日々雑感
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2002年06月30日(日) 夢のあと

ワールドカップ終わる。

決勝はドイツ対ブラジル。もうどっちが勝っても満足だと思っていたが、今まで1失点だったカーンが2点も入れられたのが切ない。小さい頃無敵だと思っていた父親の老いを、ふとした拍子に見てしまったときのような感じだ。

どんな物事にも終わりがくる。勝って喜ぶ選手の陰には、必ず敗れて涙する者がいる。そんなことを思わされた一戦。優勝したブラジル選手たちのウイニング・ランを眺めながら、いろんなチームや選手たちの姿が浮かんできて、思わず涙。夢のあと。泣いたり、喜んだり、忘れられない1ヶ月になった。

明日からどうやって過ごそう。


2002年06月29日(土) 3代目到着

青いテレビが届く。テレビが壊れたという話を聞いて、譲ろうかと申し出てくれた人がいたのだ。箱から取り出したテレビはまだ新しく、青色もきれい。嬉しい。

上京してから、これが3代目のテレビである。初代は、はじめに入った寮の部屋に、以前住んでいた人が残していったピンク色のテレビ。2代目は弟が引っ越す際に譲ってくれた黒いテレビ。そして、今回の青いテレビ。思えば、自分のテレビ生活はいろんな人の好意に支えられてきたのだ。

その3代目で、さっそくW杯の3位決定戦を観る。トルコ対韓国。トルコのサッカーは観ていて面白い。ワクワクする。ゴールを決めたあとなど、ほんとうに嬉しそうな顔をして喜ぶのがいい。GKのリュストゥも見事。よいチームが3位になったなあと思う。

夜、雨の音が強くなる。明日は雨の中の決勝戦か。いよいよ終幕が近づいてきた。明日はしっかり見届けようと思いつつ、3代目が来てくれたことに感謝する。


2002年06月28日(金) 手をひかれて歩く

今日もバイト。人出が少なく、店の中から外の様子を眺めて過ごす。

小さな男の子が父親に手をひかれて歩いて行く。3、4歳くらいか。時折、父親のほうを見上げては何か話しかけている。お父さんは真面目な顔をしてそれに答える。

二人の様子を眺めつつ、誰かに手をひかれて安心しきって歩いて行くような、そんな感覚をすっかり忘れているなあと考える。自分もかつて、あんなふうに手をひかれて歩いていたんだろうか。大きな手に安心していたんだろうか。そして、この自分の手は、いつか誰かを安心させることができるのだろうか。

夜、日向夏のシャーベットを食べる。ちゃんと日向夏独特の苦味があっておいしい。シャーベットを食べつつも、今朝耳にしたドイツ代表GKオリバー・カーンのテーマソングがぐるぐる回っている。その日本語バージョンの歌詞、「足首、太もも、男の世界♪」。男の世界、奥が深い。決勝戦、あさってに迫る。


2002年06月27日(木) 銀座の男

短期バイトの日。午後から銀座にあるお店へ行く。

雨の中、ものすごくきれいな女の人をつれた男性がやってくる。店長の知り合いらしく、まっすぐレジのところまで来て談笑。身につけているものはすべて上物。どの瞬間、どの角度から写真を撮られても問題なしというような、隙のない立ち振る舞いに表情。なぜだか皆圧倒される。店内をぐるりと見回したあと、帰り際には、店員ひとりひとりににっこりと微笑みかけることも忘れず。

二人の後姿が消えるなり、「あれが銀座の男よ」と店長。迫力。「銀座の男」のオーラを見る。

外は雨だが人出は多い。夕方以降は大忙し。途中、皆で差し入れのリゲインを飲む。何となく元気が出たような暗示にかかりつつ、もう一仕事。終業後、店長がシュークリームを御馳走してくれる。しみじみと美味しい。リゲイン飲んで、シュークリーム食べて、「銀座の男」まで見て、充実の一日。


2002年06月26日(水) 海辺の街

小雨。傘を差すべきかどうか迷ってしまうような、微妙な降り方。肌寒い。

映画「マジェスティック」を観る。主人公が偶然たどりつく街がとてもよい。どこを歩いても風に潮の匂いが混じっているような、海辺の小さな街だ。海辺の街というのは独特だと思う。街の空気そのものに海が混じっていて、どこかがらんと開けている。自分にとってはなつかしい空気だ。

