前回、キング・アーサーの評価がひどいということを書きましたが、 キング・アーサーが単純にダメ映画のレッテルを貼られるべきでは ないということがわかってまいりました。 マスコミ用のスクリーニングの後で出てきた評価で肯定的な ものは少なかったし、ファンも口々に駄作とレビューしていました。 でも、7/7に本公開して少し様相が変わってまいりました。 いくつかの有力紙からは賛辞も聞かれるようになりました。 この流れを色々と追って読んでみたところわかってきたのは、 否定的な人にとって、「この映画は"中世の伝説"を楽しむにしては、 陰気すぎ、英雄像を壊すもので、いくつかのアーサー王伝説のメジャーパーツを 無視している」 ということです。また、グイネヴィア像も現代的過ぎる、とのこと。 肯定的な人の意見は、「この映画は確かにアーサー王伝説という中世叙事詩 を魅力的に謳っているものとは違うが、歴史や戦略に主眼を置いて作られた、 新しいアーサー王映画といえる」 とのこと。前の日記にも書いた通り、「トレーニング・デイ」を撮った アントニー・フュークワー監督は娯楽志向の監督ではなく、洗練された きびしい視点で映画を撮れる人ですが、そういう姿勢でアーサー王を 作れなかったのではなく、どうやら彼のスタイルで作ってくれたみたいです。 たとえば、アーサー王伝説においてアーサーは、妖術によって ペンドラゴン王とイグレーヌ王妃の間に生まれますが、映画ではそうでは なく、ローマ人とブリテン人の庶子として生まれるそうです。 アーサー王のモデルとなる人物は5世紀に「戦いの王」として知られた アルトリウスという人物だそうですが、彼はブリテン島に 侵略してきたサクソン人と戦って勝利した英雄です。当時ブリテン島は、 ローマ帝国の支配下にあるゲール人(それまでブリテン島を支配していた ケルト民族)の国でしたが、ローマ帝国は弱体化しており、409年には 撤退します。アルトリウスは一時的ではありますが、この時代にサクソン人 を撃退した王でした。ですが、このアルトリウスは、 実際はローマ人の総督だったようで、映画はこうした背景を踏まえて 作られているようです。 というわけで、映画は中世の妖精物語としてのアーサー王伝説ではなく、 歴史の中の人物としてのアーサー王物語というスタンスで作られている ようです。とはいえ、円卓の騎士や、ランスロットとグイネヴィアと王 の三角関係など、有名なエピソードを散りばめてはいるようです。 レーティングのことも話題になっていましたが、最初はR指定だった そうです。アーサー王伝説の中には近親相姦なども登場するのですが、 このレーティングは公開時にはPG13に変更になりました。 これは多くの批評家が口をそろえていることのひとつですが、 戦闘シーンでは陰惨なシーンがけっこう多く、それがかえって、 この映画をチープなものにしてしまっている、とのこと。迫力は あるかもしれませんが、戦闘シーンには秩序がないそうです。 私としては、クライヴ・オーウェンのアーサー王が、陰気で厳しい 人物として描かれている、と聞いてたいそう期待してしまいました。 実際、美しく気高く人望も厚い騎士ランスロットと比べ、アーサーは 個人としての魅力では劣っています。人間関係においても、円卓の 騎士たちは、エクター(エクトル)やギャラハット、ガレスなどが めちゃくちゃランスロットに心服してハァハァしているのに、 アーサー王にハァハァしてるのはマーリンくらいか。 映画ではパーシヴァルが登場しないようですが、パーシヴァルと ギャラハッドの坊やたちのバカップルなどもおいしいです。 映画には登場しない(クレジットされてない)人物も含まれていますが、 私の漠然としたイメージでこんなアーサー王相関図(男オンリー)を 作ってみました。わははは。 ![]() あとはやっぱり、ガウェインと緑の騎士ですか。もちろん、緑の騎士 受けです(ジョン・ハウのあの絵で)。あ、ギャラハッドとランスロット の父子関係の↑が微妙な位置になっていることに気がつきました。 ともかく、ずいぶんと否定的なレヴューが目立ちますが、その原因が、 映画がむしろ私が求めているタイプのものだからだ、ということがわかって きたので、また新たに期待したいと思います。 今は早くスパイダーマン2が見たくてたまりません! 先行にいけなかった のですが、明後日には行きたいと思います。
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