今日はとんちゃんを病院に連れて行き、診察を受けてる間、壁のポスターを眺めていて、10年以上飼っていて、とんちゃんが飼い主と離れ離れになるとヤケを起こすという「分離不安症」だかなんだかいう精神的な病気(ごめん犬、飼い主もうお前の病気の名前忘れた)だということを知りました。症状はことごとく該当します。誰もいなくなると玄関先で吠える(ぐずつく)、ヤケになってテーブルの上のものをいじったり、ゴミ箱をひっくり返してばら撒く、駄目だとわかっていてバスルームなどでおしっこをする。前からああなんてテロリスティックな犬なんだと思っていたのですが、こういう犬は多かったんですね。 で、今日はまた獣医さんに体重のことを言われました。獣医さんはとんちゃんの顔をじっと見つめて、「太っちゃってるなあ、とんちゃん」と言いましたが、「それはむしろ飼い主の私に言ってるんでショ」と内心思いました。ふふふ……アイドル犬なんだから食事量を減らさないと……。 ジャレは雑誌ナイロンガイズでも、マゾ発言をしているようですね〜。もうマゾ宣言はジャレたんの持ちネタに違いないということで。マゾっぽいことについて、多分ある種のフェチなんだと思う、ということを言っているみたいです。そんなにマゾジャレを宣伝しまくって、そういう役ばかりやらせてくれ、ということなんでしょうか。まったくジャレたんは。 ところで、今日は『lambda』 のりうさんに送っていただいた、「アレキサンダー」のバゴアス役とヘファイスティオン役のオーディションのスクリプトのことを。 まずバゴアスのこと。 以前の日記にも書きましたが、バゴアス役は、ダンサーで振りつけ師だったフランシスコ・ボッシュが、ストーン監督の前でバゴアスダンスを披露した時に、フランがあまりに素敵で監督が夢中になったために彼に決定したと聞いていました。この時監督は「私を誘惑しろ」と言ったらしいです(誘惑されたわけだな)。 映画にはバゴアスの台詞がひとつもなく、バゴアスのシーンは随分削られてしまったようです。私の勝手な予想ですが、これはもともと役者ではなかったフランが、あまり上手に演技できなかったからではないか、と思っています。バゴアスのシーンを思い浮かべてみると、風呂を用意するバゴアスや、ヘファイスティオンが死んだ時のバゴアスの表情などは、うまく演技できていません。特にヘファイスティオンが死んだ時の演技は重要だったと思うので、これには鑑賞中何度もがっかりさせられたものです(フラン自体は素敵でしたが)。 大王がガウガメラなどで声をかけていく兵士たち(ネオプトレモスやリュシマコス)は、皆、役者です。だいたい群衆の二列目くらいまで(アップで抜かれる兵士など)は役者が演じています。そのため群集の三列目以降を見ると、エキストラなので演技が出来ていなくて興ざめしてしまうことも少なくありません。 大王が死ぬ時の役者たちの演技を思い浮かべると、役者とそうじゃない人の演技力の差は歴然としています。思慮深く実利主義的なプトレマイオスやペルディッカス、心から主君であり友である大王の死を嘆いているアンティゴノスやファルナケス、愛と友情と野望の狭間で息を潜めているカッサンドロス、そして取り乱すロクサネと、彼女を憐れむスタテイラの表情、みなそれぞれのキャラクタを素晴らしく演じていました。この時、あんまりバゴアスが映ってないのは、大事なラストシーンでフランに相応しい演技ができなかったからではないか、と思っています。 このオーディションのスクリプトには、こんなやりとりが挿入されています。 ひとつひとつ見ていきましょう。 Audition side 2 Bagoas and Alexander First scene Alexander -- Ten years from now, Babylon'll be the center of the world, Bagoas. From here we'll send our fleet to every land on earth! Cities will grow, races will mix and travel, new gods will emerge. (pause, reflective) -- and there'll be harmony in the world... And we'll grow old together, Bagoas-- looking out on this world. Alexander turns from the window, and in his face, we see all the sorrow in the world, knowing his future is short. Alexander ... but I must sleep first-- It breaks Bagoas' heart to see this. Cold is the grave of every mythic hero. Alexander My poor Bagoas-- always thinking of me. How vain I've been! Bagoas (choosing words carefully) Alexander-- you have given me the happiest times of my life. I owe you everything. Alexander strokes his cheek gently, wipes away the tears. Alexander 'Happy', Bagoas? To achieve your longing, yes, but when your mind and body are stretched to breaking, when you have no thought beyond the next moment, that's when-- you look back after-- and there it was-- happiness! In the doing, never the thinking. He fades back onto the pillow, sweating with pain. Bagoas notices how streaked with silver Alexander's once-golden hair has become. Bagoas (repeats) ... Still, you've made me very happy, Al'skander. Alexander reflects on this, and takes some peace in this accomplishment. A moment of harmony-- Alexander (relieved) --It's done, Bagoas... it's done-- He drifts off. ああ、胸が張り裂けるようです。