夜、トルコ対ブラジル戦。テレビは完全に故障ということで、結果だけネットで確認する。残念ながら応援していたトルコは敗退。W杯も、3位決定戦と決勝、残すところ2試合だけになってしまった。ずっとお祭り気分がつづいていただけに、もう少しで終わってしまうと思うと寂しい。夏休みの終わりが近づいた小学生気分。


2002年06月25日(火) テレビ壊れる

道路に落ちた夾竹桃の花が雨に濡れている。ぼんやりと煙った景色の中で、そこだけ紅い。

バイトの給料日。銀行も人が多く、ATMの前に長い列ができている。給料バブルがはじけないうちにと思い、そのまま本屋へ。上から下まで見て回る。手にとったり、やっぱり戻したりを繰り返しつつ『境界の発生』赤坂憲雄(講談社学術文庫)と『熊から王へ』中沢新一(講談社選書メチエ)を購入。『熊から王へ』のほう、「原初、神は熊であった」、それに宮沢賢治や「鮭の大助」が絡んできて面白そうだ。

夜、テレビ壊れる。ずっと調子が悪かったのだが、プツンという音と共に、とうとう何も動かなくなった。寿命か。あんまりテレビは観ないので特に困るわけではないが、今晩のドイツ対韓国戦が観られないのだけはショック。好調韓国勢に立ちはだかるカーンの姿を見るのを楽しみにしていたのに。せめてワールドカップ終了まではもってほしかったと、テレビを引っ張ったり、叩いたりしてみるが、当然返答なし。


2002年06月24日(月) 梅雨寒

何だか気が抜けている。午後からのゼミの最中も、ぼんやりと夏のことなど考えてしまう。ガラスの器に入ったかき氷。テレビから流れる甲子園の中継。夕方、蜩の声。それに、浜辺に咲くハマナス。お盆にはハマナスの実をつないで輪っかをつくるのだ。

雨が降りそうな降らなさそうな空の下、家に帰る。少し寒い。天気予報を見ると「明日も梅雨寒となるでしょう」。「梅雨寒」という言葉をはじめて聞いた。夏は、まだもう少し先。


2002年06月23日(日) 横浜

横浜へ行く。横浜行きは、他のどこへ行くのとも違って何か特別な感じがする。横浜という街の持つ力なのか、個人的な思い入れなのか。海沿いの通りを歩いていると、潮の匂いがする。汽笛の音。カモメが飛んでいく。電車が走るのを眺めながら、久しぶりに鎌倉へも行きたくなる(もう紫陽花の時期は過ぎただろうが)。

夜、新大久保のスタジオで練習。昨日は、スペインに勝利して喜ぶ韓国サポーターで街中真っ赤に染まっていたらしいが、今日は静かだ。小雨も降ってくる。練習を早めに切り上げて、中華料理屋で夕食。お店の看板料理らしい「排骨麺(パーコー麺)」を注文する。ラーメンの上に香辛料のきいた豚肉の唐揚げがのって、脂っこいがおいしい。それに瓶ビール。至福のとき。


2002年06月22日(土) 父親気分

午後からバイト。ポストを確認してから外に出ると、チワワのナーちゃんを連れた友人とばったり会う。散歩中らしい。

ナーちゃん、小さな尻尾をぶんぶん振って、足元に飛びついてくる。思わず、でれでれ。そのまま駅まで送ってくれる。子どもに見送られて出勤するお父さんの気分だ。後ろ髪ひかれる。

夜、セネガル対トルコ観戦。面白い。どちらが勝っても嬉しかったけれど、延長戦でトルコが決めたゴールデンゴールにはやっぱり興奮する。見事なゴール。これでベスト4出そろう。

試合が終わり、『神の火』高村薫(新潮文庫)のつづきを読む。作品の中に出てくるジョイスの『ダブリン市民』が読みたくなる。そういえばアイルランドもよい試合してたなあと思い出してしまうあたりが、W杯中毒末期症状。


