫌だから」誰もダンボールの中のカサブタや他の品々を欲しがらないだろう。そして、道で死んでる動物収集マニアも、数少ないと思う。「言って失敗したわ。盗まれないよう気をつけないと」無駄な心配である。人を理解するのって大変だ。】

〜〜〜〜〜〜〜

 いやまあ、世の中には、本当にいろんな趣味の人がいるのですね。
 でも、さすがにこれを理解するのは難しいかも……
 しかし、Mさんにはつい最近まで彼氏がいたという話ですから、世の中にはいろんな趣味の人がいて、そういう趣味の人に対する許容範囲も人それぞれ、なのでしょうね。
 僕だったら、もし自分の彼女がこんな「死体愛好家」だったら、やっぱり付き合っていくのは厳しいです。家に突然動物の死骸が持ち込まれ、彼女がそれをめででいたりしたら、そりゃあもう引いてしまうこと確実。
 さすがに考えすぎなのかもしれませんが、趣味が高じて、僕も彼女の独占欲を満たすために死体にさせられたりするんじゃないかと不安になったりしそうです。ただ、この「違うんですよ、Mさんは動物の死骸があると欲しくなっちゃうだけなんですよ」と「助け舟」を出した男性スタッフのように、大概の「性癖」なんていうのは、そのうち慣れてしまうということもあるのでしょう。でも、「だけ」って、ねえ……
 Mさん自身の言動からすると、本人としては、そんなに「異常」なことだとは考えていないみたいですし、「それで誰かに迷惑をかける」ということも、あまりなさそうな「趣味」ではありますけど。

 世の中には、いわゆる「死体愛好家」がいるという話は聞いたことがあるのですが、もしかしたら、道路に転がっている動物の死体がいつの間にか無くなってしまっている理由のひとつは、Mさんのような人の存在があるのかもしれません。
 実際は、誰でもひとつやふたつは「偏った趣味」を抱えて生きているものなのだとしても、やっぱり、これはちょっと引いてしまう「性癖」ではありますね。