月の輪通信 日々の想い
目次過去未来


2004年08月24日(火) なくならない話

2,3日前、アプコの金魚の銀ちゃんが突然死した。
夏のお祭りにアユコがアプコのために金魚すくいでとってきた6匹の金魚のうちの一匹で、赤い金魚の中でたった一匹銀色のボディで、アプコのお気に入り金魚だった。
金魚すくいの金魚にしては元気いっぱいで食欲旺盛、もしかしたら何年も長生きする長寿金魚なんじゃないかなぁなんて考えていた矢先の事。
銀ちゃんは水草の間で静かに動かなくなっていた。
「死んじゃったら、しょうがないね。」
アプコは銀ちゃんをすくって、土に埋めた。
声は沈んでいたけれど、わぁわぁ泣くほどのショックは受けていなかったようで、まずは一安心。幸いほかの5匹の金魚は元気そうだし、一件落着と思っていた。

今日、アプコが慌ててとんできた。
「おかあさん、銀ちゃんを埋めたところにね、蟻さんがいっぱい来てるねん。どうしたらいい?」
銀ちゃんが食べられちゃうと必死の訴え。
可愛がっていた銀ちゃんのことを食物連鎖の学びのネタにするのはどうかなと戸惑ったけれど、もう6歳になったアプコには理解できる事かもしれない。
「あのね、蟻さんたちは銀ちゃんのからだを食べて、生きていくんやで。」
へ?と虚を突かれたようなアプコの表情。
「何で、銀ちゃん、食べちゃうのン?」
「アプコがお魚を食べたり、お肉を食べたりするのと一緒。蟻さんは銀ちゃんのからだを食べて、大きくなったり元気になったりするんやな。だから、死んだ銀ちゃんのからだはもう蟻さんたちにあげようね。」
「・・・蟻さんは、銀ちゃんを食べておおきくなるの・・・・」
アプコは小首をかしげ、しばらく考え込んだ後、
「あ、わかった!だから、なくならへんねんな。」
と大きな声で言って、スキップして行ってしまった。

「あ、わかった!」とは言ったものの、アプコは銀ちゃんと蟻の関係の何をどんな風に理解したのだろう?
確かに新しい真実を見つけたときの輝く瞳で笑っていたけれど、アプコはどんな真理に触れたのだろう。
「だから、なくならへんねんな。」
なくならないものって、何?
蟻さん?蟻さんの食べ物?銀ちゃんの体?この世界に息づくたくさんの命?
アプコに食物連鎖の厳しさを教えたつもりの私が、アプコから難しい禅問答のような疑問をポーンと投げ渡されて、びっくりする。
なくならないものって、なんだろう。
銀ちゃんが死んで、土に埋められて、蟻達に食べられてもなくならないもの。
もしかして、アプコは答えを知っているのだろうか。

「おかあさん、おかあさん、アタシ、ちょっと嬉しいな。
もうすぐ、銀ちゃんを食べた銀ちゃん蟻がたくさん生まれてくるんでしょう?」
銀ちゃんを食べた銀ちゃん蟻?
それって、どんな蟻?お魚の形の蟻さんかな?
「ちがうよ。普通の蟻さんでしょ。」
あ、失礼しました。
アプコにはちゃんと分かってるみたいだね。
命と命の深いつながりの謎。

母は今日もまた、アプコに一つ学ばせて戴きました。


月の輪 |MAILHomePage

My追加