なんて美しくて哀しいシーンでしょうか。 最後にヘファイスティオンに語りかけた台詞を、ここではバゴアスに言っています。 アレキサンダー「10年後、バビロンは世界の中心になるんだ、バゴアス。ここから、私たちは我が軍隊を世界中に送り込み、都市は栄え、人種は交じり合って旅をし、新しい神々が現われる。(言葉をとめて考えこみ、)そして世界に調和が生まれる……私たちはそんな世界を見ながら、共に老いるんだ、バゴアス」 アレキサンダーは窓から振り向き、そして彼の余命が短いことに気付き、観客は彼の顔にこの世のすべての悲しみを見出す。 バゴアスは慎重に言葉を選び、「アレキサンダー……あなたは私に、人生でもっとも幸福な日々をお与えくださいました。すべてはあなたのおかげです」 アレキサンダーは彼の頬を優しく撫で、涙を拭う。 アレキサンダー「幸せだと? バゴアス。望みを実現すれば確かに幸せだ。だが心も身体も引き裂かれるほどに張り詰めた時、次の瞬間に何をすべきか考えも及ばぬ時、その時こそ――振り返ってみた時、そこにある。幸福が! その最中には、決して考えない」 彼は苦しみに汗を掻き、寝椅子へさがる。バゴアスはかつて黄金に輝いていた頭髪に、いかに多くの銀色が混じっているかに気付く。 バゴアス「それでも、あなたは私に幸福を与えてくださいました、アルスケンデル」 アレキサンダーは考えこみ、この対話の終わり(accomplishment)に安らぎを見出す。調和の瞬間。 アレキサンダー「終わったんだ、バゴアス……終わったんだ」 幸福についてのラインは、メアリー・ルノーから拝借していますね。ああ、こんなシーンをぜひ見たいです。映画のラストより断然いいです。もし撮影済みなら、DVDで見れないものでしょうか。でももしフランの演技に問題があったなら、撮影されていない可能性も高いですね。フランも好きですが、私はもう少し外見は劣っていても、こういうシーンを巧く演じられる役者の方がよかったかなあ、と思ってしまいました。 映画ではヘファイスティオンに言った言葉ですが、これをバゴアスに言うことによって、悲壮感が増しています。「共に老いる」「幸せは振り返ってみると、かつてそこにあった」と言うアレキサンダーにとって、ヘファイスティオンのいない世界、また自分から若さと健康が奪われてしまった現在など、無意味なようです。なんとかそう思わず生きていこうとしているが、本人も心のどこかでわかっていて、手招きする死を拒むつもりもない、という気がします。 Second scene This brings serious good cheer to the COMPANIONS, who clearly have never seen anything as exotic as these women in Greece. Cassander -- as long as we share not the one I like, Alexander. He need not worry-- Alexander's eyes have fallen on a lustrous, black-haired boy, 17, BAGOAS, with the slim figure of a dancer, his beauty extraordinary-- yet he is eunuch, considered more like a rare third species. Alexander I think you'll manage quite well without me, Cassander. You always have. The Companions laugh and individually address the women as Alexander walks over to the Youth, who looks him modestly in the eye, uncowed... HEPHAISTION takes notice as the FATTEST EUNUCH of all slides over, happy to please. Fat Eunuch Bagoas, 'Great King' -- Darius' boy... Alexander (pronouncing it) Ba--go--as? Fat Eunuch (nods) -- nicely gelded, he was the Emperor's favorite-- yes, holds his weight well with the years-- Alexander (eyes on the boy) Where does he come from? Bagoas (modestly, in Greek) The North, sire. From the hills near Susa. Alexander (surprised) You speak our language? Good-- I'd like to learn yours. Bagoas It's learnable, my lord. Alexander Tell me then-- do you wish to be set free? To go back to your homeland? In a slice of eternity, Bagoas knows what's at stake. Bagoas (choosing) All my family is long dead, 'Great King'. With your permission-- I choose to serve here. Alexander (smiles) I would like that very much.... (turns) Perdiccas, ask the same of each person in the Harem-- woman and eunuch. 