夏目久美の生きてりゃ上等!



夏目久美の生きてりゃ上等!


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●KUMI NATUME●
2001年11月27日(火)    戦争を知らない世代です。


 『 あたしは、戦争を、知らない。』
 
 重いな…。この事実は。

 おばあちゃんは、知っている。

 満州に行っていて。まだ、23、4歳の頃。
 私の母が、そこで生まれてて。
 へたしたら、あたしなんて、影も形もありません。ええ。
 『残留孤児』になるところだった、うちの母。
 たまたまの、偶然。
 満州の日本人へ、配布される食料。
 2人じゃ食べきれないからって、うちのおばあちゃんは、地元の人に、おすそわけしてたって。
 でも、それで、同じ日本人に、色々言われてたって。ひどいこと。
 でも、おばあちやんは、さらりと言うのよ。
「だって、食べきれなくて、腐らしても、勿体無いじゃないのよ。あるもんは、あるんやし。」
 なんて、合理的。(笑)
 それとも、お嬢なのか?
 
 でも、それで。日本が負けたとき。
 町に、地元の軍人が、乗り込んで来て。男の人は、殺されたって。
 でも。日頃、お世話になったからって。うちのお爺ちゃんを、家にかくまってくれた、地元の人。
 「この家には、日本人の男の人はいない。」って。

 おばあちゃんは、それでも、さらりと言うのね。
 「そうよ。あれで、うちらは日本に帰ってこれたんやけん。お爺ちゃんおらんかったら、お母さん(私の母)を連れて帰って来ることが、出来なかったかもしれん。」
 
 それでも、日本に帰って来る途中、うちの母は、死にかけました。
 で、お医者さんにもさじを投げられて。
 「最後に、好きなものを、食べさせてあげなさい。」
 で、
「なにが食べたい?」お婆ちゃんは母に聞く。
「じゃがいもじゃあじゃあ。」
 なんですか、ソレ。v
 これは、ソレが、うちの食卓に出たときに、話してくれた、母の談。(笑)
「じゃがいもをスライスして。醤油で焼くだけの料理よ。」
 うちでは、ハンバーグの横にソレがあった…。
「で、食べたら、元気になったんよね。」
「…!略しすぎっっ!!」(笑)
 ようするに、栄養失調みたいなもんでしょうとの事。
 じゃがいもさん、ありがとう。あなたは、母の恩人(人じゃないってv)。

 それより。やっぱり、恩人は。満州国で、助けてもらった、その家族ではないのでしょうか。
 ルーツをたどれば、命のやりとりでの、ギリギリって。そこが分かれ目。

 だから。そこでお爺ちゃん殺されてたら。母は、残留孤児。父とも出会わず、あたしは、ここにいない。(勿論、姉も。)

 ついでに、一人めの長女、生まれてすぐ亡くなっている母。
(昔は、わりと多いそう。私の知り合いにも、何人かいる。)
 つまり。私は、長女亡くなってないと、いないってことでしょう。
(子供、3人も生めないと言っていたから!)

 これは、生きていく上で、外せないことでしょう。

 だから、なんだか。映画『ラストエンペラー』とか観てると。ちょっと、不思議。
 当時、同じ時代を、お爺ちゃん、お婆ちゃん、の、20代。
 あそこで、生きてたんだなぁ。
 って。

 でも、お婆ちゃん…。その美貌を、子供のダレカにわけていてくれたらっっ!!
 母は時々言うのよ。
「うちら姉妹は、みんなじいちゃん似。ばあちゃんが、いちばん綺麗。」
 お爺ちゃん…。みんな女の子なんだからさ…。
 ついでに、孫まで女の子(もう子じゃないけど。)なんだからさ。
 
 今でも、元気なお婆ちゃん。たとえ、アナタが牛乳飲めなくても。「食欲ないんよ〜」って言いながら、チャーハンと餃子をたいらげてもっっ。あたしらは、皆、あなたに似たかった…………。(爆笑!!)

 かろうじて、食欲だけは、あたしが引き継いでいる模様。
( 食欲…。だけ。…。←可也複雑なもよう。)

 満州は、母の生まれ故郷。もう、無い国だけど。そして。あんなの、無い方が、はじめから、良かったから。いいんだ。
 そういう近い国ですね。あそこは…。誰かも解らないけど。語り継がれてますよ。ここで。こういう真実、あってもいいじゃないの。



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