おひさまの日記
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2005年09月11日(日) 今この瞬間

「体験の記憶」は持っているけれど、
「感情・感覚の記憶」は持っていない、
私達はそういう生き物かもしれない。

たとえば、初めてキスした時のことを思い出してみて。
その時のことを、ああだったこうだったと頭では覚えているけれど、
その時の感触や感覚そのものは覚えていない、そんな感じじゃないかな。
ドキドキしたとか、胸がきゅんとしたとか、状況を言語化して覚えていても、
そのドキドキや胸きゅんは今ここで再体験して思い出せない。

もちろん、潜在意識の中では、
そういう感覚や感触、感情はしっかりと記憶として残っているわけだけど、
普段認識できる形として、私達はその記憶を持っていない。

だから、私は今この瞬間がとても愛おしい。
二度と味わうことのない今ここでだけの体験。

子供のやわらかなほっぺにちゅーした時、
元気に遊んだ汗の匂いを吸い込んだ時、
ぎゅうっと抱きしめた時、
小さな手を握った時、
くすぐりっこをした時、
眠る小さな背中に寄り添った時、
すべてすべてに、今この瞬間だけの感触と感覚と感情がある。

誰かに触れた時、触れられた時、
誰かと通じ合って自然に笑みがこぼれる時、
誰かと痛みを分かち合った時、
誰かと言葉なく固く握手をした時、
誰かと同じ空気の中で何かを共有した時、
誰かとのすべてすべてに、今この瞬間だけの感触と感覚と感情がある。

何かを見て聴いて感動した時、
何かを感じて心震える時、
何かを与えて、何かを受け取って、満たされていく時、
何かが起こって何かを感じる時、
そこにあるすべてすべてに、今この瞬間だけの感触と感覚と感情がある。

今この瞬間が二度と来ない、
そして二度と取り戻せない刹那の輝きだと思うと、
私は切なくて泣きそうになる。
でも悲しい気持ちじゃなく、愛おしい気持ち。
なんて美しくて輝いてるんだろうって思う。

人はそれを求め続けて生きていくのかもしれないなんて思う。
時にはそれを再び味わうことができない痛みまでも人生の味わいとしながら。
そんな訪れた沢山の輝きの名残りが、私達を成熟させるのかもしれない。

今この瞬間を忘れていくのに忘れないと誓うのは、
その時その瞬間があまりにも美しいからだ。


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