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2003年08月03日(日)
かわいそうな鶴。

共同通信の記事より。

【広島市の平和記念公園で約14万羽の折り鶴を燃やし学生が逮捕された関西学院大(兵庫県西宮市)は3日、学生や職員らから折り鶴を募集し、広島市に届けると発表した。同大は「最終的に何羽集まるかは分からないが、大学としておわびの気持ちを表したい」(広報室)と話している。
 折り鶴を燃やし器物損壊容疑で文学部4年の山本淳哉容疑者(22)が逮捕された翌日の2日、平松一夫学長が広島市を訪れ陳謝した。同大広報室によると、事件後、学生らの間から「何かしないと(気持ちが)治まらない」との声が上がり、自分で折った折り鶴を事務局へ持参した学生もいたため、募集を決めた。
 学生のほか、職員や卒業生、一般の人も対象に5日正午まで募集、6日の平和記念式典までに広島市に届けるという。】

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 学生の不祥事、というのが最近続いています。
 この大学生、就職先が決まらずに、留年も決定、むしゃくしゃしてやった、というふうに供述しています。
 僕たちからすると、なんてバカなことを…という気がするのですが(本人は、まさかバレるとは思ってなかったんだろうけど)、容疑者の大学4年生にとっては(しかも、関西学院大学というのは、関西の私学の名門ですから)切実な問題で、もう自分の人生は終わりだ…と感じてしまうような状況だったんでしょうね。ある意味、こういうのが「エリートの弱さ」なのかもしれません。
 しかし、あの平和公園というのは、もと広島在住の僕にとっては聖地であり、あそこで悪さをする人間がいるなんて信じられません。少なくとも原爆資料館に入ったことがある人なら、あの場所で敬虔な気持ちにならざるをえないと思うんだけど。
 この間は、落書きしてたヤツもいたしなあ。
 彼は早朝にこの暴挙に及んだそうですから、たぶん、原爆資料館には行っていなかったと思われますが、それにしても「人類の平和よりお前の就職なのか!」と言ってやりたい気もします。
 ただ、人間というヤツは、たとえば振られた直後なんか、「人類が滅亡してしまえ!」なんて思ってみたりもするわけですよね。残酷な話だけど、僕たちは、世界の平和のために自分の財産を全額投げ出したり、ボランティアに参加したりはしないわけです。
 それでも「やってはいけないこと」というのはあるはずで。

 この大学生の暴挙は、平和への希望を踏みにじる、子供じみた行為であることは間違いありません。ただ、そういう追い詰められた気持ちはわからなくもないのです。
 22歳の彼にとっては、就職とか卒業というのは、この世界の大部分を占める問題だったのかもしれませんから。
 ただ、そういう状況に陥ったときに、どう対処して生きていくか、というのはとても大事なことで、そこで人間の価値なんて決まってくるものなのでしょう。
 いつでも絶好調、なんて人はいないわけですから。

 僕はこの学生、早稲田の「スーパーフリー」の連中みたいな確信犯的なところは感じないし、罪は罪として、立ち直ってくれればいいなあ、と思っているのです。
 彼は平和への祈りを踏みにじりましたが、彼の衝動に対して、折り鶴が身代わりになってくれたような気もしますし。人間を傷つけなくて良かった。
 それに、この機会に、もう一度平和について、原爆について考えてみてもらいたいと思うのです。この学生の行為へのおわびというのと同時に、あらためて平和を祈って、戦争の犠牲になった人たちを悼む気持ちを持つにはいい機会ではないかなあ。

 しかし、14万羽って、大変な数。たぶん彼1人で折るとしたら、一生かかってもムリでしょうね…