最後のペルディッカスが女にも宦官にも手を出してるとこで終了してるのがいーです(笑)。 バゴアスとアレキサンダーの出会いのシーンです。大王が寛大さをみせ、バゴアスは賢明さと従順さをみせて、ふたりはたちまちビビビッときています。 最初のカッサンドロスの発言が微妙ですね。意味の解釈もあってるのか不安ですが、 カッサンドロス「私の好みではないものを、我々が共有している限りはな、アレキサンダー」 という感じでしょうか。これは女や宦官のことだと思いますが、彼のきつい皮肉なのか。 映画のカッサンドロスは明らかにアレキサンダーの立場、権力、手にしているものすべてに 嫉妬しています。カサンドロスにとって、自分が欲しているものはいつだって アレキサンダーが欲し、そして容易く手にしてしまうもの。 これに対して、アレキサンダーは「お前は私なしでなんとかうまくやるだろう。いつものようにな」 という感じのことを言ってるようですが、しかしもったいぶっていて難しい英語だ。 Third scene Alexander Stay with me tonight, Hephaistion--? Alexander's eyes are filled with need; Hephaistion glances questioningly at Bagoas. Alexander I'll take my own bath tonight-- thank you, Bagoas. Bagoas Yes, 'Great King'. Triangular are the eyes, as the Boy withdraws. Alexander leads Hephaistion out onto the balcony. Triangular are the eyes!!! お、オリバー! スラッシャーの気持ちをよくわかってらっしゃる……。 次はヘファイスティオン役のオーディションのスクリプトです。 これまた昔書きましたが、ヘファイスティオン役のオーディションはNYで行われ、 その大勢の一人が、映画から二年遠ざかっていたジャレッドだったそうです。 彼は少しナーバスだったそうですが、自分の面接を待っているほかの面子を見て、 「俺ならいける」と思ったそうです。なんて失礼な男だ(笑)! でも、実際にいけたわけですね。 この面接で発揮されたジャレッドのゲイへの偏見のなさなどが、監督の眼にとまったそうです。 また面接で、ジャレッドは面接官(大王役)の一人に膝枕をしてあげたらしく(爆)、さすがに途中で 爆笑してしまったらしいです。 そんな経緯でヘファイスティオン役になったジャレッド。 Audition side 1 Hephaestion and Alexander First scene Hephaistion is struck once more by Alexander's almost heart-breaking belief in myth. H: -- Will it ever be enough, Alexander? Even if you found the 'End of the World,' how would you turn back? A (acknowledging) : I'd weep if there were no more worlds to conquer. (looks warmly at Hephaistion) Our fates are intertwined. They always were, Hephaistion, you know that. (Hephaistion nods, then) -- I've missed you... H: -- And I you... but for the boy-- A: I know. But now I am the older one. H: (sad) -- You still hold your head cocked, you know, like that... A: (insisting) I stopped that. (he hasn't) H: No -- like a deer, listening in the wind. You still have that look. You strike me still, Alexander. You have eyes like no other... (embarrassed) I sound stupid, like a schoolboy -- but you are everything I care for. He approaches Alexander tentatively, and with his permission, draws him into an embrace. H: ...and, by Aphrodite, I'm so jealous of losing you to this 'world' you want so badly. A: You'll never lose me, Hephaistion. You'll always be my Patroclus. ヘファイスティオンは再び、アレキサンダーのほとんど胸張り裂ける神話への確信に打たれる。 ヘファイスティオン「それで満足するのか、アレキサンダー? もし世界の果てを見つけたとして、どうやって戻ってくるつもりなんだ?」 アレキサンダー「たぶん、征服する世界がもうなくなったら、私は泣くだろうな。(あたたかい眼差しをヘファイスティオンに向け)私たちの運命は絡み合ってる。いつもそうあった、ヘファイスティオン、そうだろう。