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2006年03月27日(月)
「麦茶に砂糖」の記憶

「ゴハンの丸かじり」(東海林さだお著・文春文庫)より。

【TBSの朝の番組「はなまるマーケット」を見ていたら、麦茶の特集をやっていた。
 番組の中で、
「子供のころ、麦茶に砂糖を入れて飲んでいた」
 ということが話題になっていた。
 ヤックンの世代だから、30代ということになり、その人たちの子供時代というと、今から20数年ぐらい前ということになる。
 そうだっけ?
 麦茶に砂糖入れたっけ?
 いやいや、ぼく自身にはそういう記憶はない。
 麦茶なんてものは、そんなふうにして飲むのものではなかった。】

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 この東海林さんのエッセイの初出は、2001年の7月です。「ヤックン」こと薬丸裕英さんの誕生日は、1966年2月19日ですから、現在(2006年3月)からすれば、ちょうど30年くらい前の話だと思われます。
 僕は薬丸さんより少し年下なのですが、これを読んで自分の記憶を辿ってみると、僕も子供の頃、「砂糖入り麦茶」をたまに飲んでいたのです。当時も同級生に「えーっ、甘い麦茶なんて気持ち悪い」と言われたような記憶があるのですが、実際に飲ませてみると「けっこうおいしい」派と「やっぱりなんかヘン」派に分かれていました。当時は「子供が飲める甘い飲み物」と言えば、せいぜいおやつのカルピスかプラッシーくらいのものでしたから、「甘い」ということそのものがひとつの「価値」でした。コーラは「骨が溶ける」とか言われて、家では飲ませてもらえなかったし、僕も炭酸がきつくてちょっと苦手だったし。
 でも、子供時代の僕が「麦茶に砂糖」というアイディアを思いついて自分から親にリクエストしたとは考えにくいので、あれは、僕の母親がどこかから受け継いできたものなのだと思われます。しかしながら、あのもともと甘みの気配もない麦茶を甘くするのには、けっこう大量の砂糖が必要だったみたいで、子供の健康に配慮してか、僕の親も何かのイベント(遠足とか運動会とか)のときか、よっぽど気が向いたときくらいしか、作ってくれませんでしたけど。それにしても、「はなまるマーケット」で話題になるくらい、「珍しい飲みかた」だったのか……
 今は僕も大人になったので、麦茶に砂糖を入れて飲むなんてことはありません。わざわざそんなことをしなくても、「甘い飲み物」なんていくらでもあるわけだし。まあ、昔は、こんなにみんなが「お茶」を自動販売機やコンビニで買って飲む時代が来るということも、全然予想していなかったことではあるのですが。ただ、あの「ほろ苦い甘さ」というのは、不思議な魅力があったような気もするんですよね。単に「郷愁」なのかもしれないけどさ。
 
 ちなみに、この東海林さんのエッセイの最後には、【でも、江戸時代の記述に「砂糖を入れて飲む」というのがあるそうです。念のため。】という一文がありますので、「麦茶に砂糖」というのは、それなりの歴史と伝統があるみたいです。さすがに江戸時代の人が、「麦茶に砂糖」に対してどんな印象を持っていたのかまでは、書かれていませんでしたが。