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2002年07月21日(日)
2002年7月21日。



パチンコ必勝ガイド8月4日号より抜粋。

(昨年の7月に亡くなられた、日本を代表するパチプロ・田山幸憲さんの生前の述懐。)

【実を言うと、オレはこの日を恐れていた。何故ならば、数年前から「五十になったら、パチプロ日記を終わりにしよう」と内心密かに思っていたからだ。この進退問題については入院中も折にふれてシバシバ考えた。ところがある日、必勝ガイドの編集部員が病棟まで来て、「読者からの便り」を五十通ほど届けてくれたことにより、図らずも問題が一気に解決の方向へ向かうことになる。あの便りを読んだときは本当に嬉しかった。思い出すと今でも目に涙があふれてくる。自分にとっては、正に生涯忘れることの出来ない一ときだった。この時ほど物を書くことに生き甲斐を覚えたことはない。ベッドの上で声を押し殺して泣きながら、オレは思った。そうだ、もう年齢のことなんかにこだわるのはやめにしよう。行けるところまで行ってみよう、と。五十なんて、まだ若いじゃないか。オレにとっては、青春時代の続きだ。(平成8年10月17日の日記より。五十歳の誕生日を迎えて)】

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 これを書かれた当時、田山さんは舌癌と闘病中だったのです。結局、田山さんは舌癌の再発により、54歳で亡くなられるのですが。
 僕も含めて、けっこう物事を「年齢」のせいにする風潮って、ありますよね。
「もう年だから、そんなきつい仕事はできないよ」とか「もうおばちゃんだから、若い子にはかなわないわ…」とか。確かに、スポーツの試合とか、純粋に体力を競う場合には、いたしかたない場合も多いです。でも、あまり年齢を意識する必要がないことまで、年齢の要素って、持ち込まれている場合が多いのではないでしょうか。
 29歳11ヶ月と30歳0ヶ月の間に、そんなに劇的な違いが生じるわけではありませんし。少なくとも、物を感じる心や文章を書く能力は、年齢によって、そんなに衰えることはないし、むしろ経験によって、より増していくのではないでしょうか。
 人間、どんなにがんばっても、何百年も生きられるわけじゃありません。
 だから、年齢なんてものに必要以上にこだわりすぎて自分を安売りしてしまうよりは、やれるところまでやってみても、いいんじゃないかなあ、と思います。
 ただ、政治家のように、他人に影響を過剰に与えたり定員が決まっているところでは、やっぱり「次の世代に順番を譲る」べきだとは思うんですけどね。

 思うに、このとき田山さんは、自分の寿命を考えておられたんでしょうね。癌との闘病中で、ずいぶん気持ちも弱くなっていたはず。
他人から必要とされるということが、どんなに人間にとって根源的な喜びなのか…
どれほどの勇気を与えてくれるのか…
そんな簡単なようで日頃気がつかないことが、しみじみと伝わってくる文章だと思います。