2002年06月21日(金) 神通力

朝、母親から電話。こっちも弟もまるで連絡よこさずということで、ときどき「ちゃんと生きてる?」と確認の電話がかかってくるのだ。明日、父親といっしょに車で八戸、八甲田のほうへ行くと言う。この時期、海岸線にそってずっと花が咲いているらしい。北の海の濃い青と花咲く浜辺。潮の匂いを思い出す。

バイトはしごの日。短期バイトのほうを終えたあと、移動して家庭教師。到着すると、ちょうどイングランド対ブラジルがもう少しで終了というところだ。テレビでいっしょに結果を見届ける。イングランド敗退。彼女はイングランドを応援していたらしく、あまりの落ち込みようにこっちまで悲しくなる。学校では(女子高)みんなベッカム、でなければオーウェンを応援していたということで、イングランド人気の浸透ぶりを今さらながらに知った。おそるべし。

夜、ドイツ対アメリカ観戦。ドイツのGK、カーンがすごい。どんなシュートが飛んでも彼なら大丈夫だろうと思ってしまう、あの存在感は何だろう。アメリカのシュートがすれすれのところでゴールからそれると、NHKの実況アナウンサーも思わず「これもカーンの神通力でしょうか」。確かに、そんなオーラを出してそうだ。迫力勝ちか。


2002年06月20日(木) 罠にはまる

バイトの日。店長おすすめのお店で昼食をとる。ランチセットは、まぐろのミニ丼と冷しうどん、それに辛味大根のサラダがついて680円。久々にちゃんとした食事だ。おまけにおいしい。この界隈の安くて美味い食べ物屋についての、店長や店員さんたちの情報量はすごい。

大学のほうの仕事が(ささやかながらも)ひと山越えたので、バイトしつつも気分は晴れ晴れ。帰り道、新刊書店やブックオフなどはしごする。読みたい本はたくさんあるが、寂しい懐と部屋にある積読本の山を思い出し、結局ブックオフの100円コーナーで『シブイ本』坪内祐三(文藝春秋)一冊を買って我慢する。「シブイ本」がたくさん紹介されている一冊。かえって読みたい本を増やすことになるという罠に、自分からはまる。


2002年06月19日(水) ゴーサイン

朝から快晴。暑くなりそうな気配。

今日はゼミ発表の日だ。いつものことながら、ぎりぎりまでパソコンを前に格闘。昨日のイタリア対韓国戦をつい観てしまったのが失敗だったか、などと思いつつ、ゼミが始まる1時間前に何とか形にして家を出る。

今回は自分の論文についての発表。院生、研究室の教授陣がずらりとそろう中での発表は何回やっても緊張する。半徹夜で朦朧とした頭のまま(たぶん目の下にはクマ)何とか終了。ふらふら。

終わったあと、先生の一人が「(論文)何とかいけるんじゃないかな」と言ってくれる。その先生には今までさんざんな言われようだったので、ちょっと驚きつつもやっぱり嬉しい。はじめてゴーサインが出た。ほんとにはじめて。一気に脱力。

夜、家に着くなり寝てしまう。爆睡。


2002年06月18日(火) 終わりと始まり

朝から雨。久々に本格的な雨だ。これだけちゃんと降ると気持ちいい。

午後、ワールドカップ、日本対トルコ戦。会社どうしようかとか、近所の居酒屋は本日全品380円とか、みんなそわそわしている。電車に乗ると、青いユニフォームを着た人もちらほら。

結果は残念ながら負け。夕方に歩いていると、街全体が沈んでいるみたいだ。何かが終わったあとの、がらんとした感じ。終わって、また始まる前の狭間の感覚だ。寂しいような、どこかさっぱりもしているような。空っぽにして、また始めるのだ。

雨あがる。西の空に晴れ間がある。


2002年06月17日(月) ラジオ体操

外に出ると蒸し暑い。夏休みの朝みたいだ。朝なのにもう日差しは強く、その中を首からカードをぶらさげ、ラジオ体操へ行くときのような感じ。

休みなのに早起きするのはつらかったけれど、夏の朝の空気はよく覚えている。暑くなる気配を漂わせつつ、まだ空気は澄んでいて、いろんな花や草の匂いがしていた。体操の後、カードにハンコを押してもらい、走って家に戻る。夏休みの一日はまだまだ長い。

