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2003年08月01日(金)
ネット上の「悪戯」は、現実社会では「脅迫」かもしれない。

共同通信の記事より。

【京都府警ハイテク犯罪対策室と伏見署は1日、会社の元同僚女性に「殺す」などと1000回以上書いた電子メールを送ったとして、脅迫容疑などで京都市南区久世殿城町、会社員田中由直容疑者(33)を逮捕した。
 調べでは、田中容疑者は2月20日午前10時20分ごろ、以前勤務していた京都市伏見区のオートバイ販売会社のパソコンに、女性従業員(33)の名前を挙げて「殺す、死ね」の文言を1152回も繰り返し書いたメールを1回送信し、女性に閲覧させて脅した疑い。
 ハイテク犯罪対策室によると、田中容疑者は昨年10月、トラブルから同社を辞職。「会社を困らせてやろうと思った」と供述しているという。
 また田中容疑者は、同社のホームページを管理するプロバイダー(接続業者)のサーバーコンピューターに不正アクセスし、オートバイの販売価格を勝手に書き換えるなどの嫌がらせもしていたという。】

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 「殺す、死ね」を1000回!
 たかがメール、とはいえ、やっぱり気持ち悪いものですよね。
 僕のように、ネット慣れしている人間にとっては、「氏ね」なんて慣用句(?)とはいえ、やっぱりものすごく不快だし、心配にもなると思います。
 この容疑者、33歳にもなって、退職してから1年近くにもなる会社への嫌がらせに執念を燃やしていたなんて、さすがにトラブルで辞めさせられた人だなあ、と納得してしまうのですが。
 そんなパソコンの技術があるんだったら、それをマトモな方向に活かせばいいのに、というのは、たぶん傍観者としての意見なんでしょうけどね。

 メールとかネットというのは、怖いところがあって、何をやるにしても、ついつい表現が過激になってしまいがちです。
 これだけたくさんの情報が溢れているネットの世界では、より過激で、より極端じゃないと、誰も振り向いてはくれませんから。
 実社会のように、表情とかニュアンスでわかってもらうことが難しいから、どんどん言葉が強くなっていくのです。
 メールには「死ね、殺す」と1000回書けても(コピー&ペーストもできますしね)、手紙に1000回「死ね」と文字を書く(ワープロで印刷するにしても、けっこう大変なはず)のはもっと大変でしょうし、電話で1000回なんてとうてい不可能。面と向かってだったら、たぶん3回目くらいで捕まります。
 たぶん、この犯人はネット世界のイタズラ程度の認識で普通の人を脅かそうとしたんでしょうけど、相手にとっては、悪質な脅迫だったわけです。
 僕の同僚の先生が、まだ呼び出しがポケベルだった時代に「シネシネシネ」というメッセージが送られてきたことがあるのですが、それはもう、すごく気持ち悪かった記憶があります。
 「普通の人」にとっては、こういうのはすごく効くのです。

 それにしてもこの人、そんなにパソコンに詳しいのに、脅迫メールなんか送ったら誰が送ったか調べればバレるってことは、全く頭に無かったんのでしょうか?
 結局、自分が自分が、と常に主観的になってしまって、状況を客観的に判断できない人なんでしょうね、きっと。
 よく槍玉に挙げられる「2ちゃんねる」ですが、実はあれに書き込んでいる人たちの大部分は、実社会では「普通の人」なんですよね。まあ「普通の人があんなことを書くの?」と言われるかもしれませんが、現実は、「普通の人」のガス抜きのための非日常の場として、あの巨大掲示板群は存在している面もあるわけで。
 だからといって、何を書いてもいい、ってわけではないけれど。
 少なくとも、現在のところ、ネット上の常識≠実社会の常識だということは、僕も含めて、みんなが頭に入れておかなくてはならないと思います。

 「ついつい、表現が過激になっていないか?」
 「批判のための批判になってしまっていないか?」
 「自己主張に溺れて、他人を思いやる気持ちに欠けていないか?」
 
 まあ、あんまり堅苦しくなると、面白くなくなってしまいますが、実際、ネットというのはもう、現実社会の一部になってきているわけですし。

 しかし、「殺す、死ね」1152回って…いったい誰が数えたんだろう?