猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2015年11月10日(火) ドローン・オブ・ウォー

伏見ミリオン座3 18:20〜20:05 104分

 もともとはTOHOシネマズでやってましたが、そっちが終わったと思ったら、31日からこっちでやり始めた。それで当初は8日に見に行くつもりだったんだけど、うっかり忘れてしまい、この間確認したら13日で終わりというじゃないか…。というわけで大慌てで行ってきた。なんだかんだで公開されれば必ず行くアンドリュー・ニコルの映画、今回も忘れずに済んだわ。

 シャマランとニコルにはえらく基準値が下がる私なので、この二人が監督をしている作品の私の感想はあまりあてにならないわけだが、いや、今回はあてにしていい。間違いなく傑作だったよ。この間見たシャマランの「ヴィジット」も最高だったし、毀誉褒貶の激しい二人のご贔屓監督が揃っていいもん見せてくれたのは、本当嬉しいわ〜。

 しかしなんとも美しい画面の戦争映画だった。血も、人体損壊もなし。いや、彼らが見つめるモニターの向こうでは確実にスプラッタの世界なのだが、モノクロの、それも遠景ばかりのモニターの向こうでのことに過ぎない。

 殺風景フェチのアンドリュー・ニコルの美意識はこの映画でも健在で、ベガス郊外の砂漠の中に佇む新興の住宅地や、主人公の自宅から基地までのハイウェイ沿いの景色は、ひたすらクリーンで、無味無臭の美しさ。余談だが、砂漠の中の住宅街ということもあってか、主人公が空爆を行うアフガニスタンの住宅街と、彼自身が暮らしているベガスの住宅街は、雰囲気がとても似ている。この不気味な一致は、多分意図的なものだろう。

 徴兵制はとうになくなり、兵士は皆自ら望んでそこにいる。ほとんど座りっ放しの状態で、ハイテク機器を駆使して遥か海の彼方をピンポイントで攻撃する。「前線」は自宅から車で行ける所に存在するのだ。そして主人公たちは 任務をこなしつつ、週末には家族や近しい人々と共に、この乾いた風景の住宅街の中でバーベキューを楽しむのである。いやあまったく、アメリカ映画の定番であるバーベキューパーティーがこれほどグロテスクに見えた映画は他にないだろう。

 終わった後はドトールでミラノサンドとブレンドコーヒー。なんかここのコーヒーが今日はとっても旨く感じた。こういうずっしりとした映画の後は大体そうなるけど。



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