(ヘファイスティオン、頷く)――お前が恋しかった」 ヘファイスティオン「私もだ……だが少年にとって……(?)」 アレキサンダー「わかってる。だが、今は私は大人だ」 オイ、まさか今更初夜じゃないだろうな!? ヘファイスティオン「(哀しげに)……まだ頭を傾げる癖が、だろう、こんなふうに……」 アレキサンダー「(言い張るように)もうやめた(やめていない)」 ヘファイスティオン「いや……風に耳を傾けるシカのようだよ。今も変わらない。君はまだ私を夢中にさせる、アレキサンダー。他の誰も君のような眼をしてない(それはお前だジャレヘファ)……(戸惑い)ばかなことを言ったな、まるで子どもだ。でも君は、私が気にかけるすべてなんだ」 彼はアレキサンダーに躊躇いがちに近づき、許しを得て、抱き寄せる。 ヘファイスティオン「そしてアフロディーテにかけて、君が世界に夢中になるあまり、遠くへ行ってしまいそうで怖い」 アレキサンダー「お前は私を決して失わないとも、ヘファイスティオン。お前はいつも私のパトロクロスだ」 ああ、萌える……フィクなんて書く必要がありません! 映画がこれなら! 昔のトレイラーには「世界の果てに辿り着いたら、何をする?」というヘファの台詞がありましたが、映画からは消えてしまいました。あともうひとつ、トレイラーにあって映画になく、残念だったのはクレイトス刺殺シーンで、大王が「誰も、どんな敵でさえも私にそんな風に盾突いた者はいなかった!」という台詞でした。DVDで見たいです。 大王の「わかってる、だが私は今は大人だ」という台詞が気になります。何が言いたかったんでしょう。「恋しい」と言われてヘファイスティオンが「私も。だけど子どもの頃は、私たちは取っ組み合ってふざけてばかりで、そんなこと思う間もなかった」というようなことを言おうとしたのに対して、アレキサンダーは「わかってる、だか今私はあの頃と違い、もう大人の男なんだ」というようなことを言いたかったんだとしたら、さ、さいこうにもえる……もえて萌えカスになる……。あるいは、「少年時代には、若い男同士なら当然のことだったが……」というようにさとそうとしたヘファに対して、自分はもう分別のある大人だが、気持ちは変わらない、ということを言おうとしたのか。 次は、クレイトス刺殺の後、アレキサンダーを励ますヘファイスティオンのシーンの続きです。 「全てを望むことは、時として傲慢なことだ」というヘファイスティオンの言葉は名台詞です。 A: ...I saw myself that night. H: How so? A: (pause) I saw my father... It wasn't Zeus, it was *me*... (then) ...it wasn't drink that made me kill Cleitus -- (pause) -- it was because *I wanted to*. It bewilders him, and he throws his arm over his eyes. Distant sounds of the past begin seeping up. A: (muttering) We were close, so close, Hephaistion. H: ...there'll be other dreams. A: ...not like this... (remembering) Time is a delicate robber, is she not? When we least expect her? H: ...you outdid Achilles. A: (weary) -- and then? (pause) Ours is a myth only the young believe. H: -- But how beautiful a myth it was! A: (muttered) -- We reach, we fall... H: (proudly) ...They all did, Alexander -- Herakles, Prometheus -- and Achilles, in whose company you now stand and shine! Alexander's eyes brim with tears. A: (repeats, convinced) -- We reach, we fall... クレイトス殺害の夜に、自分の姿を見たというアレキサンダー。それは父フィリッポスの姿であり、自分の姿だった。「私たち(父と彼)は似通っていく。似通っていくんだ、ヘファイスティオン」そんなのは取るに足らない夢だ、とヘファイスティオン。そしてここで、ヘファイスティオン臨終シーンの名台詞が飛びます。 アレキサンダー「あんなものは若者だけが信じる神話だ」 ヘファイスティオン「だが、なんと美しい神話だろう」 アレキサンダー「我々は成し遂げ、堕ちた……」 ヘファイスティオン(誇りを持って)「皆そうだ、アレキサンダー。ヘラクレス、プロメテウス……そしてアキレス。あなたは今彼らと並び立ち、輝いている!」 アレキサンダー、目に涙を溜め、「成し遂げ、堕ちた……」 ああ、なんていいシーンだ。このシーンのヘファイスティオンは、映画ではちょっと物足りなかったのですが、こうして見るといいですね。DVDで(頼りすぎ)! 私はロクサネが迫ってきた時のヘファイスティオンの笑顔があまり気に入ってません。あんなシーンで大王の妻であり王妃である女性を、小ばかにしたとも取れる表情を見せて欲しくありませんでした。どんなに罵られても、胸を叩かれても、カッサンドロスに皮肉を言われようとも、黙ってじっと耐える男であって欲しかったのですが、なんかビッチになっていたのは、きっと中の人のせいでしょう(笑)。 どんな時も、大王がピンチの時はじっと我慢して、(たとえ相手が身内や仲間でも)防波堤となるヘファイスティオンであって欲しかったです。そのくせ、会議では端に立って発言権がない男であって欲しいです(爆)。 とにかくも素晴らしいスクリプトでした。教えてくださったりうさん、ありがとうございます〜。
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