「ラジオ体操」といえば、近所に毎朝ラジオ体操をするおじさんがいる。玄関前にラジオを置き、音楽に合わせて細い路地の真ん中で腕を伸ばしたり跳んだりしている。早起きしてゴミ捨てに行くときなど必ず見かけるが、いつ見ても真剣な表情。首にはカードのかわりにタオルがまかれている。

ラジオ体操で始まるおじさんの一日。ただし、梅雨場は見かけず。雨天中止なのか、家の中でちゃんとやっているのか。小学校の夏休み、あの頃は、雨の朝は「当然中止」と自分で決めて喜んで寝ていたけれど。


2002年06月16日(日) 未練たらたら

朝、目が覚めると外は暗い。曇り空だ。一夜明けても昨日のデンマーク敗退のショック冷めず。一人で部屋の中にいると落ち込むばかりなので、本や資料など持って近所の喫茶店に避難する。

この喫茶店は近所のおじちゃん、おばちゃんたちの「たまり場」である。端っこの席に座って眺めていると、いつもの指定席に一人、また一人と集まってくる。しばらくしてやって来たおじちゃんの手にはスポーツ新聞。嫌な予感がしたのだが、案の定「昨日のベッカムは」「ベッカムって何歳?」などと大きな声でイングランド戦(というかベッカム)の話題に。決してイングランドやベッカムが嫌いなわけではないけれど、昨日の今日でこの話題はつらい。街中に逃げ場なし。

午後、セネガル対スウェーデン戦を観る。好ゲーム。それぞれの良さがよく出て、どちらも一歩もひかず。夜はスペイン対アイルランド。こちらも、昼の試合に劣らぬ名勝負。ぎりぎりまであきらめずに走り続け、後半終了間際にPKを決めたアイルランドに、昨日とは違う意味で涙が出そうになる。結局PK戦でスペインが勝ったけれども、どちらにも「良いゲームをありがとう」と言いたくなるような試合だった。観ていてぞくぞくした。昨日のデンマーク戦もこうだったらと、未練たらたら。


2002年06月15日(土) やけ酒

デンマーク、イングランドに敗れる。完敗。

たしかにイングランドの守りは固かったし、デンマークもいいところがなかったけれど、テレビ中継はベッカム、ベッカムだし、デンマークといえばトマソンの名前しか挙げないし、観客席はほとんどイングランドのホーム状態だし、泣けてきた(何なんだ、いったい)。

勝ち負けのある世界は厳しい。デンマークがいなくなって、W杯が終わってしまったような気分だ。あとは、特に思い入れのあるチームはないので、よい試合が見られることを期待。それにしても寂しい。やけ酒。


2002年06月14日(金) オヤジ、涙

朝、デンマークのトマソンとテフティンが怪我のため、イングランド戦出場微妙とニュースで知る。ショック。ここ一番という試合にベストの調子で出場できないことを、何より当人たちはどんなに悔しく思っているだろう。何でここまでショックなんだろうと、ふと我にかえって驚きつつも、一日中、気分が沈んだまま。小雨降る中を歩く。

日本はチュニジアに勝利。夕方の街中、あちこちから興奮した様子で話す声が聞こえてくる。「グループ1位で通過するなんて、おじさん、泣いちゃうよ、もう」。夜、銭湯へ行く。洗い場にて、並んで座った人々の話題も日本の決勝トーナメント進出。「ワールドカップ終わっちゃうと、何だかさびしくなるね。毎日の張り合いがなくなって」。ワールドカップ・ジャンキー増殖中か。


2002年06月13日(木) ふんだりけったり

短期集中バイト始まる。クリスタル製品などを扱うお店。クリスタルは、ほんとうにきれいだ。晴れた冬の日の、雪どけの雫のようにひかる。

などと思っていたのも途中まで。一日中立ちっぱなしというのは、思った以上にきつい。慣れない踵の高い靴がそれに拍車をかけて、足と脚と腰にくる。終わった頃にはぐったり。

やれやれと思って、帰りの電車に乗る。「今日はビールでも飲もうか」などとぼんやり考えていると、乗り換え駅まであと一つというところで電車が止まる。どこかの駅で事故らしい。しばらく動かないというアナウンスに、そんなあと思いつつも一駅分歩くことにする。

