月の詩
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ゆびさきのほのかなぬくもり。 それさえも貴重なできごと。
街角で偶然。 彼の白い靴。 斜後ろの気配。 耳に落ちた声。 気付いていたのに。 振り返ってみれば良かったのに。 確かめてそうなら挨拶のひとつでもなんて。 出来ないから。 逃げるように、 足早に立ち去った。
いつまでも、変わらない。 いつも、変わらない。 いつまで、くり返す?
視界の端に、 彼を留める。 それで、今は、 精一杯の、 想いなのです。
11月は、泣く事をためらわない。
どんな痛みも、それは想いの結晶だから。
あの、悲しみと表裏一体の幸福。
私達が手にした永遠。
銀色の輝きの渦の中心。
スタートは11月。
どんなに苦しくて、切なくて、悲しくて、
痛くても。
手首を切るような真似だけはしないと誓った。
この事で、自分を傷つけるのはやめようと、誓った。
誠実さに泥を塗るような真似だけはしまいと想った。
だから。
11月は泣く事をやめない。
いつまでも同じ冷たい涙でも。
そして叶うならもう一度。
あの時を。
『誰か』の言葉に揺れて。 自分自身を何処かに忘れて。 私は私を掴めない。
『自分を好きでも嫌いでもない』 そう言った尊敬するベーシスト。 『自分が好きだ』 そう言った、大好きなシンガー。 私は自分が分からない。 私は自分が見えない。
私はどこにいるのだろう?
指先も、こごえるほどの、 冷たい空気すら、 心地よいと思えてしまう。 心が、凍えて。 この寒い暗闇に、 私は独りだと思うことで、 何かから救われようとしている。
できないとわかってても。 気持ちは変えられないから。 しかしあなたの視線は 別の誰かを探しているようで。 思い過ごしでもなんでも。 それは心に突き刺さる痛み。 何も告げられないまま、 時をやりすごす。 同じ事を、またくり返す。
残ったものは、 それだけじゃないでしょう? 得たものも、 確かにあったでしょう?
なくしたものと、 えたものと。 はかりにかけたら。 どちらがおもい?
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