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2005年07月31日(日)
藤田社長の「しつこくてかわいい彼女」

「渋谷ではたらく社長の告白」(藤田晋著・アメーバブックス)より。

【結婚してから、1年が過ぎました。
 結婚したことによって、何かが劇的に変わったという実感はありません。
 妻と一緒に過ごせるときは、買い物や食事に出かけたり、スポーツクラブに行ったり……と、いたって普通の生活です。
 生活自体は変わりませんが、ただ、気持ちの上では若干の変化があるような気がします。やはり家族がひとり増えた、ということは私の人生にとって大きな変化です。
 経営者としてつらい状況に耐えていた時期に、「最後に頼れるのは自分だけだ」という結論に至ったものの、妻という自分の味方がひとり増えたということは、やはり安心感があります。妻自身も、持ち上げられては叩かれて、という芸能界の荒波に揉まれた経験の持ち主です。おそらく私と同じような気持ちを抱いているのではないでしょうか。
 疲れて家に帰っても、笑顔で迎えてくれる人がいる――。そういった意味で、精神的な安定感は増したのかもしれません。
 経営者とは、ある程度プライベートを犠牲にしなければ務まらない立場だと思っています。めまぐるしい毎日の中では、どうしても仕事に費やす時間を優先しがちだからです。結婚前は、女性と付き合うことがあっても、彼女たちのことはいつも二の次になっていました。
 そのせいか、それまでお付き合いしてきた女性は、忙しい私に遠慮してくれるタイプの女性ばかりでした。むしろ、そんな彼女たちの理解ある態度に甘えていたのかもしれません。しかし妻は私の仕事に関して、もう容赦なく訳がわかっていない状態でした。
「仕事が忙しいから、今週末はちょっと無理かな」
「え?どうして?」
「いや、だから……仕事が……」
「だから、どうして?」
 会いたい気持ちをストレートに表現されることに慣れていなかった私の目には、そんな彼女の態度はとても新鮮に映りました。自分は愛されている、という安心感がありました。なんというか、しつこくてかわいいのです。】

〜〜〜〜〜〜〜

 結局、藤田さん夫妻の結婚生活は、この記述から半年後に終わりを迎えてしまいました。これを書いた時点で、なんらかの「終焉の兆候」がみられていたかというのは、御本人たちにしかわからないことなのですけど。
 正直、あの離婚のニュースを聴いたときの僕の感想は、「けっこう急にだったなあ…」というものだったのです。そう、「離婚した」という事実そのものが信じられないというよりは、いずれはそうなるかもしれないけれども、それにしても早かったな、と。
 根っからの「仕事人間」であり、上昇志向が強い藤田さんと、「女優」であり、けっこう「奔放」であるという評判が絶えなかった奥菜恵さんというカップルが、「夫婦」という枠のなかでずっと収まり続けるのは、なかなか難しいかな、という印象はあったのですけどね。
 ただ、この文章を読んでいると、人と人との「縁」とか「結婚」というものについて、いろいろと考えてしまうのです。
 【会いたい気持ちをストレートに表現される】新鮮さは、藤田社長が奥菜さんに惹かれた理由なのでしょうが、実際のところ、「週105時間労働」なんて公言している藤田社長にとって、「ストレートな妻」との「家庭生活」というのは、なかなか難しいところも多かったのではないでしょうか。「わがままな彼女」はかわいくても、「わがままな妻」は、「かわいい」だけでは済まないでしょうし。こうなってから考えると、藤田社長にとって本当に長い間つきあっていけるパートナーというのは、【忙しい私に遠慮してくれるタイプの女性】だったのかもしれないなあ、と客観的には思えるのです。
 でも、恋愛感情というのには、そういう「計算」が働かない場合も多いのですよね、きっと。
 周りがみんな「前の恋人のほうが良かったんじゃない…?」というような新しい恋人を選んでしまうという例は、僕の身近な範囲だけでも、数え切れないくらいですし。
 まあ、奥菜恵と「結婚生活」を送れるのなら、たとえそれは1年半で破綻したとしても、それはそれでうらやましいような気もしなくはありません。御本人は「個人的には、会社が潰れそうになったときよりもキツかった」とブログで書かれていましたから、やっぱり「離婚というのは大変」だったのでしょうけど。
 「愛されているという安心感」というのは「しつこい」「めんどくさい」と紙一重なのかもしれないし、本当に、恋愛と結婚生活を同じ相手と続けていくというのは、ものすごく難しいような気がしてくるのです。