「たまには一緒に行くか?」
『はい・・・旦那様・・・』
特に何もない、普通の朝。
最近王宮が怪物に襲われて壊されたのが嘘のような穏やかな日。
「疏埜馥、結局ああいう事になったわけだが・・・・」
『うん・・・。でも、なんで旦那様は全部知ってたのに止めなかったの?』
「ああ・・・、まぁ、なんでも傷つかないで済むってもんでもないって事だな」
『良く・・・わからないけど・・・』
「まぁ、わからないままで居られれば本当は良かったのかも知れないな・・・」
『そう?』
「結局、誰も死ななかったんだし。『死ぬ』ってわかってれば、わしも止めただろう」
『・・・・・』
「ただ・・・」
『ただ?』
「溜まったもんは、吐き出させなければならない。それだけだ・・・」
『それは私もわかる・・・。』
ルナと完全に同化した疏埜馥は、少し前の不安定だった状態を思い浮かべて居るんだろう。
程なくして王宮にたどり着く。
ぽっかり穴の空いた城壁。
「さて・・・・ルナに」
『うん・・・』
疏埜馥はルナになった。
『ルシフェル・・・いくよ・・・』
「ああ・・・頼むよ」
ルナがわしの手を握り、わしは反対の手から魔力を発した。
ぶっ壊された城壁を修復するためだ。
壊れた城壁の修復には、ルナが居なければ、回復に三日ぐらい消えそうなエネルギーが要るだろう。
それでも、少しカラダが薄くはなった。
「ルナ・・・ありがとう」
『ルシフェ・・・あ、旦那様・・・大丈夫?』
ルナも魔力を使い果たし、疏埜馥に戻った。
「疏埜馥・・・部屋の片づけをしに行こうか?」
『うん・・・行きましょう・・・・』
今日は天気がいい。
片づけにはいい日だな・・・・。
|