いつものスニーカーならば楽勝の距離だが、今日の足と靴にはつらい。よろよろ歩いて、何とか次の駅に到着。やってきた電車に乗り込むと超満員。やっとの思いで自分の駅にたどり着き、急ぎの用事があったので駅前の公衆電話へ向かう(携帯を持っていないのだ)。

駅前に一つだけの公衆電話のボックス、男の人が入って話している。よく見ると、ボックスの中、自分の携帯で話してるではないか。しばらく待ったが終わる気配なし。爆笑している姿を見て、思わずドンドン叩いてしまう。「どうも、すみません」。ものすごく申し訳なさそうな顔をして出てきた男の人を見て、はっと我にかえる。よっぽど怖い顔をしていたのか。

これくらいでムッとしてしまうとは人間小さいよなあ。帰りがけによったモスバーガーでモスチーズバーガーを食べながら反省。ちょっと神妙になって、店を出るとき、隣りに座っていた小さな女の子ににっこり笑ってバイバイと手をふってみたりする。


2002年06月12日(水) 枇杷の実

果物屋の店先に枇杷が並んでいる。そんな季節か。地元では、枇杷の実がなり、タチアオイの咲く頃お祭りがやってくる。

祖父母の家に枇杷の木があった。毎年よく実をつけて、食べごろになると「これ、食べなさい」と言って祖母が木からもいでくれた。お祭りの夜も、祖父母の家の縁側に座って枇杷の実を食べた。湿った草や線香の匂い。お囃子の太鼓を遠くに聞きながら、口のまわりをベタベタにして一生懸命に食べた。

枇杷の木のあるあの家は、もう他の人のものになっている。今でも、しっかりと実をつけているだろうか。その家に住む人々は、枇杷の実を食べながらお祭りの宵を過ごしたりするのだろうか。

バイト先に届け物。友人の爪がマニキュアで青になっている。あさっては日本対チュニジア戦。


2002年06月11日(火) デニッシュ

蒸し暑い日。強い風が吹く中、前はよく使っていた道を久しぶりに歩く。

確かに以前と同じ道のはずなのに、何だか景色が違う。ずらりと並んでいた団地がなくなったのだ。がらんとした空き地。窓から布団が干されたり、入り口前に三輪車が置かれたりしていたけれど、あれはほんとにあった景色なのか。それとも自分の夢の中の世界だったのか。一瞬わからなくなる。丈の低い草に混じってタチアオイが咲いている。雲がぎらぎら光りながら流れてゆく。

フランス対デンマーク、デンマークが勝って決勝トーナメント進出。いちばん応援していたチームなので嬉しい。ここしばらくパン屋でデニッシュばかり買って、験をかついだ効果があったか。もう少し、デニッシュを買い続けようと決意。ちなみに、「サン・ジェルマン」の「ルビーグレープフルーツのデニッシュ」がうまい。


2002年06月10日(月) 一夜明けて

テレビも新聞も、昨日の日本対ロシア戦の話題ばかり。電車に乗ってふと周りを見ると、あちこちで広げられている新聞はほとんど全部ロシア戦の記事である。日経ですらそう。

大学へ行くと、研究室でもワールドカップの話題。ドイツ人の先生が、昨日ゴールしたのは「ミヤモト」か「イナモト」かと聞いている(日本人の名前は覚えにくいのか)。ドイツ語の需要を増すためにも、ぜひともドイツに優勝してもらいたいと力説しているが、どうだろう。優勝した場合、ドイツ語熱は高まるのだろうか。

夜、暗くなってから帰る。蝉の声らしきものが聞こえる。ほんとに蝉の声かどうかはわからない。


2002年06月09日(日) 天の邪鬼

午後、月末にあるコンサートのリハーサル。会場は日当たりがよすぎて冷房をかけていても暑い。ふらふらしながら、何とかリハを終える。外は公園だ。ポプラの木が陽の光に映えてまぶしい。緑の色も輪郭も妙にはっきりとした日。

夜、明日までの課題を抱えつつ、日本対ロシア戦を観てしまう。「日本を応援しないのは非国民」的風潮には正直反発があったのだが(天の邪鬼か)、勝ったとなるとやっぱり嬉しい。根性のない天の邪鬼だ。終了のホイッスルが鳴った瞬間の隣りの家からの歓声は、今までで最大。


