猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2015年11月23日(月) FOUJITA

センチュリーシネマ1 10:35〜12:45 126分

 ン十年ぶりの小栗康平の新作、それも藤田嗣治を主人公としオダギリジョーが主演ということで、えも言われぬ期待に胸を膨らませつつセンチュリーへ。いえ本当は映画なんか行ってる場合じゃないのは分かっています。だからせめて朝いちの回にしたんです。Wポイントデーだからってのもあるけど。だが今週末からはNHK杯も始まってしまうのよね(遠い目)。

 FOUJITA。前半では若き嗣治のフランス時代、後半は開戦による強制帰国後の生活が、それぞれ描かれる。

 うーん、予想していた内容とはちょっと違ったな。歴史に弄ばれた奇才の波乱の人生、みたいなドラマを期待していたんだけど。まあ小栗康平だからそんなベタな大河ドラマとは違った、一風変わった視点で描かれるんだろうと予想はしていたんだけど、それにしても違った。

 何しろストーリーらしいストーリーがない。シーンのほとんどが執筆に没頭する嗣治の姿と、彼の心象風景で構成されている辺り、駿の「風立ちぬ」に近い。と言うかほとんど「風立ちぬ」だ。どっちも戦争がキーワードになっているし。ぼーっと見ていると何がどうなったか分からなくなるとこも一緒。

 そんな感じで「風立ちぬ」よろしく、ドラマはさしたる起伏もなく嗣治の内面世界が淡々と進んでいく。ふと見回すと館内は沈没者多数だが、しょうがあるまい。ベタな伝記映画を期待した向きには、最後までしっかり観賞するのは酷だろう。

 私はと言えば、期待したものとは違っていたとはいえ、退屈することは全くなく、これはこれで大いに楽しめた。何しろ小栗康平という監督は画面の完成度が素晴らしく高い。光と影、それと高い美意識が凝縮された画を見ているだけでこちらはうっとりである。まあ、影の入り方や画面の明るさがところどころ不自然だったりもするけれど、いいんですよこれはフジタの心象風景を表現しているんだから。

 ボックスを出ると外はお客さんがたんまり。やっぱり休日としては昼すぎの回が一番入るんだろうな。だがまたこのお客さん方の大半が寝落ちしてしまうのだろうなあ…。

 お腹は空いていたがそんなにもりもり食べたくもなく、栄近辺で軽く済ませようと地下鉄でそのまま一駅。当初はヴァン・サンヌ・ドゥでアップルパイかハニートーストでもと思っていたんだが、途中で通りかかった西原珈琲店の小さな看板にある「今週のサンドイッチ」に心惹かれ、そちらへ。今週のサンドイッチは「人気の茄子とキャベツとベーコンのサンド」などとある。まあ、おいちちょう。というわけでブレンドと一緒に注文。うわあ、おいしい! 確かにこのサンドイッチはウマ〜。コーヒーともぴったりだよ。もともとコーヒー専門店だからコーヒー自体もおいしいし、今度から栄近辺で映画を見たら、帰りはここに寄ろうかな。



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