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2003年10月17日(金) わたしを守れるのは、わたしだけ。

●この夏の結婚騒動で多大なる迷惑をかけ、ほぼ絶縁状態になっていた両親から、電話がかかってくる。
 明日が誕生日を迎えるわたしに、歩み寄り、許してくれる電話だった。

 最終的に、わたしが結婚を思いとどまった原因は、恋人の存在ではなく、A氏の、「わたしを一生守る」という思い込みだった。最初は心強く思った「守りたい」という彼の思いが、次第に重く、鬱陶しくなっていった。
 他者を守れると疑いなく思っている、その疑いのなさが、わたしは怖かった。
 わたしを守るのは、わたし自身だ。
 この夏、神経と体力をすり減らす仕事の中、全身に発疹したり、呼吸困難に陥ったり、高熱が止まらなくなったりしたが、調子を崩せば崩すほど、わたしは、絶対A氏には知らせるまいと思った。「守ってやらねば」と飛んでこられるのがイヤだった。自分が自分を支える強さが、すり減ってしまうような気がした。

●人は誰でも一人では生きていけないし、たくさんの他者に支えられて生きている。でも、特定の個人にわたしを守ることに命賭けられても困る。A氏にはそれが結婚というものだろうと言われたが、だとすれば、わたしは結婚できない。
 結局は、わたしが変わり者で勝手な人間だということでもあり、「守ってもらう」ことに対する恐れなど、人に説明しても簡単には分かってもらえないだろう。

 両親も、やはりそうだった。思い直して結婚しろと何度も執拗に説得され、責められた。
 でも、今日の電話で、わずかに和解に近づいた。
 許してくれたわけではないが、この変わり者を、それでもやはり娘と認めてくれたようだ。

 この先の自分の仕事。自分の心と体の健康。
 何の保証もない。それでも、「守られている」恐ろしさから逃げ出した今の方が、生きている実感がある。

 彼の子供と暮らすことへの未練は限りなくあるが、彼を愛せなくなった今は、子供に深い傷を与える前に別れることができてよかったと思うしかない。
 苦い夏だった。

 両親からの電話で、わたしの心にひとつ決着がついた。
 この日誌でA氏のことに触れるのも、これが最後だ。


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