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2005年07月03日(日)
いま、「野球盤」が熱い!

『ダカーポ・563号』(マガジンハウス)の記事「親子2代で楽しめるレトロ玩具が売り上げ4倍のナゼ」より。

【ゲームと言えばコンピューターゲームがすっかり主流だが、ここ数年ボードゲームの人気が復活している。
 とりわけ、一昨年度の販売実績が前年同期比の400%という驚異的な売り上げを記録しているのが、エポック社の「野球盤」である。
 初代の野球盤が発売されたのは1958年。長嶋茂雄の巨人軍入団の年に生まれた野球盤は、30〜40代なら誰もが子どもの頃に一度は遊んだことのある昔懐かしいゲームである。
 累計で1000万台を売り上げるロングセラーのボードゲームが、なぜ今また熱くなっているのか? ビジネス的な仕掛けについて、エポック社に聞いた。
「ここ2,3年前からレトロ玩具がブームになっていますが、野球盤もまさしくレトロ玩具。新機種を今出すなら懐かしい雰囲気にしようということで発売したのが『野球盤スタンダード』です。”野球盤と聞いて、どんなのを思い出しますか?”といろんな方に聞いてみると、74年に発売された緑のバージョンを思い出すと言う方が多かった。そこで、『野球盤AM型』をモデルにして、ロゴの色合いやフォントなどを似せるなど当時のパッケージの雰囲気を再現し、盤面も当時を思い起こさせる緑色にしました」

(中略)

 実際に遊べるよう、専用の什器を作って2000店に配置したのもヒットにつながった。
「店頭サンプルをここまで大々的にやったのは久しぶりですが、これまでの野球盤だったら、ここまでの効果はなかったと思うんです。というのも、30年前に野球盤AM型で遊んでいた人たちは今40前後で、その人たちの子どもは小学校中学年くらい。野球盤は、そのぐらいの子どもたちに一番響くんですよね。店頭でこれを見かけたら、ふだんテレビゲームばっかりやっている子どもたちにとっては新鮮ですし、お父さんたちは”これなら子どもに勝てる”と懐かしがってくれる――。思い出しただけで欲しいと思ってくれる人たちがたくさんいるんだというのが、去年1年間やってみて確信したところです」】

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 あの「野球盤」が、最近また売れているらしいのです。そういえばこの間某大型家電量販店に置いてあるのを見かけて、「ああ懐かしいなあ、でも、今の子どもたちは、こんなので遊んだりしないんだよねえ」と思った気もしますし。そうか、本当に「売れている」のか。
 僕が小学生のころは、「野球ゲーム」といえば、この「野球盤」でした。このゲームを遊ぶには、守備側と攻撃側の2人が必要で、攻撃側はボタンを押すと金属のバットを、ぶるん、とスイングでき、守備側は、実質的はピッチャーの操作だけで、パチンコ玉くらいの大きさの金属のボールを、レバーを引いて押し出すことによって「投げる」というものでした。でも、バージョンがあたらしくなると、磁石の力でボールがカーブしたりするんですよね。
 そして、この野球盤のなかでエポックメイキングだったのが「消える魔球」機能。当時流行っていた「巨人の星」の魔球「大リーグボール2号」が、この「消える魔球」だったのですが、マンガでは、「高速でワンバウンドしたボールが、土けむりに隠れて消える」という設定だったのです。そして、この野球盤では、ピッチャー側の操作によって、ホームプレートの前のところに穴が開いて、ボールが下に落ちて見えなくなる、というシステムになっていました。なにしろ、野球盤のバットというのは真横に回転するだけですから、縦の変化には適応しようがありません。一応、「見送ればボール」というルールにはなっていたのですが、子供心に、「なんて卑怯な機能なんだ!」と憤ったのをよく覚えています。そのほか、「バットに当たった打球は、野手の前の穴に入らなければヒット」というような、大量得点が助長されるようなルールとかもあったんですよね。
 ただ、実際に遊んでいたときの記憶では、どんどんそういう公式ルールはアレンジされていきましたし、とくにピッチャーは、投球用のレバーを壊れそうなほど引っ張って豪速球を投げるワザとか、消える魔球とみせかけて、ボールがバッターの手前にきたときにタイミングよく穴を閉じてジャンプさせる魔球とかをみんなそれぞれ工夫していたものです。
 今の野球ゲームと比べたら、本当にシンプルな野球盤というゲームなのですが、当時はあの「カキーン!」という金属のバットとボールがぶつかる音に、ものすごく興奮させられたんですよね。いくらシンプルなゲームとはいえ、あの金属音は、ものすごくリアルな感触として、今でも思い出せます。あれだけは、現代のコンピューター野球ゲームがいくらリアルになっても、かなわない感触なのかもしれません。
 そういえば、僕は野球盤を一人で遊ぶ子どもで、あまりにずっとやっていたために、付属の金属のバットを2本折った記憶があります。あれって、長い間やっていると、金属疲労で折れるんですよ本当に。今は、一人でゲームをやっているというのが当然の時代だけれど、あのころに一人で野球盤やってたっていうのは、今から考えたらひたすら暗い子ども時代だったなあ……