お茶の間 de 映画
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2004年07月16日(金) 「ほえる犬は噛まない」 愛犬家は見ちゃだめ。自国マンセー韓国がついに自虐ネタで笑わせる映画を!ブラックでシュール。

ほえる犬は噛まない【ハングルは出力できず、意味は“フランダースの犬”英題はBARKING DOGS NEVER BITE】2000年・韓国
監督:ポン・ジュノ 
脚本:ポン・ジュノ/ソン・テウン/ソン・ジホ
撮影:チョ・ヨンギュ
音楽:チョ・ソンウ
 
俳優:ぺ・ドゥナ(団地の経理事務員、さぼり魔ヒョンナム)
  イ・ソンジェ(大学非常勤講師、女房のヒモ、ユンジュ)
  コ・スヒ(売店の店番、ヒョンナムの悪友チェンミ)
  キム・ホジョン(ユンジュの姉さん女房、ウンシル)
  キム・ジング(吠える犬の飼い主、唾吐き婆ァ)
  ピョン・ヒボン(警備員のおっさん)
キム・ルェハ(浮浪者)

ストーリー用ライン


大学非常勤講師というと聞こえがいいが、要するに限りなく無職に近いヒジョーにヒマな三十路男、ユンジュ。
時間は有り余ってるが、金銭的にも精神的にもイッパイイッパイで余裕がない。

世渡り上手な同期の連中はどんどん出世して教授になってるというのに、世渡り下手で女房にすらアタマが上がらない気弱なユンジュにはどうすることもできない。
今も、電話で先輩に叱咤激励されているところ。

宝くじにでも当たらにゃ到底無理な大金を学部長に差し入れねば
教授には絶対なれない。可能性は0%だそうな。

ユンジュの苛々を募らせるのは、ペット禁止の団地内に朝となく夜となく響き渡る、小型犬のキャンキャンやかましい鳴き声。

僅かに開いていたドアの隙間から外に出ようとしていたマルチーズにバッタリ出くわしたユンジュは、あれこれと殺害を試みるが、
イマイチふんぎりがつかず、とりあえず地下の粗大ゴミ置き場にあったタンスに監禁してしまい、そのまま忘れてしまうのだった・・・。

団地の事務所。経理兼雑用のヒョンナムが雨の中うんざりした顔で
出勤。やる気ナッシングの彼女は仕事はダラダラ、しょっちゅう事務所を抜けだしては、売店でゴロゴロしている悪友のチェンミとだべりんぐ。
そんな彼女にも夢はある。悪いやつにパンチを食らわせとっつかまえ、表彰してもらってTVに出るのだ!かっちょいい自分を
イメージしてニタつくヒョンナムちゃんであった・・・。

黄色い雨合羽を着た小学一年生の少女が、可愛がっていたマルチーズがいなくなったと尋ね犬の張り紙を懸命にどしゃぶりの中、団地じゅうに貼っている。
ヒョンナムは掲示物許可のハンコをポンポン押してやりながら、
少女の哀しみに胸を痛める。
ポスターの一番下には、特徴:「声帯手術をしているので吠えません」とあった。

さて、このポスターを見てビビったのがユンジュ。
吠えない=犬違い!!!
まだ生きてるか!?もう二日は経ってる。焦ってつっかえ棒をはずしタンスを開けたが、マルチーズがいない。

そこへ警備員のおっさん登場。ネギと鍋もってご機嫌だ。
咄嗟に隠れるユンジュが見たのは、マルチーズの遺体をわくわくしながらまな板にのっけて包丁を研ぐおっさんの姿だった!

せっかく隠れているのに、身重の女房から携帯に電話が!
すこぶる機嫌の悪い女房はとっとと帰ってこい、と電話の向こうで
声を荒げている。
音に驚き、血まみれの包丁を手におっさんが近づいてきた。

さて、この物語、どこへどう転がるか???

相変わらずどこぞの小犬は吠え続け、女房はウニより刺々しく、金の工面はできない、ブチ切れたユンジュはついにやっちゃいかんことをやってしまう。

さて、後ろめたくはあるが、うるさいのが消えたぜ、
と思う間もなく、なんと、女房がプードルを買ってきた〜〜!!!

