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2005年04月06日(水)
チャールズ皇太子の救われない晩年

毎日新聞の記事より。

【「だだっ子のような皇太子」(3日付サンデー・タイムズ紙)。カミラ・パーカー・ボウルズさん(57)との結婚式を9日に控えたチャールズ英皇太子(56)への風当たりが収まらない。メディアとの不仲や国王の資質への疑問、ローマ法王の葬儀と重なって挙式を1日延期する「不運」――。祝賀ムードとほど遠い皇太子の再婚は、将来の王室への英国民の不安をかきたてている。【ウィンザー(ロンドン西郊)で小松浩】
 ◆冷笑ムード
 「チャールズ、カミラの記念品? 1日150個さばいてるよ」。ウィンザー城近くで土産店を経営するディロンさん(44)が言った。売れ筋は2人をあしらった4.99ポンド(約1000円)のティータオル。カップや絵皿なども並ぶが、客の入りは今ひとつだ。
 点線を入れ「離婚したらここから割りなさい」と書いたマグカップが売られたり、4月8日の日付入りの記念品が式の延期でプレミアムがつき、かえって売れる珍現象も起きている。
 9日は、エリザベス女王夫妻抜きの親類縁者ら30人がウィンザーの市庁舎(ギルドホール)でひっそり祝う「世紀のジミ婚」となる。24年前、世界の賓客3500人を招待し、群衆60万人が通りを埋めたダイアナ妃との挙式時の熱気とはまったくの様変わりだ。
 ◆「大衆の心」
 色恋と義務のはざまで悩んだ例は、英王室では珍しくない。エリザベス女王の伯父エドワード8世は1936年、国王の座を捨てて離婚経験者である米国人シンプソン夫人と結婚、世間は「王冠を懸けた恋」と呼んだ。
 一方、女王の妹マーガレット王女は、妻と離婚した空軍大佐との結婚を望みながら身を引いた。新聞は「恋愛より義務を優先」と同情した。50年前のこの悲恋を、BBCが3月下旬にドキュメンタリーで放映。皇太子と比較して番組を見た国民は少なくなかった。
 チャールズ皇太子には「われらがダイアナ妃」を捨てた男、というイメージがどうしてもつきまとう。「皇太子はカミラのハートを射止めたが、大衆の心を失う危機にある」とサンデー・テレグラフ紙は書いた。
 ◆前途多難
 つい最近、英国の賭け屋が「2010年1月の国王」は誰かで商売したところ、トップのエリザベス女王に続き、賭け率500倍の「そのころ王室はなくなっている」が2番目に多い票を集めた。英国民の王室離れは深刻だ。不人気の皇太子が王に即位すれば、英国王を元首とするオーストラリアやニュージーランドなど英連邦諸国で、独自の大統領を選ぶ共和制への移行が現実味を帯びる可能性もある。
 先月末、スイスのスキー場で2人の息子とともにマスコミの写真撮影に応じた皇太子は、雪の中のマイクに気づかず「やつらはひどい連中だ」とつぶやき、英国中に放映された。「国王として品位に欠ける」と反発を招き、皇太子の横で「笑って、笑って」と冷静にアドバイスした長男ウィリアム王子の株はさらに上がった。「皇太子の再婚は女王を元首とする全国民にかかわる問題だ。我々がいつの日か『チャールズ国王』を目にする可能性は薄れつつあると思う」。労働党のマッキンレー下院議員は話した。】

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 僕は別にチャールズ皇太子贔屓ってわけじゃないですが、最近のバッシングぶりには、正直ちょっとかわいそうな気もしてきました。「皇太子」っていうと、どうも若々しいイメージが先行しがちですけど、チャールズさんは、もうすぐ還暦を迎えるような年齢になっておられますし、ダイアナ妃とのことに関しては、傍からみれば、お互いさま、という面も大きかったのではないかなあ、とも感じますから。この年齢になって、「ダメおやじ」のような扱いを受けた挙句、息子に冷静にアドバイスされている姿には、かなりの哀愁が漂っていそうです。僕が皇太子だったら、文句のひとつも言いたくなる状況なのは、まちがいありませんし、もう50代も半ばなだけに、かえって頑固になってしまっている面もあるのでしょう。ここまでマイナスイメージが染み付いてしまうと、今さら何をやってもそう簡単にイメージアップははかれないだろうしなあ。
 おまけに、せっかくの「結婚式」も、母親には出席を拒否され、列席者はわずか30人。再婚というのを差し引いても、ものすごいジミ婚です。それこそ「目撃!ドキュン」とかの企画のほうが、はるかに列席者が多いのではないかと思われます。その上、ローマ法王の葬儀と挙式の日が重なってしまうという不運っぷり!
 そもそも、今さら「結婚」をする必要があるのか?という気持ちにすらなるのですが、カミラさんも長年苦労してきたのでしょうから、せめて籍だけでも…とか思うのも、無理のないところなのかもしれませんね。カミラさんが今から子供を産んで…というのは、ちょっと非現実的な話なだけに。

 それにしても、男の立場としては、チャールズ皇太子は辛いだろうなあ、などとも、つい考えてしまうのです。だって、一緒に来日したときも、ダイアナ妃のおまけみたいな扱いだったしねえ。僕だって、「どうしてダイアナ妃よりカミラさんなの?」とか思いますけど、それこそ、本人たちにしかわからない「事情」というやつもあったのでしょう。最近は、チャールズ皇太子は、単なる「ネタ」として、国民のオモチャにされているのではないか、という気もします。
 ウイリアム王子の弟のヘンリー王子は、ナチスの将校の格好をして仮装パーティに出席して物議を醸しましたが、王子くらいの年齢なら、「若気の至り」なんて同情的な見方もできます。でも、還暦近くなって、これだけのバッシングを受けてしまう現代の「王室」というのは、つくづく大変ですよね。
 だいたい、イギリスがカトリック教会から宗教的に独立した「国教会」を成立させたきっかけも、ヘンリー8世の離婚問題に対して、当時のローマ教皇が離婚を認めなかったからなのですから、今回のチャールズ皇太子の騒動も「お家芸」と言えなくはないような気も……