今日は五回目の観賞でした。これが最後だと気合を入れて 見てきました。昨日は観客の笑いに傷つけられる、と書きました が、ゼウスが味方してくれたのでしょうか、今日はたった一度も、 アレ&ヘパシーンで笑いが起こりませんでした。それどころか、 ヘパが死ぬシーンではすすり泣きさえ聞こえました。これには感動しました。 不思議なことに、アレクサンダーは見れば見るほど味わいが増し、 五回目の今回が一番感動しました。エンディングロールでは大泣きした まま座っていて、この映画で泣いてるところを見られたら恥ずかしいので(笑)、 しばらく劇場を出なかったほど。アレ&ヘパのみならず、他の将校や ロクサネ、バゴアス、オリュンピアス、フィリッポスの立場や考えなども 映画を受けて大筋見えてきて、路線が決定してくるとなんだか知らないが 泣けて泣けて仕方ないです。サントラは、1−4までのトラック、 ロクサネのテーマのトラック9、ヒンドゥークシュの13、 そして「永遠のアレクサンダー」の17は、聞くだけで涙がとまらず、 どうもこの映画に完全にノックアウトされてしまったらしいです。 今回はなんと、老いたプトレミーの最初のナレーションですでに泣いて ました。「独裁者と? 独裁者であれば我々にあれほど多くのものを残し はしなかったろう」でもうダメ! まさかあのうざったい老プトレミー にまで泣かされる日が来ようとはなあ。 それでもって、この映画は実はすごくいい映画なのではないか、と思い はじめた私の目は、曇りすぎでしょうか。日本にも悲惨な出来だという 噂が伝わり始めてるようですが、大丈夫ですよ。日本人はこの映画、たぶん 好きです。たぶんこのアレクサンダー像を、日本人は受け入れることが できると思います。もちろん、ギャルたちには無理ですが。 ヘパイスティオンの死はどうしたって泣くんですが、それ以外で私が 一番泣けるのは、やはり大王が「故郷へ帰ろう」と宣言するシーンだと わかりました。もうあのシーンは本当にだめだわ。嗚咽を堪えることも 出来ません。 この映画、ポジティブなレビューで書かれてましたが、すごく見る側の 想像力を必要とします。そして登場人物の行動からその心理が読み取れた 時に襲ってくる感動は凄いものがあります。 でも、大王フリークじゃない人が見ると、やっぱり面白くないのかなあ。 たとえば、ヒンドゥークシュの果て無き山並を前にし、空を見上げて 「鷲はどこへ去ってしまったのか……」と大王が呟くシーンすら、涙が。 何度も書いているように、鷲はゼウスの化身(使い)です。西パキスタン の付近まで遠征してきた大王の頭上には、もう鷲は姿を見せない。 彼は彼を愛するギリシアの神々の手の届かぬところまで、ついに来てしまった。 あ、また涙が……(死)。 このシーンで、プトレマイオスが、大王に「お前は家を見つけたか」と 尋ねられ、何気なくではありますが(エジプトの)アレクサンドリアが 気に入っていることを漏らすのも胸が詰まる。プトレマイオスが大王死後 の権力争いを経て、統治した国こそがエジプトであり、彼がこの映画を 回想しているのもアレクサンドリアだからです。 ギリシア神話は随所に映画に登場しますので、日本で公開される前に、 映画に登場するギリシア神話のことに触れたいと思います。この ギリシア神話に関連付ける手法も見事です。もっと多くの人がこの ことに気づいていれば、あんなに酷評されずに済んでいるはずです。 たとえば、オリュンピアスは酒の神デュオニソスを信奉しています。 死ぬ直前、大王は今まさに飲もうとしている杯に満たされたワインの 表面に、強張った母の顔を見ます。酒の神デュオニソスのいたずらなのか。 後になってわかったのですが、これは死期が近い大王への、オリュンピアス の警告になっています。実にうまい! また、オリュンピアスが息子の死(凶報)を知る予言的なシーンは、 イリアスにおけるヘクトルの死の予告と同じです。 