今日はとってもいい事がありました。お仕事帰りに某所に寄ったら遊んでくれる人が軒並み帰っていて割と寂しい帰り道、家まであと2、3分という所で見かけた女の子(推定9歳)。 ちなみに夜の9時過ぎです。何もない住宅街を心細げに歩く少女。駅方面に向かっているのを見ると帰宅途中という訳でもなさそうです。携帯で誰かと話してますが、良く聞くと涙声です。 「うん、……うん、わかった…」 泣きながら電話の向こうに頷いて私とすれ違う少女。内心ものすごく気になって声をかけようかどうかと迷っていたのですが、夜道で知らない大人に声をかけられる事が彼女にどんな不安を与えるかを思うと躊躇してしまいました。 …と、電話を切った彼女がこちらを振り向いて。「……あの、すみません」まだ涙声ながら必死で見上げて来るではありませんか。 ……うわー神様。私の大好物が目の前に落ちてるのですが拾ってもいいですか。 思い切り気合を入れて(且つそうと悟られぬよう優しげなお姉さんの顔を作って)立ち止まった私に少女の台詞。 「…あの、どこに行くんですか」 ――。 ……何だか、知り合いの女の子(ちなみにこちらは成人してます)に別れて5メートルで振り向かれて「すみません、うちはどっちでしょう?」と聞かれた時以来の衝撃でした(笑)。いやー私はあなたのおうちは存じませんし。 今回も私は家に帰る途中でしたが、まさかそんな事が聞きたいのではないだろうと思っているともう一度「……あの、駅に行きたいんですけど…」……そうか、もし私が駅に行く途中なら一緒に連れて行って欲しかったのか。なるほど。
「○○駅ですか?」 「はい」 「それならここから歩いて10分ぐらいですけど…」 「あの、バス停はどこですか?」 「んーバス停はこの坂の下だけど……今の時間、あんまりないんじゃないかなあ…」 ちなみに私は子供であっても理性的な会話を交わせる相手には親しくなるまで敬語です。この場合少女は実に礼儀正しい態度で私に接して来たのでこちらも相応の態度で返すべきなのです。 とりあえずバス停まで案内しつつ、この時間帯にバスが1時間に1、2本しか来ない(どんな田舎だ)事を思い出しながら。 「…この道をまっすぐ行って、突き当たり(という言葉は通じるだろうか)を右に曲がると駅が見えるんですが…」 「……(不安げ)夜一人で外歩いた事ないから、怖いんです」 「じゃあ駅まで一緒に行きましょうか」 「あの、バスが来れば一人で行けます」 うーんまだ泣いているのですがなんてしっかりしたお子さんでしょ。お母様のご教育の賜物でしょうか。まあ見知らぬ他人があんまり親切でも返って胡散臭いので無理強いはせずにバス停へ。 時刻表を見るとあと2分で来る予定というナイスタイミング。…ただバスというものは時刻通りに来るものではないので、下手をすると既に行ってしまっているという可能性も無きにしも非ず。 「もうすぐ来るから平気です」という彼女にその辺を説明し、「じゃあバスが来るまで一緒に待ちましょう」。しばらく待って来なかったら歩いて彼女を駅まで送るつもりでした。 と同時にとっくに帰宅しているはずの時間だという事に気付き、家に電話。母が出ました。 「もしもし」 「あんた何やってんの。遅いじゃない」 「あー、あのさ、今駅まで行きたいっていう小学生ぐらいの女の子と一緒でさ」 「は?」 ……母の台詞はもっともです。 「…知らない子?」 「うん。お母さんと待ち合わせで駅まで一人で行かなきゃいけないんだって」 「あら、そう…」 「今バス停でバス待ってるんだけど、時間過ぎても来ないんだ。ひょっとしてもう行っちゃったのかも知れないから、もしあと5分待っても来なかったら私駅まで歩いて送って来るから」 断定的(笑)。もう既に決めてしまってます。 少女はその間携帯で時報を聞いて時刻確かめてました(笑)。本当にしっかりしとるのう。 「…うん、じゃあまた連絡するから……あ、バス来たかな?」 丁度母との会話中に若干遅れてバス到着。話終わってなかった気もしましたがぶっつり切って少女に向き直り。少女はほっとしたような表情でした。 「…あ、バス来ました!」 「良かったー。乗ったらすぐ次のバス停が○○駅です」 「はい」 「あ、バスのお金はありますか?」 「はい。ありがとうございました」 うーん最後まで礼儀正しい。こんな教育の行き届いた子供久し振りに会いました。 バスに乗る頃には笑顔だったので、こっちも嬉しくなって「行ってらっしゃい」と手を振りました。……日本語の使いどころが微妙にずれている気もしますが一体何と言えば正しかったのでしょうか。
家に帰った私は相当上機嫌でした。ああこんなに気分いいの久し振り。割と落ち込みがちな気分を知人に甘える事でごまかしていたけど、かわいい子供との触れ合いに勝る私の精神安定剤はないとつくづく思い知りました。いや別に安定はしてないか。むしろ気分高揚気味なのか(笑)。 何だかいつになく心が軽くてとってもいい事ありそうです。明日がとてもいい日になりそうな気がします。
……という訳で今日の日記にオチはありませんすみません(だから日記にオチは要らんて)。
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