月の輪通信 日々の想い
目次|過去|未来
| 2004年08月10日(火) |
お母さんがいなくなる |
アプコの言葉。
「あのな、おかあさんが年をとってな、 おばあちゃんになったらな、 おかあさんはおらへんになるんやろ?」 「は?」 「だって、おばあちゃんになるんやもん。」
アプコは私が年を取って、「おばあちゃん」と呼ばれるようになったら、 「母」ではなくなると思っていたようだ。 「おかあさんはアプコを産んだ人だから、しわしわのおばあちゃんになっても、アプコのおかあさん。 私市のおばあちゃんも、お父さんを産んだ人だから、何歳になってもお父さんのおかあさんでしょ。 わかるかなぁ?」 何度も何度も、同じことを説明して、ようやくアプコがにっこりした。 「ふうん、よかった。お母さんはおばあちゃんにならへんねんなぁ。」 ・・・・ちょっと違う。
「おかあさんは、そのうちおばあちゃんになるよ。 アプコやアユコが好きな人と結婚して、赤ちゃんを産んだらおかあさんはその赤ちゃんのおばあちゃん。わかる?」 「じゃあ、私市おばあちゃんはいなくなるの?」 「ううん、私市のおばあちゃんは、赤ちゃんのひいばあちゃんになるよ。」 「じゃぁ、私市のひいばあちゃんは?」 「私市のひいひいばあちゃんになるかなぁ。」 「ひいひいばあちゃん」の響きのおかしさに、アプコ大笑い。 おかげで、いくら元気なひいばあちゃんでもさすがにそこまでは長生きなさらないだろうという事は言わずに済んだ。
いくら年をとっても、 体や心が衰えても、 やっぱり「おかあさん」は「おかあさん」 その事を「ああ、よかった」と喜んでくれる幼い娘。 この子にもやがて、母がいつまでたっても母である事を疎ましく思う日が来るかもしれない。 「産んでくれと頼んだわけではない。」と毒づく日がくるかもしれない。 「おかあさんも年だなぁ。子どもみたい。」と、ひょいと見下ろす日だってあるだろう。 それでもやっぱり、「おかあさんはおかあさん」と不承不承笑ってくれるといいなぁ。
|