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2002年06月28日(金)
2002年6月28日。

読売新聞の記事より抜粋。

【NTTドコモは27日、PHS(簡易型携帯電話)やポケットベルなどの不採算事業の抜本的な見直しに着手する方針を明らかにした。事業からの撤退も含めて検討する考えで、自動車電話なども見直しの対象に加え、今年度中に方向を示す。ポケットベルなどのサービスを停止する場合は、携帯電話やインターネット接続サービス「iモード」などに切り替える案が浮上している。

 同社のPHS事業は、2002年3月期連結決算で営業利益が587億円の赤字だったほか、ポケットベル事業も同63億円の赤字となっている。PHSは、通話・通信料の安さで人気を集め、97年9月末には契約数が212万件に達したが、通話エリアが広い携帯電話に契約を奪われ、今年3月末には192万件に減っている。】

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「まあ、しょうがないんじゃない?だいたいイマドキ、PHSはさておき、ポケベルなんて使ってる人、いるの?」なんて声が聞こえてきそうです。
でも、いるんですよ、ポケベル使っている人。僕も持ってます。何に使っているかというと、病院内での呼び出しなんですよね。病院内では、電磁波の関係で携帯電話が使えない。それで、今までポケベルが生き延びてきた数少ない業界なわけです。最近は、病院内では専用PHS、院外では携帯電話というふうに使い分けをして、あまりポケベルを使わなくなる傾向があるのですが。
 ポケベルの全盛期、僕たちのポケベルにもよく「ベルトモになろうよ」とかいうメッセージ(ポケベルの数字列で、文字に変換する機能があったんです。11が「あ」、12が「い」34が「せ」とか)が、送られてきて、悶絶させられたものでした。なにせ、研修医時代で、ポケベルか鳴ると夜中でも飛び起きて「いざ鎌倉!」という精神状態になってしまっていたもので、怒り心頭。ポケベルを遊びに使うんじゃねえ!と投げつけたくなったこともしばしばです。何が起こるかわからないから、電源も切れないし。同僚の先生のところには「しねしねしね」というのが延々と続くメッセージが送られてきて、すごく怖かったのを覚えています。
ポケベルって、無機質で、短いメッセージしか送れないだけに、かえってそういうのは怖かった…iモードとかだと、逆にちゃんとした文章が送れるだけに、そういう不気味さは少ないような気はします。
スパムメールの「死ね死ね」よりも、ポケベルの「シネシネ」のほうが、なんとなく気持ち悪い。
でも、ポケベルにはメリットもあったのです。それは、返信の時間を自分で調節できるってこと。トイレに入っていたり、パチンコ屋で大当たりの最中だったり、人によっては浮気の最中でも、頃合を見計らって電話をかければいいわけです。場合によっては、「近くに電話が無くってさ〜」という言い訳もできたし(携帯普及前の話)。
こんなふうに、携帯やPHSが普及してくると、常にリアルタイムで反応することが求められ、「どうして電話に出てくれなかったの!」という質問に対し、なんらかの理由が必要となるわけです。しかも、写メールで画像が送れたら、「じゃあ、どこにいるのか見せてよ!」なんて言われることもあるでしょうし、機種によっては、居場所もわかる。
確かに、便利は便利ではあるんですが、なんだか、それはそれで厭なところも多いです。
携帯があるおかげで、どこにいても連絡が取れる。でも、裏を返せばどこにも隠れる場所がない。デジカメの普及によって、「顔よりも心のメール交換」というのも、ほぼ不可能になってしまったこのご時世(セキュリティ上は、非常にいいことなのですが)、ポケベルの役割は、ほぼ終わってしまったということなんでしょうね。
でも、6年間もポケベルとともに仕事をしてきた人間としては、ほんのちょっとだけ、寂しくなるような気がします。鳴ったら鳴ったで、あ〜あ、また仕事…という感じなのですが。