2002年06月08日(土) 目つきが悪い

快晴。おまけに暑い。日差しが強くて、風景が何だか白っぽい。日の当たる場所を歩いていると、あたりの音が一瞬遠くなっていくような気がする。紫陽花の花も乾いてパリパリになっている。

最近どうも目つきが悪い。ときどき鏡で自分の顔を見てぎょっとする。

部屋の中で作業をすることが多く、パソコンの画面とか本とかワールドカップのテレビとか、近くばかり見ているせいかもしれない。窓の外に目をやっても、高いビルと高架までしか見えない。きっと近くばかり見ていると、目のほうもそれに応じて変わってしまうんだろう(たぶん目といっしょに気持ちのほうも)。ずっとずっと遠くにあるものが見たい。

暗くなってから帰宅。風も出てきて、ずいぶん涼しくなった。ふと紫陽花を見ると花びらが元に戻っている。触るとちゃんと湿り気もある。昼間の「パリパリ」が嘘みたいだ。それともあれは暑さにやられた白昼夢だったか。


2002年06月07日(金) 定番お菓子

コンビニでキャラメルコーンの「抹茶アイス味」を発見。新発売か。ただの抹茶ではなくて「アイス」がついてるあたりが気になる。

キャラメルコーンもずいぶん昔からあるお菓子だ。お菓子界のスタンダード。ギンビスのアスパラビスケットとか「たべっこ動物」とか、小さい頃から好きだったものが今もお菓子売り場にしっかり並んでいるのを見るのは頼もしい。

夜、アルゼンチン対イングランド。近所からの歓声、日本戦や昨日のフランス対ウルグアイ戦では男の人が主だったのに、今日はなぜか女の人の声ばかり。それもイングランド寄り。これが世に言うベッカム効果?


2002年06月06日(木) 蛙の子は蛙

フランス対ウルグアイをテレビで観戦。すごい試合。

父親は巨人ファンだ。その父、テレビで巨人戦を観るときは、大差で勝っている場合以外は必ず音声を消している。チャンスをものにできなかったり、逆転されたり、そうした「がっかり」が怖くてドキドキするらしい。音が聞こえなければ、画面から目をそらして「知らないふり」をすることができる。たぶん巨人に対する思い入れが強すぎるんだろう。

妙なことするなあと思っていたが、フランス対ウルグアイをテレビで観ながら自分も同じ状態になる。ウルグアイを応援していたのだが、何がどうなるかわからない展開に、ハラハラして見ていられない。思わずテレビの音声を消す。よく父親似だと言われるけれども、こんなところで実感するとは。

そういえば、もうひとつ共通点があった。ジェット・コースターが苦手なところ。まだ小さかった頃、親戚同士で遊園地に行ったのだが、うまれて初めてジェット・コースターに乗せられた父親は降りてくるなり「もう二度と乗らない」と真っ青な顔をして言った。そろって心拍数が上がるようなものに弱いらしい。

音声を消したはいいものの、両チームがゴールしそうになる度に、フランスを応援しているらしい隣りの家から叫び声が聞こえる。試合経過まるわかり。音を消した意味なし。


2002年06月05日(水) すべりこみセーフ

一日ごとに紫陽花の色が濃くなってゆく。大家さんの庭の紫陽花も真っ青になった。

健康診断の日。X線検査などの他に身体測定もある。体重はさておき、身長を測るのは毎年この時くらいのもの。結果は昨年より1センチ伸びていた。あごが上がっていたのか、ほんとに伸びたのか。

夕方、ゼミ。暑いので窓は開けたままだ。担当者の発表を聞きつつも、つい意識は窓の外へ。木がざわざわいっている。向こうの空のほうが時折光る。音は聞こえないけれど雷だろう。不意に、窓から入ってくる風が強くなる。雨の気配だ。

