diary/column “mayuge の視点
INDEXpastnext

カナダ入国

 いよいよ出発。

 成田1900発、AC(エアカナダ)004便。出発の二時間半前に到着したHISの空港カウンターで引換券を渡すと、すでにチェックイン済のボーディングパスを渡される。

 「窓側の席をご用意させていただいております」
  えっ?もう席決まってんの?
 「はい、本日は満席でございますので」

 非常口横が良かったのにな。ま、仕方ない。じゃ、マイルの積算だけでもお願いします……。

 確かに機内は満席。すでにスノボウェアの上着で乗り込んできている若者もいたりする。そうか、この便はバンクーバー直行便。スキー・スノボ客で埋まっているのね。しかし、奥に進むにつれ雰囲気は少々変わってくる。何やら甲高い声が飛び交っているのだ。

 「機内少少熱有、我上着載収納棚」
 「我欲我鞄伴載!」

 と言ってるのかどうかは分からないが、中国人の団体が席を行ったり来たりしながら通路を半ば埋めている。そうかそうか。バンクーバーには北米有数のチャイナタウンがあると聞く。そして彼らは旧正月前。さては日本へ買い出しにでも来ていたのだろうか。

 そんなこんなで騒がしく始まった空の旅も、夕食を詰め込まれた後は皆、就寝モード。薄暗い中で上映されるアニメ映画『アトランティス』を無理して英語音声で観賞していたためか、マユゲも自然と眠りについた……。

 目が覚めると今度は朝食を詰め込まれる。自分の意思とは関係なく出される機内食を狭い席で食べていると、どうしても「詰め込まれている」気がしてしまう。俺はブロイラーかいな。そんでもって飲み物。これがまたシステム上、飲み放題なもんだから、皆、飲むわ飲むわ。挙げ句に皆、同じ時間にトイレ渋滞。何気にこれで毎度痛い目にあったりするのだ。と、横をキャビンアテンダントさんが通る。あっ、ちょっとお姉さん、Excuse me。コーヒーおかわり。人は過ちを繰り返して生きていく……。

 やがて機体は下降を開始。地表に敷き詰められたかのような真っ白な雲の中をくぐり抜けると、窓からはカナダ西岸の様子が見えてくる。点在する岩の小島に波がぶつかり白い波が立っている。陸地も見えてきた。針葉樹林だろうか、濃い緑に覆われている。

 これが北米大陸か。いよいよ初上陸だ。

 さらに低いところにある重たい色の雲を突き破って、現地時間1050、飛行機は無事バンクーバー国際空港に到着した。

 出発したのが1月15日午後7時。到着したのは1月15日午前11時。これは前から調べて分かっていたし、当然時差とはそういうものだと頭では分かっていても、やっぱり不思議な感覚だ。なんだかちょっとだけ人生やり直した感じ。ってことはここで「得」した分、帰国するときには人生に空白の時間ができるってこと? ん? え? 何何? それってどういうこと? …………。鼻から脳みそが出そうになったので、この問題は帰国するときに考えることにした。

 到着ロビーを順路通りに進むと入国審査。しかしここで仰天。げげ。階段の下に広がる審査のフロアには、既に十ちかくの列ができており、それぞれ六、七十人ずつは並んでいるではないか。いきなりのパンチ。

 一時間かけてこれを通過。しかし同じ列の二組前、日本人家族の小さな男の子のわめきぶりにはホトホトまいった。周囲の同年代の子たちとは対照的に、泣き声を出したり、走りまわったりのわがまま放題。くぉらっ、このガキゃ。おとなしくしてろ!っつーの(怒)。

 審査官には、機内で記入しておいたCustom申告カード、パスポート、そして「ワーキングホリデー就労許可証の発給許可の手紙」(diary11/29参照)を提示。すると次にImmigration(移民局)に寄れと言われる。提示したものはすべて戻された。

 Immigrationでも列に並ぶこと四十分。ここでも前述の三点セットを提示。ワーキングホリデーVISAは、ここで初めて発給されることとなった。PCでタイピングされた用紙をパスポートのVISA欄にホッチキスで留めるという形式である。インドのときはでかいスタンプだった。ネパールはシールだった。VISAのスタイルも各国いろいろらしい。

 そしてここでHRDC(Human Resourses Development Canada)の茶封筒を渡される。なかに入っているのはSocial Insurance Number(社会保険番号)カードの申請書。窓口のおっちゃんは早口で何か捲し立てているが何を言っているのかさっぱり分からない。「要するに、いいから早いうちにHRDCに行け」という感じで、手で「行け行け」をされる。はぁ、じゃ、そうします。改めてガイドブックを読んでみると、カナダで働くにはこのS.I.N.カードというものが必要とのこと。これを持ってない人を雇うと、その雇用主が罰せられてしまうのだそうだ。そうですか。それでは今日か明日にでも。

 こうしてようやく到着ロビーへ。そういえば片道航空券で来たのに、預金残高の証明を見せろと何処でも言われなかったな。やっぱり、「聞かれる場合もある」というのは正しかった。Tourist Infomationでダウンタウンの地図をもらい、手持ちの日本円すべての両替を済ませるといよいよ空港の外へ。

 さあカナダ入国だ。まずは何から!?

 ふぅ〜。
 きりりと寒い空気のなかで、まずは一服。

2002年01月15日(火)

読んだら押して↓
エンピツユニオン

My追加
▲TOPINDEXpastnext