泥沼
DiaryINDEXpastwill


2004年11月27日(土) ハウルの動く城

今日の朝起こされてさー。ハウル見に行かないかって。
弟とな。
はぁ?私が今そんな状況だとお思いか?
と思ってそう言ったら、タダ券今月までなんだってさ。
それでもしばらく渋ったけど、たかが半日時間を潰したところでどうせ明日は1日バイトで潰れるんだし、カワンネーか、と。
その半日で書けるかというと、きっと書けないし。
ハッ、行かないでも後悔するなら行って後悔しようぜ。
タダで使えるものは親でも使えって言うしな。(少し違う)
で、ムッスリしつつ行ったー。
だってけっこう見終わったあと浸るタイプなんだよ。
戻ってこれなかったらいやだなぁって。
映画館に行くたびに余計なストレスを感じるのも疲れる。
となりにキムタクファン(勝手な思い込み)のおば様がお二人座られたので、
放映前はペチャクチャうるさくて映画の途中も話してたら嫌だなと思ったら。
さすがレディー、そこは礼儀をしっかりわきまえていらっしゃる。
カサともゴソとも音をお立てにならなかった。
その分なにやら女の子がいちいちキャッとかヒソヒソとか話をしているのが気になって。
ハウス食品が提供なのがそんなにオモシロいか!
オモシロいけどね、名作シリーズもハウス食品提供だったものねえ。
そのうちハウルがシチューの宣伝したりしないかな?(笑)
子供は反対に引き込まれてしまって、おかしいところで笑ったりするくらいなんだけどね。
お譲ちゃんたちよォーお話しするのはあとにしとけなァ?
ま、お菓子を食べてゴソゴソバリバリが無かっただけよかった。
あれだけは耐えられないね。

はーいネタばれ。
後で読み返したら、けっこう嫌味がにじみ出てるので気に入ったーって人は傷つかないように注意。

さすがに画面は美しかった。
ジブリだから当然、だけどその当然、というのがすごいよね。
音楽も情緒あふれるアコーディオンがいい味を出している。(合っているかは…)
設定は戦争中なんだけどあまり悲壮感がなく淡々とした描写。
意味があったのかな、この設定は。

でもまぁ、とりあえずつかみは良し
てか、ソフィーが可愛かったのでそれだけで全て許せると思った。
赤毛じゃないのは少々残念でしたが。
あーでもレティーちょっとけケバすぎ。母親とレティー似すぎ。
イメージとしてはもっと清楚な愛らしさって言うか…。ブツブツ
倉庫でレティーと喋ってる時とか、ソフィーの顔の崩れが少し気になった。
でも城にたどり着くまでの道のりの描写はとても良かった。
カカシとソフィーの関係も良い。

マルクルもやばいくらい可愛かった。またれぃょ〜。たしかに悶え狂った。
カルシファーも、うん。可愛かったな。

意外だったのはキムタクだな。やるじゃーん。
ほーんと、なんでもこなす人ですねこの人。
ムカツクやっちゃなぁー。(別に嫌いなわけではないが)
顔が可愛くても声はちゃんと男の人なのが、良いね。
でもやっぱり、ハウルの根性の悪さ描写がもの足りなくて…。
なんかフツーにいい子になっちゃってたのは少々残念なところです。
見た目は文句ないんです。ノッペリって批評されたのは性格かな…なんて思ったり。

