ついにこの日が来てしまいました。興味を失った時期はあったものの、結果的にはオンドゥル語ムーブメントもひっくるめて平成ライダーでもっとも盛り上がった気がします。ファイズのときのように玩具にまでは伸ばしませんでしたが(乗り遅れた)、ストーリーそのものを楽しんでいたともいえます。奇しくも昨日初めて視聴した劇場版は4年後の世界を描いた作品。その劇場版へ繋がるエンディングなのか、それとも――。
◆第2期のOPが流れる中、キングフォームでダークローチと戦っているブレイド。「戦え、俺と戦え!!」。体力的にボロボロになりながらもゴキブリを蹴散らすブレイド。心配そうに駆け寄った虎太郎はゴキブリ退治よりもジョーカーを探すべきだと口にします。何もいわずに変身を解除、よろよろとへたり込む剣崎に始を封印倒する覚悟がつかないのかと問うも、やはり剣崎は答えず「虎太郎、俺を殴ってくれ」。キングフォームは強大な力を得ることが出来る代わりに、戦闘後は激しい睡魔に襲われてしまう諸刃の剣。しかし暴力とは無縁の虎太郎が手を上げることなど出来るハズもありません。仕方なくよろよろと立ち上がった剣崎の背中に虎太郎は悲痛な声を浴びせます。このままではおかしくなる、今度こそジョーカーになってしまう、と。剣崎は始との決着はつける、信じてくれと消え入るような声で玉虫色の決意を口にします。
◆封印するべく果敢にジョーカーに立ち向かったものの、あっさりやられてしまった睦月。病院に運ばれ、ベッドに横たわる彼を心配そうに見守る望美に命に別状はないと栞が声をかけます。
◆「始、お前に世界を滅ぼさせたりはしない。お前だって…そんなこと望んでいないはずだ!」。バイクに跨った剣崎がそう呟いているころ、始はモノリスの脇で苦しそうにもがいています。呼応するように次々誕生するゴキブリたち。
◆剣崎の前にまたまた現れる数多のゴキブリ。変身して立ち向かうも、多勢に無勢、一斉に襲い掛かられるブレイド。めんどうだとばかりにキングフォームにチェンジ、ゴキブリどもを片付けていきます。別のゴキブリたちに人が襲われているのを発見したブレイド、助けに向かうとなんとそれは烏丸所長。驚く剣崎に「それがお前のキングフォームか」としたり顔を作ってみせます。無事でよかったと静かに喜ぶ剣崎に、長きに渡る不在の理由を「天王路に命を狙われてな」などともっともらしい説明で片付けてしまいます。そこに再び現れるゴキブリども。華麗に仕留めようとブレイドがキングラウザーを振り回した瞬間、そのキングラウザーを落としてしまい、逆に仕留められそうに。絶体絶命のピンチ!! と思ったそのとき、キングライザーを何者かが拾い上げ、馴れた手つきでゴキブリたちを一閃、退治してしまいます。その人物は橘。危ないところだったものの、ギリギリのところで烏丸所長に助けられたと、これまたもっともらしい説明で済ませてしまいます。所長や橘が無事だったことに安心したのか、剣崎は昏睡状態に陥ります。烏丸曰く「キングフォームの影響が想像以上に進んでいる」。
◆日本中で跋扈するゴキブリども。白井家の居間で、そして栗原親子が軟禁されている剣崎の部屋でブラウン管に映し出されるのは悲惨な映像。横たわっていた剣崎 は心配する遥香を制し、ゴキブリ退治へ向かいます。一方、今なら間に合うとブレイドのバックルを手に立ち上がったのは橘。寸でのところで剣崎が居間に現れ、橘からバックルを引ったくろうとしますが橘も引きません。俺が封印する、これは俺たちの責任だ、と。「俺は考えもなしにダークローチと戦っていたんじゃありません」。剣崎はバックルから橘の手を振り解くと続けます。「…戦って、戦って、待っていたんです」。何を待っていたのだと訝る橘に、もしも俺が失敗したらそのときはお願いしますとただ頭を下げる剣崎。何かを感じ取った烏丸が不安げに問い質します。「君は本当にジョーカーを封印するつもりなのか、それとも――」。剣崎は疲れたような微笑みだけ残し、皆の前からそっと出て行きます。
◆「…来い。もはや、時間がない」。待つ始と向かう剣崎。始のいる、そして剣崎が向かった場所は思い出の場所。「懐かしいな」。剣崎の到着に振り返ることもせずにそういう始。「あぁ。この場所からお前と俺は始まったのかもしれない」。倒れていた始を成り行き上、剣崎が看病した思い出の山小屋で2人は対峙します。「…だから、ここで終るんだ」。どこか寂しそうな始に剣崎が真意を問い質すも、自分ではどうにもならない、俺はジョーカーだとだけ答えます。その刹那、始は一気にジョーカーと化し、あまりの凄まじさで、辺り一面が吹き飛びます。ゴキブリたちは勢いづき、世界は破滅へ向かいます。
◆気絶していた剣崎と始は目を覚ますと、互いにブレイドとカリスへ変身します。拮抗する戦いの中、カリスはワイルドカリスへフォームチェンジ、ブレイドも必殺のライトニングソニックを繰り出しますが、あえなくカリスに返されます。ブレイドの必殺技を迎え撃つ瞬間、カリスがワイルドのカードを棄てたの目敏く見ていた剣崎は本気で戦うつもりはないのかとカリスを責め立てます。自分が封印される以外に道はないという始に言葉もない剣崎。「俺とお前は戦うことでしか分かり合えない!!」。劇場版の「俺とお前は戦うことでしか語り合えない!!」と微妙に違うセリフを皮きりに、最後の戦いが始まります。
