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2006年02月24日(金)
「社会で子どもを育てる」という選択肢

asahi.comの記事より。

【人口減に悩む福島県が、従来の「里親制度」を、人工妊娠中絶を減らし、出生率を高めるための施策として活用していく方針を決めた。新年度から新たに「里親コーディネーター」を配置し、出産を迷う妊婦らにも制度を紹介する。女性の「産む、産まない」の選択権が狭められないかなどの論議も予想されるが、同県は「中絶を考えている人に産んでもらい、社会で子育てを担いたい」としている。
 里親制度は、虐待などで親との同居が難しくなった子どもを一般家庭で育てる仕組み。各都道府県が所管しているが、厚生労働省によると、出産前に制度を紹介するのは異例だ。
 福島県によると、まず産婦人科医に依頼し、出産を迷う妊婦のうち希望者に里親制度など子育て支援策を紹介するパンフレットを配布。問い合わせに応じて児童相談所が詳しく説明し、出産後、実際に子育てが困難な場合には里親を紹介する。里親は、原則18歳まで育てる「養育里親」を想定している。
 県は新年度当初予算に約2000万円を計上、新たに里親コーディネーターと心理嘱託員を4人ずつ雇い、児童相談所に配置する。コーディネーターは親と里親の間をとりもち、心理嘱託員は紹介後も継続して親や里親の心のケアなどを担う。
 福島県の人工妊娠中絶実施率(女性の人口千人あたりの件数)は04年度で15.8。全国平均の10.6を大きく上回った。15〜19歳では17.7とさらに高率だ。一方で県の人口は97年の約213万人をピークに減り続け、今年1月1日の推計で約209万人に。
 里親コーディネーターらの配置は、児童相談所の児童福祉司不足を補うのが目的だったが、予算案を詰める際に中絶実施率の高さを問題視する声が上がり、里親制度の幅広い活用が論議された。
 川手晃副知事は「妊娠中絶を考えている人に『産む』という選択肢も提示した上で、できるだけ産んでもらい、社会で子どもを育てようというのが狙いだ。倫理的な問題を指摘する声があるかもしれないが、出生率の低下や中絶の問題は深刻だ」と話している。】

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 確かに、こういう「選択肢」が存在するというのは、けっして悪いことではないのだと思います。でも、その一方で、ここまでして少子化対策をやらなければならないところまで来ているのか…ということに、正直、違和感というか、戸惑いを感じずにはいられません。この制度というのは、要するに、「とりあえず子供さえ産んでくれれば、後はなんとかするよ」ということのように思えるので。
 それでも、世の中には欲しくても子供に恵まれない夫婦もけっして少なくないわけですから、中絶で失われてしまう命であるならば、この制度で世に生を受けたほうが「幸せ」なのでしょうか?まあ、生まれてこなければ、幸せも何も関係ないわけで、やっぱり、これはこれで意義のある制度なのでしょう。
 しかしながら、その一方で、産んだ側としては、いくら「社会で子どもを育てる」と言われたところで、この世界のどこかに「自分の子ども」がいるというだけで、やっぱり心のどこかにずっと引っかかっている面はあるでしょうし(それは、中絶でも同じなのかもしれませんが)、ひょっとしたら、里親制度で経済的には問題なくても、そういう「産んだ後も続く精神的な苦しみ」のほうが大きいのではないかなあ、と感じるのですよね。それに「社会で子どもを育てる」って豪語できるほど、社会の側には子どもを育てようという意思があるのだろうか?
 それにしても、若者の堕胎って、都会のほうが多いようなイメージがあったのですが、福島のようなあまり都会ではなさそうな土地でこんなに高率だったとは意外でした。他にやることないのか?と同じ田舎者の僕には言えた筋合いではないのですけど。