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2003年12月23日(火) 年末。●廃墟の歌声(ジェラルド・カーシュ)

●今年は仕事納めが28日と、例年より早い。仕事始めも4日と遅い。まあ、家でちょいこちょこ来年の仕事の準備は続けるが、まず喜ばしいことだ。去年は30日まで働いて、2日が仕事はじめだった。……素晴らしい。

●パリ話。
 別れの日。モンパルナスからエールフランスバスに乗って飛行場へ。わたしはかなりナーバスな状態。空港に着いて、また涙の嵐になるかと思っていたら、チェックインの段階で大問題。エールフランス側のミスによるオーバーブッキング。格安航空券のわたしは13時15分のフライトから23時半のフライトに移る可能性があるという。結果が出るまで1時間。彼は次の仕事に向かわねばならず、不安なまま涙の別れ。
 1時間後、待っていた結果は、予定通り乗れるし、しかもビジネスクラスに振り替えという嬉しい知らせ。
 貧乏人のわたしはもちろんエコノミーしか乗ったことがないから、別れでナーバスになった気持ちを少し晴らしてくれる快適な復路になった。
 エコノミーとここまで違うかというサービスの連続。厳選されたお酒と美味しいフランス料理。ゆとりのある座席は、足のむくまない心地よいリクライニング。見やすいモニターで2本の映画を鑑賞。一本は今年の春読んで大感動した「穴」の映画化。英語版でも十分に楽しめた。……12時間のフライトがあっという間。お金があると、人生ってある程度は快適になるものなのね。
 ちなみに、フライトの変更の憂き目にあった場合は、5万円相当の現金か、9万円相当のエールフランス旅行券がいただけたらしい。今思えば、それでもよかったかなあ。
 ……と、恋人と遠ざかり涙に暮れながらも、ちゃっかり人生は楽しんでいる。人間って、こういうものなのだね。

●今日は稽古場にいて、「欲望」ってものについてずっと考えていた。
 結局は、欲望の強い人間が、遠くに行ける。正しく欲望を持つ者が、多くを勝ち取る。それがどんな欲望であれ。欲望を持ち続けることで、先へ、先へと進んでいける。
 このところ、わたしは自分の欲望に対して、実に淡い対峙の仕方しかしてこなかった。何もかもが中途半端で。
 自分の欲望に正直であるということは、自分を認めつつ、正しく自己批判できるということでもある。
 来年は、来年は、と、心の蠢く、年末。
 


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