月の輪通信 日々の想い
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2004年08月16日(月) 物欲魔人

お盆休みで、実家に帰省しておりました。
帰省中の出来事は後日、日をさかのぼって、UPするという事で・・・。

帰省3日目。
実家の周辺には、大型スーパーや本屋、コンビニ、ディスカウントショップなど、買い物を楽しめるスポットが山ほどある。
牛乳一本買うのに、車を出そうかという我が家とは大違い。
おじいちゃんおばあちゃんのお財布に甘えて、日頃買ってもらえないおもちゃや洋服などを買いに出かけるのを子ども達はとても楽しみにしている。
今年も、それぞれにゲームやらお人形やらを買ってもらって、残るはアユコの洋服を選ぶばかり。
東京の弟夫婦と姪っ子、母、我が家の6人で、車を連ねて近くの大型ショッピングセンターに繰り出す。

数年前にできた某フランス系のスーパーマーケット。
我が家の近所の小さなスーパーとは比べ物にならない商品の数。
意外に安価で目新しい物がそこここにあって、田舎モン家族はすっかり舞い上がって、きょろきょろとおのぼりさんモードになってしまう。
「二つも買ってもらって、いいの?」とバーゲンで底値になった洋服をわくわくしながらおねだりするアユコ。
普段買わないビートルズのCDなどをひそかにカートに入れる父さん。
「欲しい欲しい光線」をびしばし飛ばしながら、売り場を走り回るアプコ。
目新しいスナック菓子や、外国のチョコレートに熱心に見入るオニイ。
ちょいと目を離すと、どこやらへすがたを消してしまうゲン。
都会慣れした弟家族がちょっと引いてしまうような興奮振り。

わーっと駆け寄ったのは、カラフルなゼリービーンズやチョコレートがぎっしりつまったアクリルケース。量り売りのキャンデーだ。
普通なら、「見るだけ見るだけ・・」と横目で眺めて通り過ぎるところだが、小さいいとこのAちゃんがママと一緒に好みのチョコレートを袋詰めし始めたのを見て、「ええい、無礼講だ!」とアプコも袋を取る。
アユコやゲンも加わって、「西瓜ビーンズ」だの「ココナッツビーンズ」だのをワイワイ選んでつめていく。
Aちゃんの袋がぎゅうぎゅうに詰まってはかりに載せてみると、合計金額が1000円あまり。
我が家の3人が堪能するまで選びに選んだゼリービーンズは、3人分で700円弱。
一人っ子と4人兄弟の違いって、こんなところにもあるんだなぁ。
「好きなように選んでいいよ。」と言われても、なんとなく、ほかの兄弟たちの選ぶものや父母の財布の緩み具合を微妙にはかりながら、許容範囲内でたっぷり楽しむ。
ちょっと可哀想な気もするが、実際きゃあきゃあとカラフルなビーンズを選び、「げ、変な味。」「これと、取り替えて」とワイワイと一つの袋からお菓子を取り合う楽しさは、一人っ子のAちゃんにはない。

食品コーナーをあちこち回り、夕ご飯用に惣菜をいくつか選ぶ。
「ありゃりゃ、また父さんが引っかかったよ。」
普段近所では見かけない異国風のメニューや、ビールのつまみ系の美味しいものに、ふらふらと誘惑されやすい父さんの癖。
試食コーナーを余さず巡るゲンとともに、あれこれ物色。
あれもいいな、これもチョコッと食べてみたいなをカートに入れると、レジを出るときには普段の買い物額を軽く超える金額になる。
物欲魔人と化した田舎モンの浅はかさを恥じ入りながらも、なんだか楽しい。

都会の町での生活の楽しさ。
子供たちもみな、あふれる商品にあおられて妙にテンションが上がり、普段と違う歓声を上げる。
カートいっぱいの買い物をぶんぶん車のトランクに積み込む嬉しさ。
こんな大きなスーパー、我が家の近所にも一つぐらいあるといいな。
休みの日なんか、ここへ来れば一日中一家で遊べるよな。
帰りの車の中、奇妙な味のゼリービーンズをあれこれ分け合う家族に、
羨望のため息と共に微妙に皆に残るけだるい空気。
「モノに酔っちゃったんだよなぁ。」
人ゴミに酔い、たくさんの商品に酔い、買い物熱に酔う。
都会に慣れない田舎モン家族に、しゃれたフランス系大型スーパーのモノの氾濫は誠に刺激的だった。

とてもわくわくして、どきどきして、嬉しくなっちゃうけど、やっぱりこれは我が家の生活ではないよなぁ。
年に数度の無礼講のお祭り。
それなら物欲魔人と化すのもまた楽し。
でも、毎日の生活の場としては、我が家にとってはちょっと刺激が強すぎる。
都会の人には都会の人の、田舎モンには田舎モンの心地よい日常の「モノの量」というものがある。
いろんなものをいつでも買えるモノの豊かさは、必ずしも快適な生活の必須条件ではない。
そんな事にふっと気がついた。


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