また犬かよ il||li _| ̄|○ il||l

どうせ仕事もないですから、妻の命令で昼間っからプードルの“スンジャ”ちゃんをお散歩させていると、足元にスピードくじが。
淡い期待を胸に削っていると、
女房の愛犬が消えた〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

こ・・殺されるっ!必死に探すも夜になっても見つからない。
当然嫁さん、怒髪天を突く勢いで怒る。

だが、嫁さんの苛々の原因は?(妊娠後期のしんどさと、バカで役立たずの亭主以外で)

女房の真意を知ったユンジュは、シッポを巻いて徹夜でどしゃぶりの中チラシを貼りまくる。
ヒョンナムも、三匹も団地内で小犬失踪(殺害)事件が続けば、もう持ち前の正義感が煮えたぎって、デスクでちまちま計算なんかしてる場合じゃないっ!

ぜったい、あたしが見つけてあげる、悪党から守ってあげる!
その悪党が誰かなんてヒョンナムは知りっこない・・・。
必死でチラシを貼るユンジュにいたく同情し、手伝うヒョンナムであった。

さてさて、女房の愛犬の安否や如何に? もう警備員のおっさんに
美味しくいただかれちゃったか????
もしそうだったら絶対に教授にはなれないのだ。
女房の愛犬≒賄賂≒教授の椅子だから〜!

そして、ヒョンナムは、悪党をやっつけて正義のヒロインとして
TVに出られるのかな???

ところが事態は予想もしなかった方向へ・・・・・・・!


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コメント用ライン


大丈夫。映画の冒頭にテロップが流れ、あのワンちゃんたちが
現在も無事に生存していることをご丁寧に説明してくれている。
ってか、予めテロップ流した、ああ、犬が惨殺されるのね、と
覚悟を決めさせる意味もあるのか?
普通は最後に流れる類のテロップだが。

韓国も中国も、犬を食う伝統文化がある。
日本人が鯨を美味しく頂いてきたのと同じで、とやかく言う資格は、その件についてはない。

が、高価な、しかも愛玩犬を盗んであれしたりこれしたりしてはいけませんな。

韓国は昔っから自国を果てしなく賛美するお国柄である。
謙虚を通り越して自国を卑下しすぎの日本人もとても問題だが、責任転嫁としつこさと大袈裟さは韓国人のお家芸。

そ〜んな韓国が、なんとここまで自国民のダメな部分を誇張して
笑いトバした元気のいい映画を作ったってとこがまずすごい。
新人監督ならではのイキのよさ。

ルールを守らないのが韓国人だと役者に言わせ、欧米人が嫌悪するのを承知で愛玩犬を惨殺。社会保障がなってない故の物乞いの姿、
収賄贈賄がまかり通るエリート社会をイヤらしく描写してみせ、
唾をどこでも吐き、やたらと舌打ちをする人物を登場させる。
団地の通路は皆が我が者顔にモノを置くから通れない・・・。
一ヶ月も経たないうちに新しい犬を買ってもらう少女は急速な
大量消費社会への仲間入りを皮肉るかのよう。欠陥住宅の量産もね。

それにしても、笑いのセンスが絶妙。
予想を大きくではなく、3.5cmくらい裏切るんだな。

最高だったのは、やっぱり婆さんの「遺言」だろう。
1日経ってもまだ思い出し笑いができる。
ちゃんと伏線があるからお見事。

黄色は善、赤は邪悪さ。パキっとした色遣いが気持ちいい。
音楽も、あろうことか、“フランダースの犬”のさまざまなアレンジバージョンが軽快に流れるのには爆笑した。

かなり毒々しい連中ばっかり出てくる中、ぺ・ドゥナはふくれっつらすら可愛らしく、映画のトーンを明るく彩っている。
仕事はデキないし不真面目でしょうのない小娘だが、ヒョンナムは根が優しくていい子だ。
親友の巨漢のチェンミも、悪態をつきつつも友達想いのトコを
ちらっとのぞかせて、いい味出してる。

夫婦喧嘩は犬も食わないというが、ほんとに食えなさそうな
くっだらない喧嘩、なかなか面白かった。
この映画を観て以来、夫に“珈琲いれてくださる?”とお願いすると、“クルミ100個割らなくていーい?”とジョークをトバす・・・。

ところで、“ボイラー・キムさん”の怪談のところ、ジム・ジャームッシュ監督の『ダウン・バイ・ロー』でロベルト・ベニーニが
ウサギを料理しながらお母さんのことをベラベラ延々と独り言するシーンに似ていて、ニヤニヤ・・・・♪
イーン。エーン。妙に好きなシーンだったりする。

ボイラー回ってるイーン。




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