今にも降りだしそうという頃にゼミ終了。帰り道を急ぎ、駅に入ったところでポツポツと雨粒が落ちてきた。すべりこみセーフ。


2002年06月04日(火) ワールドカップ裏実況

夕方、帰りの電車が異常に混んでいる。「今日は大変混みあっております」というアナウンスも。ワールドカップ、日本対ベルギー戦の影響か。

家に着くと、ちょうど前半が終わったところ。そのままテレビで観戦する。窓を開けていたら、日本のピンチやチャンスの度にどこかから大きな叫び声が聞こえてくる。テレビを消していても、その声だけで試合の様子がわかるくらいだ。地元にいた頃、夏の甲子園での地元代表の試合のときに、こんなふうに近所の家から大声が聞こえていたのを思い出す。負けたときの嘆き声といったらなかった。

結果は引き分け。同時に外も静かになる。勝っていたらどんなふうだったか、確かめられなくて少し残念。

夜、外に出ると、向かいの家の人がホースで水をまいている。道路に水の匂いがたちのぼる。ホースで水をまくのは楽しい。口のところを小さくして、水しぶきを作るのもいい。昼間ならば、太陽を背にして虹をつくることもできる。サンダルをはいて水まきがしたい。着々と夏モードに移行中。


2002年06月03日(月) 思い出のお茶は

午後から学校へ。構内にある大きな木の下で野良猫が一匹昼寝中。引っくり返ってお腹を見せたまま、だらりと伸びている。木陰は涼しくて、いかにも気持ちよさそう。野良猫なのに緊張感まるでなし。

帰り道、近所のスーパーに寄ると、飲み物コーナーにマテ茶のペットボトルが置いてある。マテ茶は南米でよく飲まれるお茶だ。以前南米に行ったとき、泊まったホテルにはマテ茶が用意されていて、「高山病にきくらしい」ということで一生懸命飲んだ。独特の「えぐみ」にはじめは抵抗があったが、それもだんだんとクセになる(ゴーヤのようなものか)。帰国するときにもティーバッグになっているマテ茶を一箱購入、その後しばらく何かというと飲んでいた。

最近ペットボトルのお茶が増えてきたなあと思っていたが、まさかマテ茶まで現れるとは。小さめのサイズで割高なのだが、思わず買ってしまう。

夜になっても少し暑い。マテ茶の前に缶ビールで晩酌。窓を開けて夜風を入れる。


2002年06月02日(日) にわかサッカーファン

暑い日。今年になって初めてTシャツで外を歩く。

大家さんの庭に丈の高い菖蒲の花がたくさん咲いている。菖蒲はこんな暑い時期に咲くものだったか。ぎらぎらと強い陽射しに照らされて、やや気の毒。

ワールドカップ、開幕前はそんなに興味もなかったのだが、試合を観てみたら面白く、にわかサッカーファンと化す。今日もテレビ観戦。サッカーの詳しい知識はないので、ひたすら選手たちの動きばかり追っている。ボールを追う身体の動きなど、ほんとうにきれいだ。惚れ惚れする。

贔屓チームは特になかったが、3日間終わったところでデンマークが好きになった。ひそかに応援。和歌山でのキャンプでも、練習を全部公開したり、サインにも気軽に応じたりと開放的、友好的だったようで、好感度アップ。こんなところに影響されるあたりが、やっぱり「にわか」サッカーファン。


2002年06月01日(土) 知らない街の夕暮れ

学会。電車に乗り、荒川を越えて行く。電車の窓からは、小学校のグラウンドで運動会が行われているのが見える。運動会シーズンか。

18時前にプログラムが終わる。外はまだ明るい。川沿いに駅までの道を歩く。知らない街の夕暮れ。整然と並んだ団地の壁が西日の色に染まっている。窓は開いているけれども、誰もいない。鳥の声だけ聞こえる。ニセアカシアの木が時折強く吹く風に揺れる。

駅に着くと、改札から出てくる人々の群れ。みんな、どこかから帰ってきた人たちか。日々の中で、出かけて帰るという行為を繰り返している。小さな円環。知らない街を経由しながら、どこか遠くまで行きながら、やっぱりいつも帰ってくる。けれど、とりあえずは帰ってくるこの場所もまた、ひょっとしたら「道の途中」かもしれないのだ。

CD店で視聴して一目惚れ(一聴き惚れ?)した「ザ・ベスト・オブ・ハンガリアン・ミュージック」をずっと聴いている。ハンガリーのレーベル、フォノー・レコードのアーティストたちの曲を集めたアルバム。ブラスに「泣き」のバイオリン、歌もよい。愛聴。



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