momoparco
  ドリームガールズ
2007年03月05日(月)  

 監督:ビル・コンドン
主演:エディー・マーフィ/ビヨンセ・ノウルズ/2007年/第79回アカデミー賞にて最多8ノミネート、ニ部門受賞。

 音楽で成功する夢を追いかける3人のティーンネイジャーが、ドリーメッツ”というトリオを組み新人オーディションに参加しながらそのチャンスを待っている。そして3人にチャンスをもたらすのは、カーティス・テイラーJr.(ジェイミー・フォックス)。彼は、デトロイト・シアターで抜群の人気を誇るジェームズ・サンダー・アーリー(エディ・マーフィ)がバック・コーラスを探しているという情報を得ていた。
そして、3人は不本意ながらもバックコーラスに甘んじてみることにするが・・・。


 ブロードウェイで大ヒットした、シュープリームスをモデルに作られたというミュージカル『ドリーム・ガールズ』を映画化して、私の大好きなエディー・マーフィとビヨンセが出演するという。しかも、あのゴージャスなミュージカルを映画にした『シカゴ』の脚本家ビル・コンドンが脚本、監督をしたというのでは、私の中のソウルな血が騒いで是非観なくてはならない。もちろん、ビヨンセの役は言わずと知れたダイアナ・ロスだろうから。

 で、で、やはり。
『シカゴ』では、ミュージカル初出演というレニー・ゼルウィガーをあそこまで仕立て上げてしまった監督は、勿論ビヨンセも素晴らしい表現力を見せるミュージカルアクトレスにしてしまうし、エディー・マーフィーにいたっては、歌うのなんか観た事なかったのに、なんとなんと彼もやはりブラザーなのねと当たり前の事にエラク感動するほどの出来栄えというか、歌もやってたっけ?と思わせてしまうほど自然。舞台とは違って、映画の中では一曲歌う毎にストーリーが展開している飽きのこない演出もさすがでした。

 本当に、初めから終わりまで、何から何までピュア Soul Soul Soul な映画。衣装に歌、リズムに空気。Soul ファンなら必見!絶対に見逃してはならない、逃したら一生の不覚とも言えよう。(笑)

 アーティストというのは、表現する事と魅了することが表裏一体、どちらもが同量のボルテージをもって初めてプロ中のプロと言えるのだと、良いものを観ると常に感じることではあるが、表現するという事、表現力があるということの素晴らしさを改めて教えられたような映画だった。

 そして、ストーリーがまたいい。レコード産業、ショービジネスの裏あり、ファミリーの愛、人間愛、男と女の愛と、裏切りと涙と別れと、そして再会と。この映画では私のエディー・マーフィ(私のの連発ですみません。彼は私にとって、トムやブラピとは一線を画す永遠のスーパースターだと思っているもので)は、全盛期の頃より少し老けた印象で、役柄もそれまでの『夢』を与えるものとはうって変ったエディーらしからぬとも言えるのだが、初めに画面に現われてにぃっと笑ったときのあの白い歯から醸される「おお!これから夢を与えてくれるんだな」的笑顔はそのまま健在なのであった。

 ファッション、センス、人間、何から何まで時代を再現して何より Soul =魂を揺さぶってくれた。それから書き漏らせないのが、新人賞を獲ったエフィー役のジェニファー・ハドソンの歌。魂を抜かれてしまうかと思えるほどに圧倒される。Soul Music とは、以前のダイアリーにも書いたが、ブラザーやシスターの歌を聴くのはチープな場所で良い。高尚にしてしまえば、それはソウルではない気がする。それは彼らの血であり魂だから。その辺り、興味のない方も山田詠美の小説『アニマル・ロジック』などお読みいただくと近いものがお解かりいただけるかも知れない。

 そこに Soul がある限り、という、原点に戻れるような、そんな Soulful な映画でした。



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