
|
 |
| 2002年07月01日(月) ■ |
 |
| 2002年7月1日。 |
 |
日刊スポーツの記事より抜粋
【<W杯決勝:ドイツ0−2ブラジル> ドイツGKオリバー・カーン(33)が今大会唯一のミスを犯して、ブラジルに頂点を譲った。FWロナウドに鉄壁を誇っていたゴールを2度も破られた。今大会最優秀GKに選ばれたが、まだ終われない。カーンは、37歳で迎える06年自国開催の大会で新伝説を目指す。 力尽きた。誰とも言葉を交わしたくなかった。敗戦の責任を1人で背負った。終了のホイッスルを聞いたカーンは、ブラジル選手が喜びを爆発させるセンターサークルに背を向け、ゴールマウスの中をぼうぜんと歩き続け、雨に濡れたグローブをピッチに投げ捨てた。そしてポストに寄りかかり、座り込んだまま約5分間動かなかった。いや、動けなかった。 7試合630分間戦ってきて、たった1度のミスだった。後半22分、20メートル向こうのリバウドが放った低い弾道の左足シュートをキャッチできなかった。はじいたボールをロナウドに奪われ、右足でゴールを割られた。428分ぶりの失点だった。「7試合のうち、ただ1つのミスですべてを失ってしまった。だから、つらさも10倍に感じられる。慰めになるものなど何もない」。守護神は涙をこらえながら、自分を責め続けた。 もちろん、誰も彼を責められない。やるべきことは、すべてやった。この日もファインセーブを連発し、何度もチームを救った。後半7分、相手CKでMFジウベルト・シウバと接触。右手小指靭帯(じんたい)を負傷したが、痛みは一切見せず、90分間ピッチに立ち続けた。 カーンが言った。「将来のことを言うのは、今夜は難しい。だが、我々は誰も考えられなかった位置にチームを引き上げた。この経験を将来につなげていかなければならない」。その目は4年後に向けて、鋭い輝きを取り戻していた。】 〜〜〜〜〜〜〜 ドイツでは、なんと「カーンのミスで負けた!」と責める声もあるのだとか。プレイヤーが完璧主義なら、サポーターも完璧主義ということなんでしょうか。確かに、あのファンブルははカーンらしからぬプレイでしたが、あの試合、カーンじゃなければ、あれ以前に2点は入っているでしょうし、彼がいなければドイツは決勝に来られたかどうか? まあ、そのへんは他国の人間が考えることで、トルシエ監督がトルコ戦の采配で評価を落としたように、サポーターは一度のミスで、いままでの恩を忘れてしまうものなのかもしれません。でも、ひょっとしたらドイツの敗因は、いままで組織力で戦っていたチームに、カーンという「スーパースター」が出現したことで、バランスが崩れたのかな、と少しだけ思いました。 昨日のワールドカップ決勝、試合が終わったあと、画面には、喜びを爆発させるブラジルの選手たちの映像が映し出されていましたが、時折、敗れて茫然とたたずむドイツの選手たちの姿も流されました。カーンは、試合が終わったことが信じられないようにゴールポストの前に佇み、他の選手たちが声をかけでも無反応。もう33歳だし、いくらゴールキーパーの選手寿命がフィールドプレイヤーより長いとはいっても、次の大会は厳しいだろうなあ、と僕は思いながら彼の姿を観ていました。きっと、自分のことをものすごく責めていたんだろうなあ、と。 でも彼は、闘志あふれるプレイとキャプテンシーで、今大会を盛り上げてくれた、偉大なプレイヤーだと思います。トルシエが「カリスマ的なキーパーが必要」と言った意味、彼をみれば一目瞭然。
さらば、闘将カーン。
と書いて終わろうと思ったら、彼のこんなインタビューを発見。 〜〜〜〜〜〜〜 サンケイスポーツのiモードのサイトより。 【試合後には2010年までの現役続行を宣言。自国開催される次回のW杯の舞台で、世界一に君臨するつもりだ。「オレはこのレベルを40歳まで楽に保てる。2010年まで戦い続ける」。試合後、握手を求める仲間たちの手を振り払い、そう絶叫した。33歳の今大会でようやく初のW杯ピッチに立った遅咲きの挑戦は、まだ始まったばかり。復活した帝国の砦に、カーンはこれからも立ちはだかる。】
〜〜〜〜〜〜〜 2006年どころか、2010年まで!なんだか感傷にひたってるほうが、バカバカしくなってきそうです。もちろん本人は本気なんでしょうけど。 まさに、不屈の男!
それにしても、W杯のような極限状態ならともかく、日頃所属しているチーム(バイエルン・ドイツ)では、こんな厳しいキャプテンがいたら、他の選手は大変かもしれませんね。
|
|