◆剣崎は一体なにをしようとしているのか――。橘の問い掛けに、烏丸は自分の考えが当たっているのなら確かに人類は救われるだろうといいます。しかし。「剣崎は自分からアンデッドになるつもりだ」。剣崎がキングフォームで戦い続けたのはアンデッドと融合するためだったと知り、愕然となる一同。剣崎がアンデッドになれば、アンデッドは2体になり、バトルファイトの勝利者はジョーカーではなくなり、世界が滅びることもない。剣崎は人間を捨てることで世界を(というか始を)救おうとしている。居ても立ってもいられない橘は剣崎の元へ向かいます。
◆その橘の前に立ち塞がる無数のゴキブリたち。連中は睦月と望美のいる病院や「人間はアンデッドたちと戦い、封印するしかない。私もそう思っていた。だが剣崎は別の道を選ぼうとしている」などと陶酔気味に解説している所長がいる白井家の居間にも現れます。
◆キングフォームでジョーカーと戦い続けるブレイドは必殺のロイヤル・ストレート・フラッシュを発動、凄まじい波動で吹き飛ぶものの、決定打にはならず、殴り合いになります。……ふと脳裏に浮んだのは特撮マニアの間で語り種となっているクウガの最終決戦。幸い、剣崎VS始の人間同士の殴り合いにはならず、ひと安心(笑)。
◆突然、ブレイドの身体に異変が起こります。同時に各地で暴れていたゴキブリたちも次々と消滅。アンデッドサーチャーからも反応が消えています。代りにアンデッド、ジョーカーの反応が2体確認されます。つまり――。
◆「今だ、剣崎。俺を封印しろ」。ジョーカー=始の言葉に従うこともせず、剣崎は変身を解除します。剣崎の腕から流れ出る緑色の血に愕然となるジョーカー=始。さらに落ちたバックルの代りに剣崎の腰に巻かれてあるのは色が違うだけでカリスと全く同じラウザー。はじめから自分を封印する気などなかった剣崎の気持ちを知り、やるせない表情を浮かべる始。そこにモノリスが現れ、バトルファイトを再開しろと迫ります。もともと戦うつもりなど皆無の剣崎は怒りをぶつけるが如く、モノリスを殴打、モノリスは何事もなかったように消え去ります。剣崎は駆け寄ろうとする始を拒絶すると、どちらかを封印しない限りバトルファイトは決着せず、世界が滅びることもない、自分たちは戦ってはいけない、近くにいてはいけないと厳しい表情でいい切ります。いくら離れていても統制者は戦いを求める、本能に従い戦うことがアンデッドの運命だという始に、剣崎は運命と戦い、勝ってみせる、そして俺たちは2度と会うことなければ、触れ合うこともないといい残し、去って行きます。
◆始が剣崎を追って行き着いた先は崖っ淵。眼下には荒れ狂う波が広がっています。突然現れた橘が剣崎の安否を問いますが、始には首を振るだけしか出来ません。さらに睦月も到着、剣崎さんをどこへやったんだと気色ばむも、橘に止められます。剣崎の名前を海に向かって叫ぶ橘朔也、25歳。せっかく復活したのに、これといった見せ場はありませんでした。
◆納得は出来るカタチではなかったものの、戦い終った。剣崎が望んだ通り、始が人間として生きて行くために必要なハートの2を除いたカードすべてをアタッシュケースに仕舞う烏丸所長の心中や如何に…。
◆「剣崎がどこに行ったのか、それは分からない。ヤツは人であることを捨てることにより、人を、世界を守った。だが、彼は今も戦い続けている。どこかで、運命と…」。剣崎の去ったあと、それぞれの生活が始まります。白井家の居間で剣崎がよく座っていた席を悲しげに見つめる虎太郎と栞。剣崎の部屋で写真を眺める橘。体育館でバスケットに勤しむ睦月。今頃満員御礼状態のハカランダ(笑)。その店先では始が花を植えています。
◆遥香に買い物を頼まれた始が並木道を歩いていると、ベンチに見慣れた男が座っています。それは剣崎。始が嬉しそうに声を掛けると向こうも「始」と笑顔で応えます。しかし、駆け寄った瞬間、それは跡形もなく消滅、寂しさを隠せない始の脳裏にあの日、剣崎にいわれた言葉が甦ります。「お前は、人間たちの中で生き続けろ」。吹っ切ったような、だけど少し切なげな表情で始は再び歩き出します。そしてどこかへ続いているバイクの轍とエンジン音が被り、このドラマは静かに、静かに幕を閉じました。
色々と語りたいたいことはあるのですが、今はちょっとまとめる自信がありません。ただ、映画には繋がらない内容でしたが、私は満足しています。これも一種のハッピーエンドでしょう。少なくとも、静かな感動に浸れる、一年間見続けてヨカッタと心の底から思える、そんな作品でした。
一年間、笑いと感動をありがとう。 仮面ライダーブレイド……。
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