ある大学院生の日記

2004年03月07日(日) フリーター

「フリーター」の特集があるというので途中からしげしげと見てしまいました.うーむ.世の中いろいろな雇用形態や賃金形態を考える人たちがいて,市場経済ってすごいのね,とおもいました.いくつか釈然としないポイントもあります.途中から見ただけなのでよく分かりませんが.

「フリーター・アルバイト」ってなんだ?というのがひとつ.任期つき講師はフリーターにはいるんでしょうか.雇用期間の定めのある雇用形態なんですけど.年俸制をとるひとたちだって,雇用期間の定めのある雇用契約ですよね?

正社員とフリーター・アルバイトは,仕事の内容が同じで成果も同じなら同じ給与にすべきか?というのがひとつ.正社員が雇用期間の定めがなく,アルバイトにそれがあるとすれば,失業のリスクプレミアムを正社員は支払うべきだから,正社員のほうが(税引き後)賃金(率)は低くて然るべきだとおもうのですが,それってまちがい?正社員のポテンシャルにかけるとか,長期雇用のメリットを得るために最初のうちの給与は低いとか,もろもろ他の条件はあるとおもいますが.

日本にリスクテイカーがいない(金融資産運用の面でとくに)が正しいとすれば,失業のリスクに直面するフリーターってなんだ?単に,自分の所得変動リスクを把握してないだけなんでしょうか?もし把握してないだけだとすれば,責められるべきは若いフリーターではなくて,その情報を教えないオトナたちではないか? もし,自分の所得リスクを把握した上でフリーターになっているとすれば,所得変動のリスクをとっている分,金融資産運用でリスクを取れない,という仮説は成り立つか?

もし世の中の若者(?)がみんながみんな正社員になりたがるとすれば,需要と供給の関係から,正社員の賃金率が下がり,フリーターの賃金率が上がってしまうのでしょうか?そのとき,2者の賃金格差は,雇用維持のリスクプレミアムに等しくなるのか?

あるべき政策とは何か?というのもひとつ.フリーターは社会保険にも入らないからどうのこうの,という論点については,彼らは明らかに確定申告すべき人たちなんだから,そのときにまとめて徴収すればいいと言うのが明快な解決策だとおもうんですが,どこか欠点があるんでしょうか?財務省と厚生労働省の所管の違いなんて馬鹿げたことを言っているのは霞ヶ関と学者だけじゃないかと思うんですけど.国民から見れば両方とも政府の一部ですよ. 企業がどのような雇用戦略をとるかに政府はなるべく介入すべきではないとはおもいますが,失業は「市場の失敗」だとすれば,雇用保険や職業教育は現在よりも強化すべきなんでしょうか?モラルハザードを招くだけな気もしますが.最低賃金率を引き上げるべきか?

労働経済学者ってたいへんなのね.


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