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2003年10月24日(金)
「引き際の悪い中曽根元首相」とは言うけれど…

共同通信の記事より。

【中曽根康弘元首相は23日午前、小泉純一郎首相との会談後記者会見し、「突然来て、爆弾を投げるようなやり方は、総理、総裁としてとるべき態度ではない。政治的テロみたいなものだ」と激しく反論をしたことを紹介、首相や党執行部の対応を批判した。
 中曽根氏は会談で、73歳定年制を完全実施し、政界引退を迫った首相に対し「(自民党は)老人はいらないとの印象を持たれる。全国の老人が反感を持つ」と指摘、比例北関東ブロックでの「終身1位」を約束した党総裁裁定の履行を求めた。
 また、「小泉首相はインドネシアやタイ(での記者団との懇談)でも、本人の判断に従うと言ったはずだ。私はそれまでそれを信用してきた」と述べ、小泉首相への不信感をあらわにした。】

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 中曽根元首相、もう85歳になられたんですね。時間が経つのは早いなあ。
 中曽根さんの首相時代、僕が子供の頃は、田中角栄さんの傀儡政権とか言われていたものですが、今度は自分が先人に習ってきたわけで、人間というのは自分のされたことを他人にしてしまう生き物なのかなあ、などと考えてしまいます。

 今回、「引退勧告」のターゲットにされた首相経験者のうち、宮沢元総理は、引き際の潔さでかなり好感度が上昇したと思われます。84歳まで議員を務められていること自体、既に「引き際が良い」とは言い切れない面もありますが、こういう「引き際」の印象だけで、その人が後世に遺すイメージというのはだいぶ違ってくるものでしょう。

 しかし、中曽根さんの言い分にも、まったく理がないわけではないんですよね。
 「全国の老人に反感を買う」可能性はあると思います。僕がもし85歳で、まだ自分の能力に自信があったら、「個人差があるんだから、年齢だけで線引きするのはおかしい」と感じるかもしれないし。
 本人は、「まだまだやれる」って気持ちなんですよね、きっと。
 正直、画面越しの中曽根さんは、首相をされていた頃に比べれば、喋り方もあまり滑らかではないし、かなり頑固になられているような印象を受けました。
 
 医者というのは「定年がない職業」ですから、「引き際の難しさ」というようなことを僕も考えることがあります。
 他人の命を預かる仕事だから、ミスがあってはいけない。体力も昔に比べれば落ちた。
 でも、自分には若いものには負けない経験がある…
 結局、体調面や患者さんの減少により、引退を余儀なくされる場合が多いのですが、御高齢の大先輩たちの「現役であること」へのこだわりの強さには、驚かされることが多いのです。
 歌手や野球選手が「引退」して第二の人生、というのも確かに厳しい選択だと思うのですが、中曽根さんのような高齢の方の場合は引退しても、「第二の人生」をはじめられるほど若くはありませんし。 (そういうのに年齢は関係ない、って言う人もいるだろうけど、やっぱりねえ…)

 まあ、僕は中曽根さんは引退されたほうが良いと思っています。
 むしろ、ご本人の名誉のために。
 しかしながら、中曽根さんの「ワガママ」を見ていると、なんとなく可哀相な気もしてしまうのです。
 「ここでゴネて、あと一期議員をやったところで、得るものよりも失うもののほうが多いなんてことは、自分にだってわかるはずだから、御本人にだってわかりそうなものなのに」って、みんな思いますよね?
 でも、それを自分で認められないのが「年を取る」ことによる変化かもしれません。
 年齢というより、そういう判断力の低下と頑迷さを感じるからこそ、もう議員を務められるのは厳しいのではないかな、と。
 そういう意味では、宮沢さんは、まだ議員でいても良いのかもしれませんね。

 「そんな年になって、バイアグラを使いたい、だなんて、みっともない…」
 そう思うのは、僕も含めて、常に若者の視点でしかないのです。
 高齢者にには、高齢者なりの希望も欲望もあるし、そんなにアッサリと枯れてしまえるものでもないようです。
 今の日本の人口比とこれからの超高齢化社会を考えれば、さすがに首相や重要閣僚などの激務はどうかと思いますが、高齢者の立場を代弁する議員がいるっていうのは、全然不思議なことではないでしょう。
 今後は、「定年制度」については、もう少し柔軟性のある対応が必要になるかもしれません。

 しかし、今回の中曽根さんと宮沢さんの引退勧告に対するあまりの違いに「ゴネる元総理をあえて切り捨てる、改革者・小泉総理」というシナリオが、あらかじめ描いてあるんじゃないかなあ、などと考えてみたり。
 小泉首相にとっては、大先輩たちがアッサリ身を引いてくれるより、多少ゴネてくれたほうが得なんじゃあいかなあ。「首相の決意の強さと行動力」が映えますしね。