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2005年06月28日(火)
「はな垂れ女優」の逆襲

日刊スポーツの記事「日曜日のヒロイン・470」上野樹里さんのインタビューの一部です。

【インタビュアー:続く映画「スウィングガールズ」で、コメディエンヌの才能を発揮した。茶の間で家族とくつろぐ場面。寝そべって本を読んでいるとき、矢口史靖監督から、リラックスした雰囲気を狙って「鼻をほじって」と注文が出た。躊躇なくやってみせた。イノシシに襲われる場面では、鼻水を垂らした合成カット。現場では事務所スタッフの親心と、自分のサービス精神が”衝突”した。

上野:鼻をほじる場面では事務所スタッフが反対しましたが、面白いからいいじゃんと平気でやりました。キレイに映りたいという気持ちはあまりなくて、お客さんが楽しめる面白いものになればいいって考えちゃう。何でわかってくれないんだろうと少し落ち込みました。鼻水のシーンも、映画の完成前にスタッフから『はな垂れ女優って一生言われるぞ』って怒られたのですが、試写を見たらスタッフも大喜びしてました(笑い)。】

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 現在19歳、「スウィングガールズ」で一気にブレイクした観もある上野樹里(うえの・じゅり)さんのインタビュー記事なのですが、今の世の中でも、やっぱり、スタッフからのプレッシャーとか、事務所の方針みたいなものって、やっぱりあるのだなあ、と思いました。まあ、確かに「演技」とはいえ、うら若い女の子が、映画という公衆に晒される舞台で、鼻をほじったり、鼻水を垂らすなんていうのには、本人も抵抗はあるでしょうし、事務所としても「そんなことをやったら、イメージダウンになってしまう」と考えたに違いありません。
 でも、実際はどうだったかというと、この「面白いからいいじゃん」という上野さんの「サービス精神」が、結果として彼女を「個性派」として、人気女優に押し上げていったのですよね。実際、「鼻垂れ女優って言われる!」と危惧していたスタッフも、試写を観て「大喜びしていた」わけですし。
 やっぱり、観る側としては、「演じる側がカッコよくみせようとばかりしている、ナルシスティックな演技」よりも、「お客さんを楽しませたいというサービス精神」のほうが、好感が持てるし、インパクトもありますよね。
 そして、周りのマイナス面ばかりを気にしていたスタッフよりも、上野さん自身のほうが、自己プロデュースの仕方を理解していた、ということなのかもしれません。
 こうして考えると、「カッコ悪くみられるのはイヤだから、無難にやっている」つもりで、かえって、自分の魅力を引き出すチャンスを逸している場合も、けっこうあるのだと思います。いやまあ、誰だって「鼻さえほじれば魅力的!」なんてことはないんだけれど。

 今となっては、「はな垂れ女優」なんていうのも、女優・上野樹里の「看板」みたいなものですからねえ。