ストーリーは。
エー!とかええ〜?と感じるところも多かった。
なんだかダイジェスト版にされてしまったような物足りなさと不可解さ。
原作とは設定も変えているようですが。
それ自体については別に文句はありませんが、せっかく変えた設定が野放し。
戦争とかハウルの正体とか過去とか。消化不良。
ソフィーにマルクルが抱きついて行かないで!ぼく達家族だよね、って言う感動のシーンも、マルクルの境遇が描かれていなかったので原作のマイケルを知らない人は、「え、この子かわいそうな子だったの?」と突然に思うはず。
ハウルがソフィーを好きになったのも、ただ好きになったのかと思ってしまうでしょう?あれでは。ハウルが女の子を本気で好きになれなくて、相手が振り向いてくれたとたん興味を失っちゃうてことくらい説明する必要あったんじゃないのかな。
それにソフィーはもっと途中ハウル冷たくしてくれないと!それで罪悪感感じて、でもやっぱりまた冷たくして、時々ときめいて。
その複雑な乙女心が堪能できなくて残念。
良いのか悪いのか、ソフィーもハウルも宮崎風に毒気が抜かれちゃった感触。
そしていつの間にか深く愛し合ってる2人。
宮崎アニメの少年少女ってなんでこう突然デキあがってるんだろう。
いや、こんなもんなのか?

あとやっぱり呪い全般が謎。何で呪いをかけられたか、誰にかけられたか。
特にソフィーがさあ、解けたり戻ったりして、法則が感じられないし。
だらしない呪いだなおい。バレまくりだし。
明確な敵がいなかったのもなんだかな…。
勧善懲悪は現代的でないって言うのかもしれないけどハンパすぎ。
あとソフィーの言葉によって物に命を与える魔法って言うのがすごく好きだったので。
それがあまり演出されなくて残念。
帽子に話しかけるシーンとか。時間が足りなくて仕方ないとは思うんだけど。
ココはわかるでしょ、って描写を省いてしまうのも手ですが、わかっていても
言いたいことは色々あるわけですが。
やっぱり文章とアニメーションじゃあ表現できるものに差があるから。
原作とここが違う!足りない!ガサツ!とか言うのは酷ってもんでしょうね。
でも荒地の魔女だけはいい変更だったな、と思う。
今回の映画化で一番面白い変更点だった。
小説の方とは善悪が逆…というか善悪が混交している感じね。
そこだけは少し興味深いと思った。
現代において老人のあり方、っていうか。
「老いること」というのが隠れテーマとみた。(隠してない、もろテーマだった)

ていうか、実を言うと魔女に泣かされた。(声のせいかなんとなく中性的だったけど)
あの最後の、魔女が心臓をソフィーにわたすところでブアっと一滴。(一滴かよ)
あんなに欲にまみれて、力があったときから求め続け、力を失いただの老人となっても執念深く望んでいたハウルの心臓。
やっと、やっと手にしたハウルの心臓。
それを、ソフィーの「おばあちゃん、おねがい」と言う言葉だけを代償に「仕方ないねぇ」で渡してあげるその純粋さ。
もともとオメーのもんじゃねーだろとかそういう問題ではない。
彼女は待ち焦がれ望み続けたものを犠牲にして、ソフィーのためにささげたのだ。
こんな愛があるのだから!!
本当に魔女がよかった。すごくよかった。
全てが完璧に良い、というのは無理だし、その必要もない。
少しでも良いところがあれば十分なのだ。

ただね、ちょっと気付いちゃったんだけどね。
私は宮崎アニメの雰囲気とか世界観とか絵は大好きだけど。
キャラクターはあんましあれみたい。脇役はいいけど主人公…。
理想の少女、理想の少年を描いてるのはわかるんだけど。
ちょっとドロくさくて性格悪いくらいが、私は見ていて感情移入できる。
宮崎アニメの少年少女は神がかっていて不気味だ。綺麗すぎるというか。
でも、宮崎さんの夢を描いてるんだからそれで良いんだと思う。
でもやっぱりあま〜とか思うわ。だめだ。

ちなみに、
パンフにあったんだが、宮崎さんはハウルの行動理念がわからないと言っていたそうで。
なるほどね、だからかー。なんて。
つかさあ、わかんないのに作っちゃうんだね?ふーん…。
うわあ、意地悪いな私、イヤミィー。
特に宮崎さんを嫌いということはないはずなんだが。
全然知らない人だし。
嫌いじゃないんだけど、何かが合わないのかもね。
自分が意外と原作を愛していたことを知った今日でした。
あー、これだからダメだな。色々もやもや考えちゃう。


MO |MAIL