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2005年01月10日(月)
メールの返信までの時間に対する「許容範囲」

「人のセックスを笑うな」(山崎ナオコーラ著・河出書房新社)より。

【ユリは携帯にメールを送っても次の日に返事をしてくるし、電話には滅多に出ない。着信履歴を見ても、かけ直してくれない。聞いてみると、それが当たり前と思っていた、と言う。携帯は家に置き忘れることも多いし、大事じゃない人には、一週間ぐらいしてから返事を出している、次の日返事を出すのは早いと思ってた、と言うのだ。
 オレや友達はみな、携帯は常に持っていて、すぐに返事を出していたから、驚きだった。】

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 19歳の美術学生(オレ)と39歳の講師(ユリ)のラブストーリーの一節です。メールというのは、比較的「自分の好きなときに受信して、自分の好きなときに返信できる」というコミュニケーションツールだったのですが、携帯電話での「メール」の普及により、そういう「メールらしさ」のようなものは、だいぶ薄れているような気がします。僕のような「メールという文化に途中から乗せてもらった世代の人間」にとっては、駅で高校生が延々と「受信」「送信」を繰り返しているのを見て、「それなら電話しろよ!」とかつい思ってしまうんですけどね。
 僕自身にしても、携帯メールをやっていて、ついメールのやりとりを自分が「メールを受信して、返事をしていない状態」で打ち切るのは失礼じゃないか、なんて思い、同じところをグルグルまわっているようなことも少なくないのですが。
 そういう人間同士がメールをやっていれば、いつまで経っても終わらないメール無限ループになってしまうわけです。まあ、こういうのは電話にしたって、「そろそろ話し疲れたな…」と内心思いつつ、いきなり相手にガチャンと切られれば「自分は何か気に障るようなことを言っただろうか…」と悩んだり、自分から切れば「相手は気にしていないだろうか…」なんて考え込んだりもするものです。
 僕自身は、来た携帯メールの返事は、急ぎのものでないかぎり1日くらいは「寝かせる」ことが多いです。そうしないと、僕もキツイし、相手にも「すぐ返事来たから、こっちもすぐ出さなくちゃ…」というようなプレッシャーを与えてしまうような気がするから。
 こういうメールの返信に対する「許容範囲」というのも人それぞれみたいで、当日中に返信が来ないと「遅い!」という人もいるでしょうし、あまりに即レスが続くと「ちょっとつきあいきれないなあ」と思う人もいるようです。少なくとも「自分がすぐ返事が返ってこないと不安だからといって、他人も同じ基準だとは限らない」というのは、当たり前のことではありますが、しっかり頭に入れておいたほうが良いでしょう。
 でも、こういう「許容範囲」があまりに違う人とやりとりするというのは、お互いにものすごく苦痛を伴うことでもあるんですよね。

 まあ、携帯では「ショートメール」くらいで、パソコンでしか長いメールができなかった時代(とはいってもせいぜい5年くらい前)には、「メールチェックは1ヵ月に一度」なんて人はそんなに珍しくなかったのですから、そういう「メールの常識」そのものが、まだ未成熟なんでしょうけど。

 それにしても、ちょっと前までは、「メールボックスに新しいメールが来ただけで嬉しい時代」なんてのもあったのにねえ。
 今では、開ける前から「またスパムばっかりなんだろうな…」とちょっと憂鬱になってしまうのです。