ちなみに、映画にはアキレスに馬車で引きずられているヘクトルの 絵が登場して、ちょと笑えます。エリック似だともっと笑えたのに(それは 映画に集中できないから)。 オリュンピアスと自分を重ね合わせる「メデイア」などもいいのですが、 なんと言っても私が好きなのは、人間に火をもたらしたことで、ゼウスの 逆鱗に触れたプロメテウスについてフィリッポスが説明し、少年アレクサンダー が「なぜ?」と尋ねると、「なぜかなど誰も知らん」とフィリッポスが こたえるシーン。 神の領域に踏み込み、人間に叡智をもたらしたことの代償に、プロメテウス は毎日少しずつ、ゼウスの使いである鳥に貪り食われます。 自分を神の子と信じ、人間の領域を超えようとしたアレクサンダーの 結末を暗示する見事なシーンです。 ガウガメラの合戦後、夥しい人間の屍骸の海でめそめそと泣くアレクサンダーは、 鳥が人間の死肉を食らっている姿を見ます。その時、子どもの頃に父と共に 見たプロメテウスの壁画がフラッシュバックします。 ああなんて素晴らしいシンボリズム! 他の誰にこんな素晴らしい脚本が 書けるというのか。 ヘパイスティオンに「アキレスやヘラクレスを越えたい」と漏らす アレクサンダー。バビロンへの入城時に、檻の中のライオン――ヘラクレス の象徴を見ます。彼はあの時、ヘラクレスを越えたと感じたのかも。 こうしたギリシア神話に結びつくちょっとした会話やシーンが、大多数の 人に理解されないのは当然のことですが、こういうシーンが「いらない」 とか「意味不明」と言われているレビューを読むと、全然違う意味で 泣きたくなりますぜ。 だいたい「映画なんだ、ドキュメンタリーじゃない」としつこく言われて いるようですが、映画が映画らしくなきゃならないなんて、誰が 決めたんだ。ドキュメンタリーのような映画があっても別にいいじゃないか。 この映画には、ギリシア人の猿との遭遇や、レモンとの出会いも盛り込まれ ています。猿とヘパイスティオンがまたいいんだ〜。 (ちなみに、猿のシーンでロクサネがアレ&ヘパの関係に気づくというのは まっかなうそでしたv) ヒンデュークシュ山脈の向こうに、世界の果てが見えると思っていた アレクサンダーに、プトレマイオスが「……この世界は、我々が思って いたよりずっと大きいのかもしれない」と言うと、アレクサンダーは 落胆を隠しません。 多分、この映画を嫌いだと言う人はこんなシーンはクソ食らえだ、どうでも いい、と言うでしょうが、どこか胸を打たれると思いませんか。 これは無鉄砲なアレクサンダーという男の無謀な計画に基づいた民族の移動であり、 文明と文明の出会い(そして破壊と虐殺)の話です。もちろん萌え話なんですがv 映画鑑賞中、アレクサンダーが「まだ東へ行きたい」と駄々をこねる シーンでは、「what do you want!(何がしたいんだ!)」と野次が 飛びました。私はかなり苛ついたんですが、今思えば、この言葉は かつて大王と目的もわからないまま西インドまで遠征し、「もう帰りたい」 と文句を言い始めたマケドニアの兵士たちの気持ちそのものです。 さてアレ&ヘパですが、海外の観賞済みのスラッシャーは、 ジャレッドに魅力にやられてるみたいです。もとは、ヘパイスティオンを マッチョででかい男、で想像していたので気に入らなかったそうですが、 ジャレッドはあんまりプリティすぎてオッケーと言うしかないらしい(笑)。 マッチョなでかい男、というイメージはメアリー・ルノーの小説から きてるみたいです。というか、スラッシャーはルノーの小説にちょっと 影響を受けすぎてる傾向があります。映画のアレクサンダーがめそめそ した厄介な男だったことにショックを受けて、「皆、もっとロマンチック なことを考えてたよね」という話もちらほら。私は映画のアレクサンダーは カッコよすぎると思ったくらいで、想像ではもっと厄介な男でした。 ルノーの小説の中では、アレクサンダーとヘパイスティオンは ファラミアとベレゴンドみたいだそうです(笑)。まあ実は アレクサンダーってファラミアをキチガ○にした感じかも。 父親との確執もテーマですしね。それでもって、 ヘパは誇り高い優秀な軍人らしいんですが、これは現実的ではありません。 前にも書いたように、ヘパは軍人としては決して優秀ではありませんでした。 軒並み、皆さん大王受っぽいんですが、私は自分の中でほとんど完全に カプ形態が出来上がっているので、もう流されたりしません。 わけのわからない自信が、狩公、ベレファラのごとく再び℃マイナー路線 に走る自分を叱咤激励しています。日本でも間違いなくアレクサンダー は腐女子の間で大ブレークします。メインストリームがアレ&ヘパかどうか は別としても、あんだけセクシーな男たちが登場して、あんだけ男同士で 愛憎劇を展開してブレークしないはずがない。すでに、アレクサンダーは "the gayest film never seen"などというそれでいいのかな 呼び名をいただいています(そんなことはないと思うけど)。 私のアレヘパアレは完全にリバです。 クレイトス、ヘパ×アレクサンダー×ロクサネ、スタテイラ、バゴアス、 カサンドロス、ヘパ という感じ。前者が攻。基本的には男女以外はリバなんですが、 クレイトスはどちらかというと「アレクサンダーに突っ込みたい」側、 カサンドロスはどちらかというと「アレクサンダーにつっこんで欲しい側」 って感じでしょうか。 アレヘパアレは場合と状況によって変わる。しかも、 クレイトス×ヘパイスティオンも、フィリッポス×クレイトスもあり。 クレイトスはヘパイスティオンを憎みながら、彼の美しさには欲望を 抱いている。彼は映画でも女にも男にも好きなだけ手を出してるから、 きれいなものは欲しいに違いない。でも、アレクサンダーへの思いは もっとピュアで、自分がどうしてもかなわない男として、ずっと年下 だけど潔く服従してもいるのがアニキキャラらしい。 ペルディッカスはあくまで距離をおいた付き合いを心がけてるけど、 出来ることならアレクサンダーを抱いてみたいと思っている(笑)。 一方プトレミーは、本当はヘパイスティオンが好きだ。でも絶対に 寝ることはない(アレクサンダーに殺されると知っているから)。 基本的に優しい男なので、ヘパが皆に嫌われていることを不憫に思ってもいる。 レオンナトスはどう考えても受(笑)。ペルディッカスと話してるシーン がけっこう多いから、ペルディッカスと案外セックスフレンドかも。 フィロタスの青二才は案外クラテロスと……! クラテロスは若くてきれいな男が好きっぽいなあ。自分を父かアニキだと 思ってくれる若い恋人を夢見てそうです。 自分の想像力にむなしさを感じつつも感動しています(死)。 そして明日には日本に帰り、あと三ヶ月くらいはこの映画を見れない のかと思うと、とても暗い気持ちに……。 将校とアレクサンダーが一堂に会してるシーンは、あーどれをとっても 赤面しちゃうくらいすき……。 最後の宴で、アレクサンダーの狂乱振りにつき合わされている生き残り メンバーの表情のひとつひとつを思い出しても、ハートブレイキング。 この映画がちゃんとブレイクしてたら、素晴らしいとしか言いようのない 一人一人の役者たちを見る機会も増えたのに。スペシャルなDVDが 作られていよう。そしてファンサイトもばかばか増えたはずなのに。 決して酷い映画ではないのに、本当に残念。老プトレミーさえあんなに 喋らなければ……。 飛行機の中で、映画の詳細なシーンを書くつもりです。ネタバレ版と、 ネタバレなし版に分けます。 それではでは。帰ったらすぐメールや板のお返事しますね〜。 アナログで繋いでて、日記くらいしか更新できませんでした。
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